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魔王株式会社 魔王はいつでもあなたのそばに  作者: モーニングあんこ


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3-3 二次面接

不破派欲汚「今日は二次面接か。ちょ。ちょっとこれ。恥ずかしいな。ここで挫折しそうだ」

 二次面接を見てみよう。


 またも背戒能繫文呉手せかいのはんぶんくれてのブースをのぞく。

 コンコン


  瀬戒能「どうぞお入りください」

  応募者「不和楠褄李ふぁっくすつまり入ります」

  瀬戒能「どうぞご着席ください」


 女性なのはわかったが事務だと嫌がらせされそうな名前で心配だ。


  瀬戒能「一次面接合格おめでとうございます。二次面接は担当者がシャッフルされるので緊張されるかもしれませんが、なるべく自然体しぜんたいになれるようにされてください。たとえば、シャツの上のボタンを外す。とか、くつを脱ぐでも結構です。その点は評価に入りません。常識の範囲でお願いします」


 と言われてだらけた恰好かっこうはしづらいとして、ひとまず上着うわぎを椅子の背もたれに掛けるだけにとどめた。


  瀬戒能「では始めましょう。二次面接は、ご自身の売り込みです。趣味でも経験でも結構です。ご自身でこれが最大の売りだというのを教えてください。ではどうぞ」


 面接の流れはHPにあり理解している人でもいざとなるとなかなか戸惑うものだ。


  不和楠ふぁっくす「エアドラムで歌います!」


 珍しい芸を持ってるようだ。エアではギターが人気だがドラムとは。しかも歌うという。

 歌は、聞き覚えが無い。だが激しいノリで長い髪を振りまくる。


  瀬戒能 《そんなアーティストいたな。魔王様好きそう》


 サビを歌い演じた。


  不和楠「以上です」

  瀬戒能「お疲れ様です。その曲はすみません。存じ上げないのですが」


 人気アニメのOPだそうだ。どおりで知らないわけだ。


  瀬戒能「そのエアドラムですが、ドラムは出来るんですか?」

  不和楠「はい。学生の時に友達とコピーバンドやってました」

  瀬戒能「ライブなどの経験は?」

  不和楠「年に数回ですがあります」

  瀬戒能「それは素晴らしい。もし、ドラムセットがあったら披露ひろうしていただくことは可能ですか?」

  不和楠「あっはい。曲と数日余裕があると助かります」

  瀬戒能「見てみたいですね。オリジナルアレンジの動画が好きで時々見るのですが、不和楠さんはそういったのはされますか?」

  不和楠「それは、動画ですか?それともプレイですか?」

  瀬戒能「ではどちらも質問とします」

  不和楠「動画は恥ずかしいのでやったことありませんが、プレイとしてはライブで時々やってました。ボーカルも曲によっては、やってたので、その時ならアレンジ入れやすいので」

  瀬戒能「わかりました。面接は以上となります。なにか質問ありますか?」

  不和楠「あの。女子寮はありますか?」

  瀬戒能「はいあります。ただ、場所によってはアパート借り上げのところもあります。自炊じすいするか近所のコンビニや外食になることも想定そうていしていただければ」

  不和楠「そうなんですね。はい」

  瀬戒能「他に質問はありますか?」

  不和楠「その場合は、食事代は出ますか?」

  瀬戒能「1日800円まで出ます。社食しゃしょくはあるので、朝と夕だけ800円の食事代でやりくりされてる社員は多く居ますよ」

  不和楠「領収書をもらってどこに出すんですか?」

  瀬戒能「基本は事務に会計してもらいますが、営業所によって違うこともあるので配属地はいぞくちで詳しくお聞きください」

  不和楠「わかりました。まだ決まってないのにありがとうございます」

  瀬戒能「いえいえ。質問を聞いたのはこちらです。大事なことですからね。それと遅れましたが、先ほどのエアドラムかっこよかったですよ。心がき踊るとはこういうことなのですね。素敵でした」

  不和楠「(照)ありがとうございます」

  瀬戒能「二次面接はこれで終わります。気を付けてお帰りください。またお会いできることを楽しみにしております」


 無事二次面接が終わる。

 面接は翌日も同じようにある。面接官はクタクタである。素人の一発芸を見るのが仕事とはいえ。誰もが出来が良いわけではない。当たりを引けば楽しめるが、ハズレを引くとただの地獄。いくら魔王とはいえ、地獄が得意ではない。それを連続で地獄だとたまったものではない。魔王も一応は人間。祈る思いで一発芸を見る。背戒能繫文呉手人事魔王ともなると無感情むかんじょうをスキルとしもちいている。その無感情スキルの瀬戒能人事魔王が楽しかったと言う。よほどデキが良かったのだろう。


  不破派「ふぁあああっと。疲れたな。すまないが、目覚ましにレモン水を頼む。氷はクラッシュで」


 面接官であれば、集中して仕事もできるが、ただ見てるだけだと眠くなる。

 レモン水が運ばれる。


  不破派「うーん。酸っぱい!ちょっとした苦みまた美味い!あー目が覚める」


 背もたれのマッサージ器が背中から首へと動き気持ちよい。


  不破派「この椅子良いな。普段から置きたいな。デザインはダサいけど」


不破派欲汚「当たりだった。他では地獄絵図もあるようだが、私の心を折るのは辛いからな。後で、魔王たちを慰めてやらんとな。魔王たちの好きなものをピックアップしておいてくれ」


NPO魔王「豚ですか?」


不破派欲汚「ピックアップ!ピッグじゃないから」


NPO魔王「そっちでしたか。トウキョウピッグXというブランド豚かと思いまして。失礼しました」


不破派欲汚「それだ。それを各魔王に500gプレゼントしてやってくれ」


NPO魔王「わかりました」


不破派欲汚「また明日も会おうぞ。さらばだ!あーはっはっはっはっは」

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