4. いや、何で?
「いや、何でだよ?」
急に知らない人の声が聞こえてきた。
えっ?
どこから?
誰?
私がキョロキョロしていると、
「えっ?
もしかして、俺のこと見えてない?」
というまた知らない人の声が聞こえてきた。
えっ怖い...
幽霊?
「乙瀬さん、俺の横を見て」
と永安寺くんが言った。
えっ?
横?
私は永安寺くんの横を見た。
そこには、普通に人がいた。
幽霊ではなかった。
彼はずっと永安寺くんの隣にいたようだ....
クールビューティのことで頭がいっぱいで気付かなかった...
勝手に人を幽霊扱いして悪いことをしたなと思い、私は
「ごめんなさい、気付かなかったです。」
と謝った。
すると、彼は笑いながら言った。
「乙瀬さんって、天然?
あと、クールビューティって何?」
聞き捨てならない言葉が聞こえた気がする...
「天然なんかじゃありません。
私はクールビューティです。
クールビューティは黒髪ロングかショートの知的そうなキャラでも思い浮かべてください。」と少しだけツッケンドンに言った。
申し訳ないと思っていたけど、初対面でこんなことを言わなくてもいいだろう。私はクールビューティだ。
(これは、本物の天然だ。
なぁ、夕陽。
お前もそう思うだろう?
あぁ、そうだな..
っていうかさ、もしかして乙瀬さんお前がクラスメイトって分かってないんじゃないか?
えっ?
お前のことは分かっていたのに?
俺、二番目に自己紹介したのに...
まぁ、俺のは乙瀬さんのと違って強烈じゃなかったもんな。
でもさ、何でお前のは覚えてるんだ?
さあ?
お前だけ忘れてたんじゃないか?
ひどっ!
それよりさ、俺は何て返事すればいいんだ?
何で誘われているんだ?)
なにやらひそひそと話し始めてしまった。
すっかり忘れていたが永安寺くんの返事を聞いていない。
もしかしたら、彼はキャラ被りは嫌かもはしれない...
だから、早く返事を聞きたいのだが...
あっ、もしかして、今そのことについて相談しているのか?
キャラ被りは嫌だと...
もしそうならば、私は彼とキャラの座を賭けて競わなくてはいけなくなる。
私は何とか、彼を説得しようと思って
「永安寺くん、悪いけど私もクールビューティがいいの。
だから、あなたがキャラ被りが嫌でも譲ることはできない。
でも、被ってもいいのなら一緒にクールビューティになろう!」と言った。