表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/56

1-2 勇者凸撃

代表魔王:不破派欲汚ふははよくきたな

資本金:5174万円

従業員数:4949人

本社:魔王国魔王都市(東京都福生市)

支社数:各都道府県各2支社以上

事業内容

魔王派遣業。講演・イベント派遣。


 メガネ社員を再び呼び戻す。


  不破派「事業内容を詳しく頼む」

  メガネ社員「はい。住みよい暮らしを目標に、真面目に働く人たちを応援する仕事をしてます。具体的には、各企業と手を組みイベント事業をしております。各社の社員をもてなすイベントには当社が出向きます。多くの社員は派手なイベントを好みますが、それが苦手な社員がいます。その社員をもてなすのが我が魔王株式会社が赴き、穏やかなイベントで心ゆくまで楽しんでもらうようにしています。運動が苦手な人やカラオケが苦手な人。そんな穏やかなイベントを同時並行させてます」

  不破派「いいなそれ。話に聞く会社のイベントって、派手で心苦しい思いをしてる人がいると聞く。忘年会の幹事を無理にさせられたり花見の場所取りをさせられたり。それでいて、誰からも感謝されない面倒な役回りに辟易してる人がいると聞く。そういった人たちを救うのだな?」

  メガネ社員「そうです。ただ、パリピな陽キャたちが一定数いましてそれらを我らは()()と呼んでおります。その勇者たちが時折こちらの和やかで穏やかなイベントを邪魔します。なので、各魔王たちが勇者たちをやんわりと追い返そうとしますが、相手は勇者です。自分たちこそが正義だと言わんばかりに、イベントを妨害し騒ぎます。それらを体を張って攻撃することなく止めに入るのが魔王たちなのです。決めゼリフは『人事部に話を通すのでお名前と部署を教えてください』で、大概勇者たちは引き返しますが、それさえも乗り越えてくる()()()()()が出てくることがあります。その場合は、『警察を呼ばなくてはならなくなります。どうかお引き取りを』で99%なんとかなりますが、残りの1%の勇者を()()()()()と呼び実力行使をしてきます。陽キャでパリピな天空の勇者。魔王はひとりでは太刀打ちできないため応援を呼び必死にイベントと社員様方を守ります。何人かの魔王はひどいケガを負いますが、名誉の負傷だとして社報に載りインタビュー記事が出ます。また、メディア出演も少しですがあります。勇者に立ち向かう魔王の方々に憧れて門を叩く者が毎年いらっしゃいますが、心に傷の無いお方は面接拒否させて戴いております」

  不破派《長っ》

  不破派「そうか。どこにでもいるのだな。勇者というのは」

  メガネ社員「はい。困りますね。他には、本社だけでなく各支社や支店に草花や植樹をしてます」

  不破派「なんかほっこりするな。どんなのだ?」

  メガネ社員「ドクダミ草は簡単でいいですよね。少し植えたら勝手に広がりますから。他には、エンジェルストランペットは見た目が可愛いので誰からも愛されてます。彼岸花は健気な美しさがあって人気です。しかし、彼岸花は植え育てるのが難しいので咲いた時には大きな話題になります。社報の表紙になることが多いですね。どこの支店で咲いたなどSNSで報告があります。トリカブトの可憐な花にはこころを打たれます。時々、痺れてる魔王たちもいます」

  不破派「うむ。美しさは心を癒す。草花を愛でる社風は嬉しく思うぞ」

  メガネ社員「はいそうですね。勇者と戦い傷を負った魔王たちがドクダミ草を使って茶にするなど楽しまれてますね。どこの企業や学校でも一時期人気のあった夾竹桃きょうちくとうは毒性があるとして不人気になりました。当社では苗から大事に育て全国に植樹してます。使い方を間違えなければ見栄えのある美しい樹木」

  不破派「そうだな。なんでも使い方を間違えれば毒にもなる。薬の多くは毒だからな。そうか。よい心がけだな。これからも大事にしていきたいな」


 席を立ち本社の中を歩いて回る。社員たちから頭を下げられるがまだどこか恐れられてる気がしてならない。まぁ社長だしな。魔王とはいえ。そんなに怯えなくても。別にイジメんよ。




  メガネ社員「魔王CEO!YouTuberから突撃取材をと受付で騒いでおります。どうしたら」

  不破派「どういった取材なのだ?」

  メガネ社員「それが、勇者に手を挙げたシーンを切り取り犯罪なのではないかと」

  不破派「ちょうど良い。で、その者は何人いるのだ?」

  メガネ社員「ひとりのようです」

  不破派「そうか。では、私のデスクまでお呼びしなさい」

  メガネ社員「それはさすがに!」

  不破派「なぜだ?話を聞いてみなければ何もわかるまい。会議室のような場所に閉じ込めて隠すようなマネはあまりにも失礼だ。私のデスクまでお呼びしなさい」

  メガネ社員「わかりました」

  不破派「それから、他から魔王たちは呼ぶな。ここのフロアにいる社員と私だけだ」


 フロアには、中心に魔王CEOの席がありそのまわりに社員たちが働く。総務や人事などの事務職が集中している。

 YouTuberがひとりで乗り込んでくる。まさに勇者気取りだ。他の社員たちに悪態をついているのが見える。しかし、話をするまではグッと堪え待つ。


  メガネ社員「こちらが取材を申し出られたYouTuberの方です」

  YouTuber「失礼だな。名前があるだろお前にも。どうも魔王さん。俺の名前は、てづまりYOU!っていう。まさか魔王さんのデスクまで来れるとはね」

  不破派「てずまりYOU!様でしたか。ようこそわが社へ。私は、不破派欲汚という」


 名刺を手渡す。


勇者が登場しました。わずかですが。誰と言うわけではありません。気にしてはいけませんよ。モデルになった人は特にないんですよね。不思議。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ