2-3 文化祭?
無事体育祭の開会式からの最初の種目が終えた。
MC「次の競技は、カラオケです。クラス対抗となります。クラス全員で歌うようにお願いします。採点は、校長先生と教頭先生。音楽の教師2人にも参加してもらい、PTA会長と商店街のカラオケ喫茶の店長さんを迎え、生徒会から会長と書記と会計と庶務の4人。計10名で審査します。歌は何でも良いですが、一応学校ですのであまり歌詞に難のある歌はご遠慮ください。あと、校長先生は来年定年されます。なるべく10年以上前の歌でお願いします」
運動場には笑いが広がる。
1学年5クラスで計15クラスが1組ずつ歌う。ポイント稼ぎに校歌を歌うクラスや短くてポイント稼げそうな国家を歌うクラスもあるが、自由に歌ってよいということで幼いころに流行った歌を歌うクラスが多く目立った。最近のヒット曲は、校長たちに悪いと判断した懸命なクラスがあり、生徒会の意向に従う。
MC「皆さんご苦労様でした。では、採点結果をまとめてます。もうしばらくお待ちください」
3学年主任「生徒会長。なんですかこれは。こんなのは競技にありません!それに、体育祭ですよ。これは体育と無関係な競技。なにがカラオケですか。次の競技はなんですか?プログラムを見せなさい!」
生徒会長「お見せできません。もう体育祭は始まってるのです。それに時間に限りはありますので、これ以上邪魔をするというのであれば、こちらにも対策はあります。遅延行為は認めません」
1学年主任「なにを偉そうに!学生の分際で教師に楯突くとはどういうつもりだ!」
生徒会長「仕方ありません。これ以上妨害が続くのは不本意です。副会長!」
会長から副会長に指示が飛ぶ。
MC「緊急!緊急!緊急招集です。魔王様お越しください!」
魔王という聞きなれない言葉に、運動場は誰もが耳を疑った。
この日のために、校舎の裏口から入り待機していた。
不破派欲汚「お呼びだな。各魔王たちよ!いまこそ我らの力を示せ!行けええええええ!」
魔王の怒号で運動場を取り囲むように現れる。
魔王「今日の魔王様ノリに乗ってたな。ああいうのやりたかったんだろうな」
魔王「わかる。俺もいつかやってみたいな」
魔王「だったら、死社長やればいいじゃねえか」
魔王「ばか。死社長になってもそんなに人いねえだろ」
魔王「だよなー。俺らも魔王だけどこれほぼ自称だもんな」
魔王「それ言うなって言われてるだろ!」
魔王「自称でも魔王に代わりは無い。胸を張れ」
魔王「アツイね」
魔王「チャカすな」
1学年主任「なんだ君たちは!おかしな恰好をして!」
3学年主任「学校と関係のない者たちはお帰り願おうか」
不破派欲汚「まぁまぁ。落ち着いて。私の名は、不破派欲汚。この者たちのトップである。魔王株式会社という企業をご存じかな?」
2学年主任「それって、あの各新聞社の一面広告を出されたという」
不破派欲汚「ええ。それで間違いありません。今日は、依頼を受けてこちらに来ております」
3学年主任「誰だ!誰がこのような不埒者を!」
生徒会長「それは僕らです。生徒会が依頼をしました」
各学年主任「なんだって?」
1学年主任「生徒会が勝手に依頼したのか。なぜそのようなことを。体育祭は伝統に則った由緒ある競技の数々を。大体君たち生徒会は」
不破派欲汚「そう頭ごなしに生徒会を批判してはいけないのでは?生徒会とは学校行事に積極的に参加することを謳ってます。当然ご存じでしょう。嫌々で参加するのは積極的とは言いません。生徒会は、私たちにプレゼンをしてくださいました。より良い学校行事に各生徒がひとりとて漏れることなく参加することを前向きに楽しめるように。と。素晴らしい生徒会だと我らは喜び引き受けたのです。運動が苦手な生徒を置き去りにするのは前向きではありません。いかに楽しめるかが大事なのです。教師のあなた方はそこを理解できてますか?」
3学年主任「それはそうであるが、だが、我らに一言も言わずに勝手な行い。これは処罰の対象となるだろう。生徒会が扇動した罪は重い。覚悟しておくことだな」
生徒会長「それは、学年主任のあなた方教師にも言えますね。そうですよね。魔王様」
不破派欲汚「ええ。今は無事にこの運動会を終わらせることです」
生徒会長「魔王様。僕たち中学生ですので、体育祭です」
不破派欲汚「すまない。ということだ!フハハハハ首を洗って待っておれよ。はーはっはっははは」
校長たちのいる前で、学年主任と生徒会が揉めたのをグッとこらえて見守る。
MC「なんか色々ありましたが、採点結果がでましたので発表します!」
生徒たちは、どこか置いていかれてるところがあったが、結果発表でどこか目を覚ます。相変わらず運動場には、魔王たちが配備されている。
MC「2年A組が869点で優勝です!おめでとうございます!」
クラス委員「ありがとうございます。みんなやったよー」
MC「練習されたんですか?」
クラス委員「この話を聞いて各自練習をしてます」
MC「どおりで!では、校長先生に聞いてみましょう。校長先生いかがでしたか?」
校長「素晴らしかったですね。私が素晴らしいと思ったのは、下の部分をキレイに歌われたこととハモリを入れるなど僅かな時間によく歌えたと感心しました。優勝おめでとう」
クラス委員「ありがとうございます。生徒会にも感謝です。私たちA組は学力上位が集まるため、運動が苦手な人ばかりなのでこうして参加できただけでも良かったです。ありがとう」
MC「泣かないで。運動が苦手な人も前向きに参加できるようにと私たちは全校生徒と約束したのですから。それを実行しただけです。そうですよね。会長」
生徒会長「はい。引き続き体育祭を楽しんでくださいね」
MC「優勝した2年A組には、図書カードをプレゼントします。こちらは、魔王株式会社さんからの提供でした」
2年A組の生徒全員に1人500円の図書カードが配られた。
MC「先ほどの10m走で記録更新した2年D組の戎くんにも図書カードが贈られます。これらは魔王株式会社さんからの提供です。皆さんも実力発揮をお願いしますよ!」
生徒たちは、優勝すると賞品がもらえると分かると大きな声で騒ぐ。
MC「次の種目は、学年別クラスリレーです。距離は特に決まっていませんが、足に自信の無い人は短い距離で足に自信のある人は長い距離を走ってください。ただし、走らずにバトンパスは面白くありませんので、隣と手が当たらない距離まで離れましょう。1歩以上動くくらいの距離でお願いします。トラックは、1周400mを1クラス30人で2周してもらいます。では、手本となる3年生からお願いしましょう」
各クラスでは、相談しながら決める。クラスによって特色が出るのが面白い。第一走者からバトンでつなぐクラス。途中で100m以上走るなど特色が良く出ておりなかなか面白い。
MC「では3年生準備できましたね」
パンっ
一気に、リレーが始まる。走った方が早いのは確かであり、第一走者が走ったC組が大きくリード。しかし、細かくバトンが渡るとかなりの勢いで追いついていく。一歩踏み出すだけで手渡すため走りながらのバトンパスにはならず、安定して手渡せるのが最大の武器。走りながらだと精神的に慌ててしまうことがあり上手くバトンが渡せないことがある。走った選手は再び元の位置に戻る必要があるためどの位置に戻るのかわかりにくくなる。同時に複数のクラスが動いているためである。
MC「ゴール!1着は、E組でした!運動に強いE組らしい結果となりました。クラス委員長さんはどちらでしょう。ああ手を振ってる方ですね。行ってみましょう」
クラス委員「ありがとうございます。伝統のE組がリレーで勝ててうれしいです」
MC「委員はどれくらいの距離ですか?」
クラス委員「私は、10mくらいです」
MC「他の生徒はどれくらいですか?作戦を教えてください」
クラス委員「男子は10m~100mで、女子は3~50mくらいで走りました。重量級の生徒もいるので、男子でも10mならと参加してくれました。こういうのは、女子より男子が花形なので、譲ったんです。本当は、女子でも陸上部がいます。でも、恰好つけたいでしょ。だから譲ったんです」
MC「なんて心の広い作戦でしょう。優勝したE組には、図書カードをお贈りします。ここで、魔王様にもインタビューしてみましょう。魔王様はいかがでしたか?」
不破派欲汚にインタビューをしたのは、1・2年生の作戦を練る時間と移動時間を考慮してのこと。その後も校長や教頭。PTA会長にも聞いて回る。そうこうしてるうちに、2年生がスタートし1年生も無事全員参加できるのである。




