6-5 まとめ
9月中旬
全国の学校に派遣した魔王と死店・死社から報告が届く。
二学期がはじまり2週間ほど経った。生徒たちの心が落ち着きだすころ。
本社事務は件数や文字での報告書をまとめる。
営業魔王「進捗はいかがですか?事務魔王さま」
事務魔王「まだ半分ほどでしょうか。皆よく働いてくれてます」
営業魔王「わかりました。いつも丁寧な報告に感謝してます」
事務魔王「ありがとう。皆!手を止めこちらを!」
PCに向かって作業をしている事務員たちが一斉に向きを変える。
事務魔王「こちらの営業魔王さまより『いつも丁寧な報告をまとめていただき感謝している』とのお言葉をいただいた!適度に休憩をし報告書をまとめるように!」
事務員たちは、営業魔王に一礼をしまわりの事務員たちと喜びを分かち合う。
事務魔王「まだ集計の途中ではありますが、良い報告と悪い報告があります。お聞きになられますか?」
営業魔王「うむ。全体像まで把握できていないものの報告出来る程度の情報は確認できていると言うことだな。であれば、聞こう」
良い報告
学校に知らない人がいることにより視線を感じたのか飛び落ち死亡・怪我の生徒は今のところゼロ。
CEO様の演説動画が2.5万再生を記録。過去最高。
悪い報告
教師と魔王たちとの連携があまり上手くいかず、かえって手間を取らせてしまった。
魔王の一部の動きが不審だったからなのか通報されたのが1件あった。
不審火に気が付かず一部施設がボヤ。不満の声。
生徒の親から「魔王なんて恐ろしいのを学校に入れるとはどういう神経をしているのか」という問い合わせが2800件ほど。1校当たり50件ほどの問い合わせがあった。
事務魔王「と言う感じでしょうか。まだ半分でこれは少し多いですね。改善点を報告者と共に考えてから提出いたします」
営業魔王「わかった。手間を取らせるが頼んだ。改善点は各部署の魔王たちを集めて再検討するとしよう。その足掛かりを頼んだ」
9月下旬
事務魔王「報告書をまとめ終わりましたので、こちらを配布させていただきます」
魔王株式会社はいまでも報告書などは紙で確認する。目の悪い魔王には、会議室専用のメガネを着用し見やすくしている。アナログにしているのは、誤送信などの対策であり外部に漏れにくくするために敢えてアナログにしている。報告書を本社に送る際はメールではあるが、誰のともわからないまとめた数字や事例などは紙に記すことで社外秘を守りやすくする。
また、紙だと記録として残しやすい。間違えて消し去るにはアナログは手間がかかるが、デジタルは簡単に消去できてしまう。また容量などの問題もあり紙の方が残しやすく場所もそれほどとらない。
配布した書類は、会議終了と共に回収することになっている。どうしてもまた見直したい場合は、資料室で閲覧する決まり。資料室には資料魔王の許可を取り同じ机で向き合って読むこととなっている。面倒ではあるが、資料魔王は寂しがりなので向かい合わないと許してくれない。
こうして強固な守りで、重要書類を厳重に守るのである。
会議室
不破派欲汚「なるほど。ひとまず、死亡は無かったようだな。怪我は、8件と思いのほか少なく一安心したぞ。あとで、各死店・死社に褒美を取らせるとしよう」
のちに褒美として、1人カニを1杯ずつ配布した。
もちろん、抱えきれないほどのカニを持ち去るようなことがあれば、魔王呼称をはく奪となる。
事務魔王「それでは、改善点に取り掛かります」
来年の8・9月の二学期シーズンでの改善点をさらに煮詰める。
初年度からすべて成功するとは思ってない。しかし、改善点がある限りはさらに良い方法で生徒たちを守ることをしていかなくてはならない。
魔王たちは、改善点をじっくりと読み込み話し合い考える。事務魔王から経緯を詳しく聞き頭を悩ませる。
事務魔王は、報告書を書いた本人にメールで事の経緯を聞き取り調査しており、聞かれた質問に手早く答えることが出来る。
それらを踏まえた上で、翌日再度会議で煮詰めていく。
会議はその後何度も重ね、より良い改善案を作り上げる。
会議で改善点を決め来年もゼロ更新するぞ!と息まいて会議は終了。
今回のまとめと現場の声。
「普段の仕事は大人との戦いがほとんどであり、自分の弟や妹を見ているような気持ちになり応援したくなった」
「若い対象者を守るという仕事は、たまの仕事だからなのかもしれないが、新鮮な気持ちになり疲れた体も少し回復した気がする」
「女子高最高!!」
最後の声を発した魔王には、魔王呼称をはく奪とした。己の心の中までなら分からなかったことをわざわざ文字にしてしまったことで、勇者への誘い水にしてしまいかねないとし、はく奪者リストとして社内広報で全社員に知れ渡ることに。
【6-3参照】
屋上に入ろうとしたところを未然に防いだ件。
その後同じようなことが何度かあり未然に防ぐことが出来た。
しかし、昼休み頃には、「特殊能力かもしれない変な人」がいると話題になったようで、しばらく屋上出入り口から下に降りることができなくなる。
野良犬の件。
野良犬で騒がないようにするため、簡易な網と支柱で入りにくく改善。
これは魔王株式会社で設置したため費用はすべて会社持ち。
2階廊下からぶら下がるの件。
教師との連携を図り上手く行った一例。
その後、養護教諭と女子生徒の話し合いの中で分かったことがある。
飛び降りるつもりはなく、窓枠に足を掛けて遊んでいたところ体勢を崩してあのようなことに。
足首を持つ友人は、窓枠に足を掛けた時から掴んでいたという。
まさか本当に落ちるとは思ってなかったと本人も足首を掴む友達。
担任から説教はさせないように養護教諭から教頭へ話を進め担任との接点を極力減らしHRや授業だけ接点を作ると言うことにした。
担任は、女性教師で人望のある人物ではあるが、心配しすぎたことでの説教になってしまいかねないと敢えて引きはがすようにした。
無事でよかった。顔は赤く腫れているが、じきに治るだろう。
【6-4参照】
雨で足を滑らせる女子生徒の件。
足を滑らせ無防備な状態で頭を打ちそうになる。姿勢が崩れた時点で飛び出すも間に合わないとして、足から滑らせスライディングをすることで間に合った。床が湿気で濡れた状態。スライディングなら間に合うかもしれないと咄嗟の判断ができた。しかし、勢いが強すぎたのかスライディングで間に合うも数人の生徒の足と接触し軽いけがをさせてしまう。
命の危険と軽いけが。天秤にかけるようなことではないと分かっていても二学期最初の日に嫌な気分にさせたのは違いないとして、魔王呼称を一時返還とした。3ヶ月の呼称返還を与える。
不破派欲汚CEOの演説動画は、9月末までに3.2万再生された。
これまで、毎日更新でしたが、1話の下書き書き終えるのが9月1日だったので、ずるずると遅れ5話が10日となりました。
来月は何を書こうかな。たぶん、文化祭・学園祭になる予定。
不破派欲汚「魔王はく奪するぞ」
わたし「すみません。魔王様」
また見てね。




