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1-3 決着

  てづま「こないだのさ、SAGEの社内イベントでさ、酔っぱらった他の社員たちに暴力を加えていたよね。あれって、犯罪じゃないの?」

  魔王「いえ。当社では一切手を出すことはしておりません」

  てづま「証拠のVTRあるけど?」

  魔王「ではお見せいただけますか?誰か!プロジェクターを」

  てづま「なに、みんなで鑑賞するの?」

  魔王「ええ。多くの人に実態を確認してもらう方が良いでしょ?」

  てづま「これ映像として残すよ」

  魔王「ええ是非。ただし、社員たちの顔に濃い目のボカシと名前などは見えないように編集してください。少しでも誰かわかるようなことがあれば。ね?」

  てづま「これが魔王のやり方か!ハハハ」

  魔王「ではどうぞ」


 証拠VTRを一通り見たが、特に違和感はなく各魔王たちは手を後ろに組み社員たちの盾として立ち向かう。


  てづま「どう?」

  魔王「特に問題はないですね。どの辺をどう見えたのでしょうか」

  てづま「他の社員には聞かないの?」

  魔王「聞くまでもないでしょ。魔王たちは手を後ろに組み攻撃をしてません」

  てづま「そうかな。足元見た?足を踏んでるように見えない?」

  魔王「もう一度その部分を」


 VTRを再度確認するが、足を払うようにも見える。


  魔王「足を払うように見えるが。それは攻撃なのですか?」

  てづま「ケガさせたらそれは攻撃でしょ」

  魔王「例えば、攻撃しようと襲ってきた人物を避けて勝手に転んだのも攻撃のうちに入るのでしょうか?」

  てづま「人によってはそう見えるだろう」

  魔王「人によってはと言い出すと多くの事例が人によっては感じ方が違って見えてきます。自社の魔王をかばうわけではありませんが、攻撃から身を護るための手段として足を払うのは攻撃とは世間では言いません。防御姿勢とは、手も足も出さないという意味ではなく、守るための手段として足を払ったり攻撃物を壊したりするのは攻撃とは言わないでしょう」

  てづま「わかったわかった。早口でペラペラと長く話すのは、自信が無い証拠だ。そうだろ?今日はこれで帰るけど、魔王株式会社は近いうちに世間から叩かれるよ。俺の動画でね。楽しみにしてな」


 てづまりYOU!は、捨て台詞を残して本社を去っていった。

 と思ったら、魔王に捕まる。


  魔王「ところで、この映像はどうやって手に入れたのでしょう?」

  てづま「・・・」

  魔王「社内イベントですよ。この画角は」

  てづま「・・・」

  魔王「どうされました?気分でも悪くなりましたか?具合が悪いのであればお帰り頂いても結構ですよ。ただ、この映像は見る人が見ればわかりますよ。素人の私でもわかります」

  メガネ社員「魔王様。あまり責めると勇者様がお困りになられます。この辺でいかがでしょう」

  魔王「そうだな。そうするとしよう。てづまりYOU様。お分かりかと思いますが、ここまでの動線とフロアには防犯カメラがあるので、これまでの言動が記録されています。お約束守っていただかないと困るのは、てづまりYOU様だけになります。お疲れさまでした。動画楽しみにしております」


 懸命に笑顔で帰っていく。

 法務部が飛んでくる。それはそれは黒い羽根で。


  法務部「訴えますか?」

  魔王「まだ様子を見よう。もう少し待ってどんな動画か楽しみに待とう」

  法務部「最悪を想定して、裁判の用意をします」

  魔王「わかった。でも動画次第だし動画視聴者だってバカじゃないさ」

  法務部「しかし、てづまの動画は迷惑系や私人逮捕系などと呼ばれており多方面に迷惑をかけてます」

  魔王「ならちょうどよいではないか。本人は勇者気取りだろうが、正論を言われて困ってるだろう。ここに来たのも正義感だろうからな。その正義は誰かがジャッジしてくれるさ。まぁ準備はしておいたほうが良いかもしれないな。うん。準備だけはしておいてくれ」


 その日の夜には、編集された動画があげられた。かなり酷い編集で、都合の良い動画に仕上げている。また、初めに約束した社員たちの顔や名前が見えてしまってるのが一部に見える。若い女性社員だけに絞られている。こうして、訴えそうにない人物だけをピックアップしているのか。なかなか迷惑だ。この会話は、録音と録画がされている。法務部はこれを利用するだろう。ましてや、狭い部屋に閉じ込めてはいない。隠すようなことはなにもしていないのだ。十分戦えるのだが。


  魔王「どれ再生回数はっと。はぁ?まだ1万も行ってないのか。ナメられたものだ。【魔王株式会社を暴く】って今時テレビでもやらないつまらないタイトルだ。1時間経過して8000程度とは。ふぅ。なんとかは寝て待つとするか」


 翌朝、メールを確認すると。山のように取材依頼が来ていると報告。ひとまず、YouTubeのような金にもならない媒体は断るように伝え、大手メディアであるテレビや新聞だけに絞った。それだけでも十数社。朝から忙しくなる。

 ようやく魔王としての自覚が芽生えた。会社を守るという意味でのCEOとしての自覚を持ち始めた。


 キー局と大手新聞5社に絞り、スポーツ紙や週刊誌はすべて断った。

 大手の警備会社では、手を出すことをしない。ただ、護衛警護者に危険が迫った時のみ対処として得物を叩き落とす行為はある。魔王株式会社でも同じようにしている。これらを許可したメディアに映像と共に伝えてある。


 世間に伝えることが大事だと。大手警備会社との比較を提示しいかに間違えたことをしてないかと示すことで、世間は大人しくなる。結果誰からも叩かれること無く無事乗り越えた。所詮は、勇者気取りのYouTuber。名前はイカツい魔王株式会社。悪の組織に思われるが、実は、優しい世界を作るための傷を負った経験のある魔王が多くいる警備を主にしている会社。


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