4-4 活動家
津留氏「活動家と初めて遭遇した時の体験をお話しましょう。時期は、梅雨に入った頃でした。特定の動物の時だけ現れます。それは、肥育された馬です。これらの活動家はなぜか馬にだけ固執します。牛や豚・鶏には目も掛けません」
スクリーンに肥育された馬とそうでない競走馬の映像を流す。
津留氏「一目でわかるでしょう。肥育された馬のこの腹回りを。競走馬の鞍を載せない状態では腹回りにうっすらと脇腹の骨の形が見えるでしょう。競走馬はこれくらい皮膚が薄い馬が強い馬として期待されます。肥育された馬は、その骨が見えないわけですね。活動家は屠畜場に来た馬だけ助けようとします」
動画の準備。
津留氏「この動画は、衝撃的な映像になります。見なくても特に問題はありません。映像に音声はありませんので、目を伏せることで見なくて済みます。では映像を流します」
動画が流される。馬が輸送車両から運ばれ屠畜場に入る様子。足を踏ん張り降りようとしない。懸命の対処で中に入る。場面が変わり馬の頭に電気を流しショックを与え倒れる。その馬の脚にフックを引っ掛け吊るし上げる。動画はそこまででストップ。スクリーンは黒くなり再生ボタンの▷が見える。
津留氏「動画止まってます。顔を上げてもらえますか?見られた方は、辛くありませんか?もう少ししたら30分の休憩を取りましょう。もう少し耐えれますか?吐き気を催しましたら退室しても結構です」
そう言われてもなかなか出にくい。
特に、新人研修では。
津留氏「このように許可を受けた動物はすべて解体します。屠畜場に運ばれるのは、牛・豚・馬・鶏の他に羊や山羊も運ばれますが、猪や鹿などの野生動物は運ばれません。人によって飼育された動物に限られます。これは法律により決まっています」
メモを取る研修生用に間を取りながら話す。
津留氏「大型畜産物の牛や馬の1日の餌とその量は、牛は約30kgの餌が必要になります。水を60リットル必要となります。馬は15kgの餌と30リットルの水を必要とします。どちらの生物も狭い牛舎や厩舎で過ごすのは、ストレスによる苦痛になるため、時折放牧させたりベルトコンベアの上を歩かせるなど適度な運動が必要となります。放牧することで草を食べてストレス軽減が図れます」
スクリーンに過去の映像を用意する。
津留氏「それでは、過去に活動家と揉めた一例としてご覧いただきます。こちらに出てくる活動家の顔にはモザイクと音声は変えています。名前は仮名にしてあります」
映像を流す。
ワーキャー
活動家「あなたたちに人の心はないんですか!?悪魔!鬼!」
津留氏「いかがでしたでしょうか。活動家は不思議と女性に偏っています。男性の方は少ないですが存在します。しかし、表立って言い寄ってくるのは主に女性。男性は、後ろで見守っていることがほとんど。女性が手を出そうとしたときに止めに入るためにいるのかもしれません。それでも今後は男性が表立ってくるやもしれませんので、現場で怖い思いをすることもあるかもしれません。ですので、依頼があったところには、最低でも二人組にしています。いくら魔王でも怪我をするのは嫌ですからね」
部屋が明るくなる。
津留氏「では休憩としましょう。30分ですので気分を整えなるべく早めに席に着くようお願いします」
一斉に部屋を出て行く。
摘身枝肉「CEO様いかがでしたか?」
不破派欲汚「うぷっ。」
漆黒魔王「なかなか面白い映像でしたな。CEO様。CEO様?」
不破派欲汚「レロレロレロレロ」
ただいま不適切な音声を流してしまいました。訂正してお詫び申し上げます。
漆黒魔王「おや?これは箱根海賊船かな?山々の間の湖。キレイだなぁ」
摘身枝肉「あれは、ノルウェーのフィヨルド観光船の映像ですよ」
漆黒魔王「なんと!」
また見てね




