2-5 詫び方
昼食にキッチンカーが安価で販売。
生徒全員参加しやすく楽しい気持ちの体育祭も最後の種目。体育祭の花形競技を詰め合わせるそうだ。
MC「最後は、出来る人だけ参加の組体操リレーです。自信のない人は応援してください」
組体操リレーとは、10人で組体操の型を作り難易度の高い型を作った組は、難易度に応じてリレーの人数が決まる。タワーを10人で完成させた場合難易度が高いとして3人で1周のリレー。ピラミッドの場合は、4段を完成させた場合難易度は一段階下がり2人で1周のリレー。その他は、4人で2周のリレー。その綺麗で安全に決まると旗が上がりリレーはリレー専用の選手が走る。自信のある人だけが参加するので、自信のない人が強制参加させられることはない。運動に特化したE組は難易度の高い型を選び、学力に特化したA組は、難易度を低くし2周するのを選んだ。
MC「組体操は危険だと世間では言われています。しかしそれは、運動が苦手な人が入ることで危険になりやすいだけのこと。運動が得意な人は、組体操の廃止を嫌います。私たち生徒会では、運動が得意なE組から熱烈な要望がありました。勝ち負けだけではなく花形競技に参加したいという気持ちはどうか大人の皆さんに理解してほしいです」
今まさに、MCの副会長が宣誓したように、大人と戦うぞという意味がここにあった。
今回の体育祭は、どこがどう勝ったとかの点数や評価はなく、競技の1つ1つに評価がありそれを評価するのであった。運動が苦手な人も優勝できる可能性を残した今年の体育祭は成功と言えるだろう。生徒会もその他の生徒たちも皆晴れやかな気持ちで閉会式を終えた。
魔王株式会社としては、これ以上学校と強く関わることもないとしてデータだけ預かる形で契約を終了とした。
不破派欲汚「営業魔王よ。このあと、学校や生徒会からなにかあったら報告するように。そなたらだけで解決させようとしないように。それから、データは個人情報があるだろうから厳重に保管するように。コピーは、1回までとする。コピーも同様に厳重に保管せよ。なぜコピーする必要があったのかを明記し私に一度報告するように。持ち出しは厳禁である。一般企業とは違い、将来のある子供たちが契約者だ。彼らが道を踏み外さないようにするのが我ら魔王株式会社のつとめ」
営業魔王「畏まりました。必ずや」
不破派欲汚「この後私は都の教育委員会に顔を出してくる。そなたも来なさい」
体育祭で問題となった学年主任らはまだ自身のことを疑っていない。
2学年主任「しかし困りましたね」
1学年主任「本当に。生徒会は何を勝手に」
2学年主任「いえ。私を含めあなた方の事ですよ」
3学年主任「私らが?どっちかと言えば被害者は我らだ。勝手なことをされて面目つぶされたよ」
2学年主任「はぁ。私はこれ以上あなた方と一緒にされたくありませんので学年主任を辞させてもらいます」
3学年主任「それはいいが。なぜだ」
2学年主任「それはあとでわかりますよ」
そして、生徒会には厳しい風当たりとなる。次の学校行事が再び妨げられてしまいかねない事態。
2学年主任「君たちには済まなかったと思っている。だから、ごにょごにょは出さないでくれ」
書記「ポニョか!」
生徒会長「んん。なにかやましいことでもあるのですか?」
2学年主任「それは。それは言えないが。プライベートの問題だからね。君たちが詫びて許してくれるなら何度でも詫びよう。どうだ」
生徒会長「いい大人が生徒に媚びへつらうのは見苦しいですし、語尾がおかしいんですよね。なぜ命令されてるのか理解に苦しみます」
2学年主任「そうか。申し訳ないことをした。頭ごなしに否定をしたのは、この学校の伝統なのだ。生徒会は作るが生徒会は教師が誘導するようにというのがあってだな。いえ。あってですね。私はそれに従っただけに過ぎないのです。なので、私は無理にさせられていたのであり本意ではないというのを信じていただきたく思います。申し訳ありませんでした」
生徒会長「今の言葉は記録しました。この後、全校生徒とネットで会議します。以上です。室外へどうぞ」
2学年主任は自身の保身をかけて謝罪したが、その場では許されず宙に浮いた状態となった。
生徒会のネット会議の結果、なぜプライベートの問題なのかをハッキリさせないことには許すかどうかは決められないとなった。
生徒会長「魔王様。以前預かっていただいているデータはこちらに渡していただけますか?」
営業魔王「理由を聞いてからになるが」
生徒会長「一部の学年主任が謝罪をしました。その音声を全校生徒に配布しました。その結果、プライベートの問題だから。という謎の言葉が皆引っかかりまだ許すかどうか分からない状態なのです。もしかして、データに何かあるのかなと思い。こちらで検証しようかと思いまして」
営業魔王「こちらのデータは、何一つ見ていませんがこちらで一度確認してからでも良いでしょうか」
生徒会長「それはどういうことでしょう」
営業魔王「酷い罵詈雑言や酷い映像があった場合、まだ精神が出来上がっていない若い心に傷を負わせてしまう恐れがあるからです」
生徒会長「そういうモノの可能性もあるということですか」
営業魔王「そうですね。見つかった場所が場所なこともありますので」
生徒会長「それはどういう場所でしょうか」
営業魔王「それはまだ何とも言えません」
生徒会長「それを見て魔王様たちが傷つくことでもあるのでは?」
営業魔王「人によってはあるかもしれませんが、私たちはこの道のプロです。それに、ご存じないかもしれませんが、私たち魔王株式会社で勤める社員たちは決まって心に傷のある者たちなのです。その傷が癒えた者から自己申告で魔王と名乗っております。魔王と名乗るからには、プロ意識を強く持たねばなりません。お任せください」
生徒会長は渋々帰っていった。
営業魔王らがデータを確認したところあまりにも取扱注意なモノであった。
営業魔王「(ぴんぽんぱんぽーん)魔王よ集まれ!緊急会議だ!」
今動ける魔王と言う魔王が集まる。そこには、不破派欲汚もいる。
営業魔王「集まってもらいすまない。先日の中学校での体育祭に関係したことである。体育祭後に生徒会長が来られ一部の学年主任が謝罪をしたようだ。冷静に生徒全員とネット会議を開き意見を聞いたところ『プライベートの問題』というおかしな濁し方をしたことが判明。それらからこちらでデータの中身を確認してから考えると伝えてあります。その後データの中身を確認したところ、あまりにも酷い内容でこうして緊急会議を開くこととした。忙しい中すみません」
法務魔王「それは私らの仕事だな。内容の一部でよいので私の方にデータを移してくれ」
いくつかの音声データといくつかのモザイクが必要なほどの動画と画像を送信。
法務魔王「なんだこれは。これを世に出せば大きな問題に発展しかねない」
営業魔王「そうなのです。なので、魔王方の意見を広く承りたく思い招集したのです」
法務魔王のPCをのぞき込む幾人かの魔王たち。そこへ、不破派欲汚も混ざる。
法務魔王「魔王様はいかがでしょうか。生徒に手渡せるようなものではありません」
営業魔王「その多くは、更衣室やトイレに仕掛けられていたものです。男女関係なくありました」
不破派欲汚「そうか。なんとおぞましい。これが例の『プライベートの問題』なのかもしれんな」
営業魔王「はい。恐らくは。指紋を採ってあります。いつでも警察に届けられます」
法務魔王「それは、最後の最後だ。今は、どこを切り取って生徒会に手渡すかだ」
不破派欲汚「音声データでなにかないのか?」
営業魔王「それが何とも言えないものでして。仕掛けたのは学年主任だと思われるので、彼らの声が入っていればよかったのですが」
不破派欲汚「そうかそれでは提出しづらいな」
技術魔王「だったら、生徒会に提出せずに校長や教頭に見せたらよいのでは?」
営業魔王「それなのですが、校長や教頭に人事権が無いため困惑するだけなんですよ」
技術魔王「ということは、やはり教育委員会に持ち込むほかないのか」
営業魔王「そうなると困るのは、生徒会なんです。生徒会は、これらのデータを世に出すのは校長が来年定年を迎えるので、無事定年退職をしたのちに公表したいと言ってます」
魔王たち「なるほどねぇ」
魔王たち「優しいな。だがそれでは悪化しかねないな」
法務魔王「でもなんで、生徒会は校長に義理立ててるんだね」
営業魔王「詳しいことは聞いてませんが、恐らくですが、体育祭を止めることなく続けさせてくれたことや審査委員として活躍してくれたことに恩を感じているのではないでしょうか」
法務魔王「でもさ、なんでそこまで恩を感じるのかな。学年主任の上司は校長や教頭なわけだろ?部下の躾は上司の責任じゃないの?」
営業魔王「それは、大人の理屈なのかもしれません。まだ未成年の生徒会長はその考えが納得できないのかもしれませんね」
不破派欲汚「わかった。ひとまずこの件は、口頭で市の教育委員会に報告するとしよう。まだ教育委員会から支払われてもいないしその催促にでもしに行ってくるよ」
営業魔王「でしたら私も」
不破派欲汚「いやいいわ。営業魔王はとりあえず法務部と一緒にデータの選別をしておいてくれ。市の教育委員会がゴネたら使うよ。まとめといて」
CEOの一声で決まった。他の魔王たちは特に意見することなく心に受け止めて終了。
たぶん次で2話は終わる予定です。
またみてね




