4-6 理想と現実
すーぅと背を伸ばし大きく息を吸い吐く。壇上の水を飲み口の渇きを癒す。
津留氏「近年流行している競走馬を救いたい。という団体が増え、あまり考えもせずに助けようと屠畜場に来ています。魔王株式会社への依頼は年々増え、増員を要請されています。助けたその先を考えていないことが多くあります。午後からは、ロールプレイを交えて対処法を考えます。演じるのはこちらの社員がしますので、脚本を書いていただきます」
ざわつく会場。
津留氏「お昼までまだ少しあるので座学を続けます。活動家の理想は、出来る限り馬を助けたい。助けたその先はなるようになる。としか考えておらず、ひとまず助けることに力を尽くすのが活動家にありがちな姿なのです。これは、馬にとって可哀想なことなのを活動家は理解していません。馬の特徴や馬の生態を理解していないことがほとんであり、生き長らえるだけで馬としての幸せは与えられない。ご存じかと思いますが、馬などの生物は人に飼育されなければ生きて行くことが出来ない生物。ですので、野良犬や野良猫のような生き方が不可能なのです。助けて終わりでは済まなくなる。行く先の無い馬だから肉にするのが一番なのです。誰かの娯楽になるのですから」
挙手
津留氏「はい。まだ質疑応答は受け付けていませんですが、このタイミングだから必要なのかもしれませんね。では手を挙げているあなた」
研修生「最後の娯楽とはどういう意味でしょうか。ちょっと聞き捨てならないのですが」
津留氏「ありがとうございます。娯楽の意味をまず検索してみませんか。調べ終えましたか?娯楽とは、『生活のための労働の余暇に、くつろいでする遊びや楽しみ』とあります。馬肉は必ず食べなければ人は死んでしまう。というようなものではありません。牛・豚・鶏などは体に必要な栄養素があるため適切な量であれば摂取することに意味がありますが、馬肉にはそこまでの価値はありません。人間が食べるのは娯楽のために食べます。馬肉は、食べること以外にも人間の娯楽になります。馬肉の肉は、動物園で飼育されている動物の餌となります。動物園に遊びに行くと人気のライオンなどの餌になる肉に馬肉があります。シマウマを襲い食すシーンを見たことがあると思いますが、同じですね。それを見て私たち人間は喜ぶのです。快楽を得ます。それは大人だけでなく子供たちもその生態に驚き感心するのです。馬は肉以外にも皮や毛などは芸術面に扱われます。芸術は人間のための娯楽として存在します。よって、誰かの娯楽になる。というのは間違いではないということになりますが、答えはこれでよかったですか?」
研修生「いえ。無知で失礼しました」
津留氏「いえいえ。こういう質問でしたらいつでも受け付けましょう。あと少しでお昼ですが遅くなりすみません。経済動物は、生まれて死ぬ最後まで人間のために生まれてきます。ですから、大事にして最後は感謝してサヨナラをする。子供の頃、家や学校で、手を合わせていただきます。と言ってたのは恐らく感謝と供養の気持ちを表していたのだと思います」
食事は娯楽でもある。
摘身枝肉「では少し早いですが、昼食を取ってください。再開は13時からとなります。再開後すぐに、質疑応答を受け付けます。最大40分を予定しています。そのあと15分の休憩を取り、その後はロールプレイに移ります。休憩15分。そのあともロールプレイをします。16時まで続きますが、15:30からの30分は研修会での感想と今後の働き方を簡単に書いて提出して終わりになります。では、昼休憩に入ってください」
不破派浴汚「さて飯にするか」
摘身枝肉「もうお身体はよろしいのですか?」
不破派浴汚「なんのことだ?何喰うかな」
漆黒魔王「肉食べましょ。肉」
不破派浴汚「肉はいいかな。じゃあスイーツで」
摘身枝肉・漆黒魔王 《 まだ具合良くないみたいだ》
また見てね




