1. クールビューティ
拙作ですが読んで頂ければ嬉しいです。
毎日投稿できたらいいなと思っています。
今日は高校の入学式だ。
私、乙瀬莉乃はこの日のために努力してきた。
それは、クールビューティになりたいからだ。
なぜかって?
私は中学生のとき、「頭いいけど抜けているよね~」という何ともいえないキャラだった。けれど、私はずっとクールビューティなキャラに憧れていた。そのために、勉強を頑張って地元の子がいないであろう進学高に入った。
それだけじゃない。
クールビューティといえば、知的な雰囲気を漂わせているだろうと思い『日常の豆知識』」だって読破した。
それに、今の私はロングヘアーだ。
漫画のクールビューティなキャラを思い出してほしい...頭に黒髪ロングヘアーが浮かんだだろう。私はこのお約束を守るために中学3年生のころからボブだった髪の毛を地道に伸ばしてきた。しかし、一年と少しだからミディアムが少しだけ長い位だが、まぁ及第点といったところだろう。
入学式が終わり、新入生はそれぞれの教室へと向かった。
そして、遂に自己紹介タイムが始まった。
人というのは第一印象でその人の人柄を判断するものだ。その点、私は第一印象はもうクリアしている。だから、この自己紹介をクリアすればもう完璧なはずだろう。
「有沢早矢香です。
趣味は音楽を聴くことです。
よろしくお願いします。」
「有馬誠です。
趣味はゲームです。
特に、ドラ●エが好きです。
よろしくお願いします。」
「入江奈美です。
趣味はお菓子づくりです。
よろしくお願いします。」
次々と自己紹介が進んでいく。
次の次には私の番がくる。
今のところ、趣味を言うスタンスが続いている。私もこの流れで自己紹介をするとしよう。
「永安寺夕陽です。
趣味は読者です。
よく推理小説を読みます。
よろしくお願いします。」
何だと!?
私が考えていた内容と丸々一緒じゃないか!?
クールビューティなキャラといえばクールは知的、ビューティは美しくしさである。
その、クールの部分が被っているだと!?
この人、よく見たら美形だ.....
もしかして、クールビューティの座を狙っているのか!?
「次の人、早くしてください。」
しまった、先生に催促されている。
これではクールの部分が...
いや、今からでも巻き返せるばずだ!
私はすっと立ち上がり、
「乙瀬莉乃です。
趣味は私も読書です。
最近、『日常の豆知識』を読破しました。
よろしくお願いします。」
と言った。推理小説の代わりに『日常の豆知識』に代えてこっちの方が知的だというアピールをしてやった。しかも、高く凛とした声で話したからもう完璧なはずだ。漫画であればキリッという効果音が響いているだろう。
ふっ、勝った!!
私は密かにガッツポーズをして席に座った。
その後の自己紹介でも、キャラ被りがいないか確認したがいなかった。
ふふふ、これでクールビューティの座は私のものだ!!
永安寺くんは、髪の毛がロングではないからな。
さっきは、焦ってしまったがビューティの部分はロングのはずだ。
ふっふっふっ....
乙瀬は気づいていない。
ミ●キーのような声で話していたこと...
ガッツポーズをおもいっきりしていたこと....
クラスメートが笑いを堪えていること...
そして、『豆知識』で知的さはアピールできていないということに...
もし、誤字脱字があればご指摘お願いします。