2-2 開会式
【魔王株式会社 人物】
不破派浴汚30歳 CEO 独身、恋人あり。 美味しい物全般。
気づいたらCEOだった。心に傷を負った人だけを雇う企業。
CEOと名乗りたい魔王。
営業魔王 28歳 営業部課長 独身 趣味:そば打ち
課長でありながらフットワーク軽い。そばは良い。そばを打ってると日々の悩みがそばに溶け込むようでスッキリする。
技術魔王 45歳 技術部係長 妻と子供2人 趣味:最新機器いじり
前職はSEで、体と心を壊し転職してきた。
法務魔王 46歳 法務部部長 昨年離婚 趣味:名湯巡り
前職は個人事務所の弁護士。個人ですべてを抱え心を傷つけてしまう。魔王株式会社の前身NPO法人魔王より社会復帰。
生徒会長 13歳
一人称は、僕・ぼく・ボク。サーモンは寿司に非ず。
副会長 14歳 元会長
一人称は、私・わたし。焼肉はハラミ一択。
書記 13歳
メガネっ娘。きな粉ご飯が好き。
依頼の中学の生徒会室
生徒会長「それでどうにかなりそうでしょうか」
営業魔王「大丈夫です。明日から校内にある盗聴器をすべて取り除きます。校内に出入りする業者と連絡済みです」
生徒会長「でもそんなことしたら学校が不審に思いませんか?」
営業魔王「ご安心を。そこはプロの仕事です。それに業者のトップに今回のことを話すと『協力させてもらう』と言われてます。自分の子供のことを考えれば自ずとこちらに加担していただけます」
書記「この部分は記録しないほうが良いでしょうか」
生徒会長「いや、記録してほしい。ただ、記録はプロの魔王様に預けるように」
書記「でもそうしたらお金が発生して」
営業魔王「ご安心を。支払いが発生しても生徒会に請求は致しませんし、それに、勇気を振り絞って我らにご依頼くださったのです。学校と戦うなんて。なんて素晴らしい!立派なのでしょうか」
生徒会長「魔王様よろしくお願いします」
営業魔王「かしこまりました。お任せください」
生徒会と魔王株式会社の信用はさらに深まる。
翌日
業者に協力を得た技術魔王ら。校内をくまなく検査をする。校長室も例外なく。
盗聴器の元をいくつか特定できた。各学年主任の席から見つかる。
それらの報告書を本社に送信。
魔王「これは随分とヒドイ結果だな。このような学校があってよいのか。なんのための生徒会だと思っているのか。大人が生徒会をも操作対象にするとは。えげつないな」
営業魔王の元へ不破派欲汚からメールが届く。
魔王《生徒会の依頼を完遂するように。本社に教育長を呼び出して話してある。そなたの手腕で生徒会の思うようにやらせるように。ただし、教師らに手を挙げるような行為だけはは慎め。まぁ分かっているだろうが。体育祭を成功させるのはそなたと生徒会にかかっている。充分サポートするように!》
営業魔王「魔王様。ありがとうございます。必ず生徒会の考えた形に持ち込みます」
生徒会長「どうかされましたか?」
営業魔王「思う存分、体育祭を盛り上げましょう!新しい形の体育祭にしましょう!」
生徒会では、事前にひとりひとりの生徒を呼び出し話を聞いている。それは、まだ魔王株式会社に依頼する前のこと。盗聴器で聞かれている恐れがある。
営業魔王「それでよいのです。教師たちは、阻止してくることでしょう。それらを我らが妨害します。その間に、生徒会は自分たちで企画した体育祭を開催してください。どの生徒も漏れることなく楽しめる体育祭を是非開催していただきたい」
生徒会長「いくつか問題があります。それは」
体育祭当日
体育祭本番当日までに学校では謎の練習がある。謎の行進や謎の組体操の練習。あの練習に何の意味があるのかわからないのだが、学校と言うのは練習を何においてもさせたがるものである。
練習には、生徒会は関わらず、教師に言われるがままに従った。しかし、各クラスのクラス委員らには根回ししてある。
2学年主任「では、生徒会がなにか企んでるようですがここまで特になにも問題ありませんでした」
3学年主任「大人ぶりたい年ごろなのですよ。青いですね」
1学年主任「昨日も一致団結で騒いでました。あの子たちがどんなに団結しても我ら教師に逆らえるわけがないのですのに。ああなんて可愛いのでしょう」
3学年主任「このことは、教頭以上には伝わってはいませんよね?」
1学年主任「もちろんです。あの方々は、所詮お飾りです。我らがどんなに毎日苦労してるか分かったもんじゃありません」
2学年主任「ですが、最近の生徒会の話の内容がどうも気になります」
3学年主任「そうですか?気にしすぎですよ。では、まもなく体育祭が始まります。行きましょう」
これまで生徒会主導という体裁で、体育祭が実施されていたが、生徒から毎年不満が出ていた。
体育祭の種目に参加したくないという生徒が年々増え、今年は4割にまで増えた。よくわからないが2割、体育祭大好きは4割という。生徒会としては、参加したい生徒のことを配慮し従来の競技を残したつつ、参加したくない生徒のために体を極力使わない競技を追加した。教師たちには、別に新しく考えた競技を追加したことにしている。
副会長「宣誓!我々はスポーツマンシップに則り正々堂々と大人たちと戦うことをここに宣言します!生徒会副会長」
ペコっと生徒たちに頭を下げ、次に、教師たちに頭を下げる。
生徒から会長コールが上がる。
教師たちは、ざわざわする。
3学年主任「ん?聞き間違えたか?」
教頭「先生。今生徒会は何を言われたのです?」
2学年主任「教頭。大丈夫です。これくらいの生徒はイキがるもの。今の生徒会ではこういうのを言いたい子供たちなだけです。あとで注意しておきます」
教頭「いえ。何と言われたのかを聞いてるのです。聞き間違いかと思い」
3学年主任「ええ。恐らくですが。大人たちと戦うと言われたのではないかと」
教頭「そうですか。わかりました。楽しみですね」
2学年主任「へ?」
競技が始まり流れはいつも通りの体育祭である。生徒たちは真面目に体育座りで待つ。教師たちは、宣誓の挨拶が尾を引き混乱している。その混乱を生徒会が受け持つ。
MC「実況は、わたくし副会長が務めます!」
生徒「かいちょー かいちょー かいちょー」
MC「ありがとー。でもわたし、今は副会長だからねー」
この声に生徒から低い声が響く。
副会長1人、マイク1本で運動場を走り回る。フィールドプレイヤーである。
MC「最初の種目は、100m走ですが、時間の短縮を考えて10m走とします。スタートダッシュが問われます。運動大好き生徒もそうでない生徒もこれなら出てもいいという距離に設定しました。では、3年生からお願いします!」
当然、教師たちは止めに入る。
1学年主任「まてまてまて!こんな距離ではダメだ!」
3学年主任「そうだ。どこの競技に10m走なんてある!たかだか20秒程度のことに時間短縮なんてものがあるか!」
MC「このやりとりにも時間がかかります。ですので、10m走にすることで一気に短縮できるのです。まだ続けますか?続けた場合次の競技が飛ぶかもしれませんが」
ぐうの音も出ないというが、学年主任たちは「ぐう」と奥歯を噛みしめる。
MC「邪魔が入りましたが、タイム計測はしてます。記録更新に挑戦してくださいね」
記録が出た。
MC「3年生の記録は、2.05秒でした!すごく速いですね!この記録を出したのは、B組の宇佐院くんでした。おめでとうございます。このタイムを参考に2年生は準備して待ってください。宇佐院くんは、サッカー部所属です」
2年生が終わり。
MC「2年生の記録は、2.04秒でした。なんと宇佐院くんの記録を更新しました!3年生の走り方を見て独自のスタートを決めたようです。あっ1年生は準備おねがいです。D組の戎くんは、図書委員!運動は得意ではないとのこと。これは、誰にでもチャンスはありそうですよ」
1年生は2.13秒という平凡な記録で終わった。




