7-16 帰路
慰安旅行での自己紹介。
営業魔王 鈴来一郎 すずき・いちろう
技術魔王 井頭忠治 いとう・ただはる 娘 美岬 ニックネーム カイ
人事魔王 佐島純 さとう・じゅん
法務魔王 高梁十六蓮舎 たかはし・いそれんや
総務魔王 綿鍋望斗 わたなべ・ぼうと
メガネ社員→秘書魔王 田中与兵衛 たなか・よへえ
井頭妻 井頭夏絵 いとう・なつえ
カイ 井頭カイ美岬 いとう・みさき
佐島妻 佐島麦 さとう・むぎ
多雅楽 おおの・まさき 元実業団バレーボール選手
虎俺乃姫 とらわれ・のき 不破派欲汚の恋人。男姉さん
2日目は、自由行動。
朝食を食べ各々好きに行動。
虎俺乃姫「ほんとに富士山好きね」
少し呆れたように口にする。
不破派欲汚「まぁな。なんていうか、山梨側から見た富士山はまた格別なんだ」
虎俺乃姫「そういうものなんだ。山だなとしか思えないわ」
不破派欲汚の目には、新幹線や東名高速道路で静岡側から見ていたことが多く、山梨側から見る富士山は別の顔をしていると思っている。
鉄道に乗りふらふらとしてると
虎俺乃姫「ねえ。せっかくだから遊園地に行かない?」
不破派欲汚「不死級排卵怒か。良いな。まだ行ったこと無いんだ。ある?」
虎俺乃姫「あるよ。じゃあエスコートしてあげるね」
30分後
虎俺乃姫「これとこれとあれもどれからいこうかな」
不破派欲汚「任せろドンとこい」
1時間後
不破派欲汚「もう。勘弁してくれ」
虎俺乃姫「ええ?ここからなのに。もう。ひとりで行ってくる」
2時間後
不破派欲汚「あいつの胃どうなってんだ。同じモン繰り返し乗って」
虎俺乃姫「ひゃっはー」
3時間後
虎俺乃姫「あー楽しかった。お昼食べたらまた乗りましょ?」
不破派欲汚「昼食ったら他行こう。な?」
お昼食べ終え
虎俺乃姫「最後にアレ一緒にね?」
脇に抱えられ移動。
不破派欲汚「俺が囚われてどうするんだ」
観覧車内
虎俺乃姫「これなら大丈夫でしょ?」
不破派欲汚「あ。ああ。(よかった)」
虎俺乃姫「今度は夜の観覧車に乗ろうね」
不破派欲汚「そうだな。楽しみにしてる」
井頭カイ美岬「わぁ。まおうさまあぁぁぁぁああっあっあ」
帰ろうとしてる不破派欲汚たちを見つけ駆け寄る。
不破派欲汚「おお。カイちゃんか。お父さんたちは?」
カイ美岬「ん?あっち」
振り返り後ろを指差す。
井頭夏絵「すみませーん。もう。美岬ったら」
その後ろを離れてカメラを向ける忠治。
パシャ
スマホ撮影が当たり前の時代に、懐かしいchunonの一眼レフで撮影する。
さすがは技術魔王というところか。大事にしているのがわかる。
夏絵と乃姫はテラスでお茶、欲汚と美岬はメリーゴーランドに乗り、それを忠治が撮影。
どちらが父親かわからない。
不破派欲汚「楽しかったな。乃姫。このあとどこ行こうか」
井頭夏絵「でしたら、私達道の駅に行くんですがご一緒にいかがですか?」
虎俺乃姫「私達電車バス移動してたんですが、レンタカーですか?」
井頭忠治「レンタカーです。娘がいますからね。自由に動けると便利なんです。ワンボックスなので乗れましょ。いかがですか?」
不破派欲汚「じゃあ、一緒にお願いしよう。家族水入らずにすまないな。カイちゃん行こう」
河口湖畔にある道の駅
井頭忠治「風が強いですね。どうします?」
不破派欲汚「ひとまず降りよう。そこから考えよう」
あと1・2時間で日が暮れる。徐々に雲が出てきて一枚羽織ってるくらいでは肌寒く感じる。
カイに朝のうちに着ていた軽めのダウンを着せ、首にはマフラーを巻き手袋を着ける。なかなかの10月中旬にしては完全防備に見える。幼い子供にはこれくらいでちょうどよいという。
虎俺乃姫「寒っ!思った以上に寒いよ。風強いし」
不破派欲汚「仕方ないさ」
そこは仮にも魔王。胸を張りどーんと立つ。左腕にカイを抱っこ。右腕でカイを包み込み寒さを和らげる。
カイ美岬「まおうさまあったかーい。んふふ」
湖畔が目の前にあることで風が強くなる。遮るものが無いからだ。
子どもには面白くないのかだんだんとぐずりだす。
不破派欲汚「カイちゃん?道の駅の中に入ろうか」
寒さと面白さがないことから室内へ。
欲汚とカイでキャッキャとお土産ものを選び笑い合う。
虎俺乃姫「私達のこと眼中にないね」
井頭夏絵「眼中?カッコイイね」
素が出てしまう。
宿に戻り解散。
カイ美岬「まおうさままたねー」
少しむくれ顔の乃姫。
不破派欲汚「そうだ。コレ」
小さな包みを手渡し開ける。
虎俺乃姫「えっ?これって」
不破派欲汚「ひとりにさせることが多いからね」
リングとネックレスのおもちゃ。
不破派欲汚「本物は帰ったら。ね」
虎俺乃姫「ううん。コレがいい」
不破派欲汚「そう?カイちゃんに薦められたんだ」
虎俺乃姫「それ言わなきゃもっといいのに(小声)」
不破派欲汚「それとは別に、今度ふたりだけで旅に行こうな」
無事その日は終わった。
幼い子供とはいえ、別の女から薦められたものをプレゼントされたことに少し残念に思う。
大人げないと分かっていてもどこか引っかかる。
翌朝
ロビーに集まる。
鈴来一郎「全員そろいましたね。ではバスがまもなく到着します。個々人で帰られる方は一言申し付けください。バスで帰らないからといってペナルティはありません」
どっと笑いが起きる。
人事魔王の佐島純は、途中までバスで移動し首狩PAで落ち合うことにしている。元人事魔王の瀬戒能繁文呉手が待っている。社用車に乗り換えて戻る予定である。瀬戒能繁文呉手魔王は、社用車に同乗して移動が決まっている。
そうして、楽しい慰安旅行は終わりに向かう。特にこれといった事件事故はなく無事に到着した。
バスの中でもカイ美岬とCEOは、親子のように仲良くキャッキャと楽しんだ。
解散で各々別れていくのだが、カイ美岬は最後までごねる。
不破派欲汚「カイちゃん。今度は会社に遊びにおいで。お父さんといっしょにね。美味しいお菓子でも一緒に食べようね」
カイ美岬「ほんと?またあそんでくれるの?わかった。またあそんでね。ばいばい。まおうさま」
二ヶ月続いていつになく長くなりました。すみません。
慰安旅行編は今回で終了です。
8話は一月遅れの11月を書きます。こうやって遅れていくんでしょうね。
またみてね。




