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5-5 子供参観日

  児童「ぼくのおとうさんは、まおうです。おとうさんのおしごとは、ゆうしゃからみんなをまもるまおうなのです。ぼくもおおきくなったら、おとうさんといっしょにゆうしゃからみんなをまもるまおうになることです。おとうさんはいつもむねをはってはたらいてるとおかあさんがいってます。しいおうのふははよくきたなさんみたいにやさしいまおうになりたいです」


  教師「お父さんのお仕事をよく理解してますね。よく書けてると思いますよ」


 毎年、夏休み期間に魔王株式会社では子供参観日こどもさんかんびが行われる。対象年齢たいしょうねんれいは、小学1年生~高校3年生まで。午前の2時間を参観日。お昼からの2時間を本社ならびに各死社・死店の庭園ていえんにてBBQ。


 同日開催で、不破派欲汚CEO魔王とネットにつなぎ子供たちと会話を楽しむ。

 この日ばかりは、不破派欲汚は大忙しである。どんな質問にも答えなくてはならない。


  児童「ふははよくきたなさんみたいにしいおうになるにはどうしたらいいですか」

  不破派欲汚「うむ。いつでもゆうしゃのうごきに目を光らせられるようになる努力次第でなれますよ」


 児童相手にも真面目に回答する。


  生徒「魔王は悪い人だと聞いてます。なぜ勇者さまが悪者なのですか?」

  不破派欲汚「この質問はよく聞きます。ゲームやアニメなどの創作物そうさくぶつでは勇者が正義の味方という書かれ方をしていますが、必ずしもそうでしょうか。勇者は、魔物を見ると問答無用もんどうむようで叩き切ります。多くの魔王は、秩序ちつじょが守れないところに攻め込みます。なぜそのようなことをするのか。弱い人々が苦しんでいるからですね。多くの人々は、安寧あんねいを求めています。戦争を好みません。なので、安寧を与えると言う意味で魔王軍は不秩序ふちつじょからまもるために魔王が攻め込むのだと理解しています。創作物の魔王は悪者にえがかれがちですが、なぜ魔王が人々の住む国に攻め込むのかと考えると、規律きりつの取れた魔王の方がずっとマシだということだと考えられます。質問者様くらいの方々は、時折ときおり我が業界に興味を持ち心がざわつく事があると思います。それは、さらなる安寧を求めているからではないでしょうか」


 中学生特有(とくゆう)中二病(片腕が疼く)のも不秩序がまね衝動しょうどうなのだと隠語あんねいで伝える。


  児童「まおうさまになるにはなにがひつようですか?」

  不破派欲汚「特殊とくしゅなお仕事です。一度や二度の大きな失敗をした人だけが魔王になれます。失敗の度合どあいが小さい人はなれません。思わぬことでつまづいた大人だけが魔王株式会社で働くことが出来ます。そこから心を完全にいやした者こそ魔王なのです。お父さんやお母さんに帰ったら聞いてみてください。どんなツラいことがあったのか。どうやって元気になったのかを」


 挫折ざせつ経験のあるものだけが、面接を許される。特殊な会社。夢や希望だけで働くことのできない特殊さ。


  高校生「先ほどのお答えからの質問です。順風満帆では働くことは出来ないのでしょうか」

  不破派欲汚「その通りです。一度も挫折を経験してない人は、人の気持ちを理解するのがより一層難しくなると考えています。先ほど失敗を経験とありますが、その度合いは面接に来られる人の想いにもよります。ただ単にどんな辛いことでもけるメンタルが強ければ良いと言うわけではなく、人生をるがすほどの失敗を経験した人のメンタルはとても強くなります。本人は自信が無いでしょうが、我らにはその潜在能力せんざいのうりょくを引き出すために面接を受けてほしいと思っています。ねらってできることではありません」


 高校生ともなると現実が徐々に見えてくるころ。子供扱いせずに真正面から答える。


  高校生「わたしの場合は、挫折になるのか分かりません。ただ、いつもぼっちだと自負じふしてます。こんなわたしは魔王様になれますか?」

  不破派欲汚「ええ。誰でもなれます。ぼっちというのは、ひとりぼっちという意味でしょうか。でしたら、夏休み明けにお友達を作ろうとされてはいかがでしょうか。二学期デビューというのをやってみてはどうですか?ここで働く多くの魔王は、挫折を経験しここで働くことで本当の自分を出すことで気持ちよく働けてます。貴女あなたも本当の自分を出して生活してみてはいかがでしょうか。同級生はおどろくかもしれませんが、他者たしゃの目を気にせず自分らしさを出すことで、ひとりぼっちから脱却だっきゃくできるかもしれません。人は変化をおそれがちですが、貴女は貴女らしく生きる権利けんりがあります。どうか強く生きてください」


 学生時代は失敗をしても誰からも悪くは言われない。悪く言う大人が居たとしたら大人の身勝手な行為。大人が悪いのであり、未成年の学生はやり直しがいくらでも出来る。それを阻害するのは悪い大人である。高校3年生でも二学期デビューをしても良いのである。あなたはあなたらしく生きる。多少無理をしてでも学生の強みとして行動に移してほしい。


 児童の質問タイムが終わると中高生の質問に答える。

 家族が働く姿を見る時間が設けられている。

 中高生たちで質問より見学を選ぶこともできる。


じゅ~~~


 お昼からは、家族で楽しめるようにとBBQを楽しむ。


8月はこれで最後です。

みなさんも勇者にならないようにお気を付けください。

まだまだ暑いですからね。

イライラして狂人勇者バーサーカーにならないようお祈りしております。


来月もまた見てね。

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