緊急特集 魔王の衣服問題について
特別回です。痴漢から公序良俗へ発展するお話です。
意見がある方は、感想でお待ちしています。
魔王CEOはつぶやく。
不破派欲汚「まったく。痴漢行為をする勇者が後を絶たないのはなぜなのか」
不破派欲汚魔王は魔王株式会社の最高責任者(CEO)である。しばらく意識を失っており記憶を持たないが、今年の4月に目覚めた。不破派欲汚によって立ち上げられた魔王株式会社では、挫折の経験のある者だけを雇う。
勇者と呼ばれる一般市民がやらないことを率先して行動に移す者たちを指す。
痴漢をする勇者にため息を漏らす。特定の癖のある勇者が好む行為。その行為に手を染めればそれは犯罪であり一般社会にそぐわない者となり果てる。犯罪者は、逮捕されなければただの人。だと本人は思うのであるが、逮捕と関係なく被害を負う者がいる限りは犯罪なのである。
魔王CEOのため息に声を掛ける。
営業魔王「不破派CEO様痴漢がどうかしましたか?」
不破派欲汚「いや、報告書を見て残念に思ったのだ。なぜ、痴漢をする者が後を絶たないのか。犯罪だと分かっていながら手を染める。同じ男として残念に思うのだ」
法務魔王「彼らは、捕まらなければ問題ないと思ってる節があります。また、被害者に責任を押しつけようとしがちです。手を出さなければ良いだけなのですが。欲望に負けたのは犯罪者であるその者なのですが」
営業魔王「先日当社の魔王が露出度の高い衣装で、仕事をしていたという報告がありましたね」
不破派欲汚「その者は、今はどこにいる」
営業魔王「熊谷死店になりますね。日本一暑いと言われる地域です。2018年の記録なだけなのですが。今年魔王になられたばかりだと聞きます。名前は、匹弐尼魔王だと報告書にあります。屋外・屋内にかかわらず露出度の高い衣装で働いていると」
不破派欲汚「今すぐ呼び出せ。今日中に本社に来るように伝えよ」
緊急招集して1時間半。未だ到着しない。
営業魔王「渋滞中だそうです」
不破派欲汚「道はいくつもある。幹線道路が混んでいるなら他の道を使うか電車で来いと伝えろ」
いつになく厳しい口調。
それから1時間後到着する匹弐魔王。
不破派欲汚「ふははよくきたな。どいう意味で招集されたかわかるか?」
匹弐尼魔王「いえ。死店のことでしょうか。それともわたしがなにかしましたか」
不破派欲汚「そうかわからぬか。お主のその恰好についてだな。一体どういうつもりだ」
匹弐尼魔王「これですか。見てください。機能的ではないでしょうか。涼しく雨にぬれても拭くだけですぐに仕事が出来ます。この衣装を全国に広めたいと考えます。それにはまず」
営業魔王「口を慎め。匹弐尼魔王よ。そなたが呼ばれた理由は、その恰好というより衣装のことだ。それは、秩序を乱す行為であるとお考えなのだよ」
匹弐尼魔王「これは機能的であり美意識の向上も図れる素晴らしい衣装であると考えます」
法務魔王「ではそなたは、中高生の前でも同じなのか。人混みの中でもその恰好でいるのか?」
匹弐尼魔王「そもそもそのような場所に行きません」
人事魔王「そうか。例えが理解できないようだ。残念に思う。不破派CEO様。この者は、魔王として相応しくありませんでした。わたくしの責任です。人事魔王としていかなる処分でもお受けいたします」
不破派欲汚「人事魔王そなたは良い。匹弐尼魔王よ。そなたはいつからその恰好をするようになった」
匹弐尼魔王「熊谷死店に配属されてからです」
不破派欲汚「なぜその恰好をするようになった。その経緯を教えよ」
匹弐尼魔王「ご存じの通り、日本一暑い街だからです。スーツで仕事は出来かねます」
不破派欲汚「ではなぜ、そこまで際どい衣装を身にまとう」
匹弐尼魔王「ですから、暑いからです。涼しい恰好をしています」
不破派欲汚「言葉を変えよう。そのいかがわしい恰好を見てほしいのか。ただの痴女なのか?そなたは」
匹弐尼魔王「な!いくらCEO様でもそれは失礼ではありませんか?いかがわしい上に痴女とは。少し話させてください。途中で止めても話続けます。いいですか!この衣装は、れっきとした衣装であり、防御度の高い防具でもあるのです。いかがわしいと思うのはいつも男性です。仕事でもファッション性の高い衣装を着ることになんの問題がありますか。この衣装を着て痴漢をはたらこうとする男が悪いのです。男を喜ばすために着ているのではありません。機能的だからです。それだけです」
不破派欲汚「もうよいのか。分かった。人事魔王と法務魔王にそれぞれ聞く。社則で魔王の衣装に関して決まりはあるのか?」
人事魔王「ありますが、常識の範囲としています。また勇者と戦う際には、制服を与えています」
法務魔王「常識の範囲としていますが、どの魔王でもほとんどがスーツかシャツ程度です」
不破派欲汚「社則の改定を考えよ。自由を締め付けない程度にな。ある程度自由があるようにするのだ。だが、秩序を乱す衣装は禁じるように」
人事・法務魔王「かしこまりました」
不破派欲汚「ということで、待たせたな。匹弐尼魔王よ。そなたは当社にはふさわしくない人物だ。今月中に退職するように。人事魔王あとの手続きはそなたに任せる。それから、今日より魔王職を解く。お疲れさまでした。退室してよいぞ」
帰れと言われる匹弐尼元魔王。
匹弐尼元魔王「なぜですか。どこが秩序を乱していますか。先にも言った通り防御力が高く、CEO様が心配されている大事な部分が出てしまうようなことはありません。自動追尾します。どんなに跳ねても転がっても自動追尾しますのではみ出るということはありません。お考え直しください」
法務魔王「見苦しいぞ。自動追尾しようがその恰好が世間と大きくずれているのだ。そなたがやっていることは、勇者そのものだ。自らの意見を無理にでも通そうとするその態度。魔王ではなく勇者ではないか。研修で教わらなかったのか。勇者とはで」
匹弐尼元魔王「ですが。確かに肌が多く出ていますが、少しでも涼しそうな恰好をすることで、他者に与える清涼感を考えれば。暑苦しいスーツよりずっとマシでは」
法務魔王「それが勇者の思想なのだ。世間では、肌を多く見せるだけで不快に感じる人はいる。魔王株式会社では、不快に感じさせない清潔感を与えるために勇者との戦いでは全員同じ衣装を着ているのだ。そなただけ特別ではないのだ」
匹弐尼元魔王「そうでしょうか。それは、CEO様を含め営業魔王様や人事魔王様・法務魔王様が男性だからではありませんか?わたしは男性の目の保養のために着用しているわけではありません」
人事魔王「わかったわかった。痴漢問題で女性がよく言う言葉と同じだ。本人は触られていないと言うが、痴漢させる気力を与えていると言うことを考えていない。それと同じだ。痴漢被害者はいつも気の弱そうな女性や男性だ。声を上げないのを良いことに襲っている。その元を作っているのは、匹弐尼元魔王のような女性なのだ。よって、秩序を乱していることになる。控えよ」
法務魔王「ということで、ここで言い争ってもそなたの処分は変わらない。ひとまず死店に戻られよ」
その後、匹弐尼元魔王は自主退職。風の噂では、ビキニアーマー寿司という回らない寿司屋を経営したと言う。しかし、衛生管理がなされていないとして保健所が入り営業停止後客が戻らず閉店に追い込まれた。
それからの匹弐尼の行方はわからない。
公の秩序を乱す行為は控えましょう。
まさか、熊谷死店に勇者がいたとは。
その後、魔王株式会社では、衣装の改定がなされた。
一部の魔王らからは、不服に思い本社に乗り込んできたが、話を聞くも匹弐尼元魔王と同じようなことを言うので、その者たちも魔王職を解いた。一般社員になり辞めた者たちもいた。残った者もいるが、肩身狭く働いているようだ。
男性が、ふんどしだけで街中を歩くだけで捕まるが、女性の肌を多く見せる行為も取り締まってもらいたいものであると、のちに不破派欲汚は語った。
痴漢問題から発展した、ビキニアーマー着用の魔王が退職からの独立するも失敗したと言う。
自動追尾してるとは知らなかった。確かに不思議ではある。どういう構造なのだろうか。




