1-1 魔王目覚める
社員「はい。はい。わかりました。次の日曜日ですね。わかりました。はい。はい。よろしくお願いします」
ガチャ
社員「魔王様!受注入りました!」
魔王「どこです?」
社員「はい。広告代理店大手の殿中です。大江戸本社に社員が集まり社員向け慰安会があるそうです。イベントの警備が入りました」
魔王「おおっ。あの従業員5000人超えるあの企業か!」
社員「腕がなりますね」
魔王株式会社は、設立9年目の若い企業。CEOは不破派欲汚30歳。起業のきっかけは、不破派欲汚が大学4年の時、内定を受けていたが体を壊し医師から完治するまで数年かかると言われ内定を辞退するほかなかった。バリバリ働く理想像を抱いていたのをすべて捨てなくてはならなくなった。病床で悔しい気持ちと苦しい心でうずくまって寝ていると心の奥底から黒い何かがドロっと出てくる感覚があった。
気づくと不破派欲汚は、オフィスで目覚める。
不破派欲汚「ん?ここは」
メガネ社員「魔王様!具合が悪いのでしょうか。お帰りになられますか?」
不破派欲汚「いや、なんでもない。それより腹心はいないのか?」
メガネ社員「腹心ですか?してんのうの方でしょうか」
不破派欲汚「呼んでくれ」
社員はしてんのうで近場から招集。しばらく経つと。
メガネ社員「魔王様お待たせしました。支店長の王さんです」
支店長の王「魔王様いかがなされましたか。今のところ順調に運んでます」
不破派欲汚「えっと。四天王じゃなくて支店の王くんかな?」
支店長の王「はい。立川支店の王です」
不破派欲汚「そっか。って俺魔王なの?」
立川支店長王「そのように。なにかありましたか?」
メガネ社員「先ほどからこの調子なのです。魔王様になにかあったのでしょうか」
立川支店長王「魔王様はなんと」
メガネ社員「腹心がどうとか」
立川支店長王「ダメだよ。私は、まだ2年目なんだから。立ち上げ当時の魔王様じゃないかな。えーっと。9年前の立ち上げ当時でまだ残ってるのは、香川の漆黒魔王様じゃないかな。四国を死国に変えてやると意気込んでる香川の魔王様。すぐにこれないからまずは、zzzzで繋ぐんだ。お前は寝るな!」
社員「むにゃ。zzzzに繋ぎました。えーっと、メールでお呼びします」
魔王は自分のことだった。いつの間に。っていうか9年も経過してたのか。記憶にないのだが。
香川支社長漆黒(以降漆黒)「魔王様お久しぶりです。今日はいかがなさいましたか」
不破派欲汚(以降不破派)「あのさ、俺何者なの?ここだけの話」
漆黒「なんの冗談かわかりませんが。あーエイプリルフールですね?」
不破派「真面目に聞いてるの。ふざけないで」
漆黒「失礼しました。どこから話せばよいでしょう」
漆黒魔王(香川支社長)は、9年前の出来た当時から今までを順追って説明。
漆黒「不破派欲汚魔王様は傷心してる私たちを温かく迎え世界を変えてやるぞと意気込んでおられました。それはそれは心強く当時不破派様のようなリーダーシップでこの世を変えるのだと賛同した日本国中の若者が集まったのです。今も残るNPO法人魔王ですが、最初はここからスタートしたんでしたっけね。その法人名からブラック企業だと思われることもありました。お年寄りからは魔法BINのあのトラ柄の企業と勘違いされたりしました。NPO法人から急成長したため魔王株式会社として発展したのです。今も残しております。最近魔王株式会社を目の敵にする者たちが現れ社員が恐れております」
不破派「えっと。はい。わかりました。そうですか。はぁ」
漆黒「四国を死国に変えようと4県知事と会合するのですが、なかなか良い返事がいただけません」
不破派「まぁそうだろうな。長い目で見よ」
漆黒「はは。私も同じように考えておりました。さすがは魔王様」
不破派「いや、お前も魔王じゃないか」
漆黒「そのことなのですが、株式会社化したときにおっしゃられたあの言葉に私は感銘を受けました。『皆が魔王だ!安心して魔王として働くのだ。私はこの先も永遠に魔王CEOとして生きていく!日本各地に魔王がいるのだ。名乗りたい者は遠慮なく名乗ると良い!だが、CEOの座は渡さん!』この言葉には胸を熱くしたものです」
不破派「はずかちぃ」
漆黒「はい?なにか言われましたか?」
不破派「気にするな。これからも励め」
漆黒「はは!」
zzzzを切った。どことなくだが分かったような分からないような。ともかく私は、魔王株式会社のCEOなのだと。従業員全員が魔王と名乗れることで胸を熱くする者たちが続々と入社しているのか。だが、それでパンクはしないのだろうか。
不破派「そなたは魔王と名乗らないのか?」
メガネ社員「そのような大それたことはさすがに。魔王と名乗られる方は前線で戦い、主要なポストに就かれる方が名乗ることが多いですね。一般社員でも前線で戦う場合名乗る方がいらっしゃいます。私は事務で裏方ですので。お門違いと言いますか。いつかは前線で戦いたいです。ですが、魔王候補生ならいらっしゃいます」
魔王「ほう。その資格はあるのか?」
社員「もちろんです。本社にもいますのでお呼びしましょう。しばしお待ちください」
待つ。誰でも名乗って良いと言いながら候補生とはなんだろう。待つ。まだ来ない。魔王と自称してるのは何人いるのだろうか。えっとHP開いて。
魔王「待て!日本全国に死社と死店があるだと?さっきの立川死店があったが。そうだ。本社はどこだ?東京都福生市。うーん。なぜここに。福が。。生ま。。れる?生まれてねえじゃねえか!!いや待てよ。ここで働く者たちは幸せそうだ。そうか福は生まれてるのか。そうか。9年前の俺よく考えたな!」
社員たちが不破派欲汚を見てざわざわする。目が合うと視線を逸らす。
不破派「そんなわかりやすく目をそらさなくてもさ」
待ってたのを思い出す。
不破派「あれ?なにしてたんだっけ」
メガネ社員「お待たせしました。候補生です」
不破派「うむ。それで、魔王候補生とはどういうことだ?」
メガネ社員「はい。入社2年以上で傷ついた心が癒え、魔王国で働ける自信をつけた男女が候補生です」
不破派「そうか。元気になった者たちを指すのだな」
候補生「魔王様。雇っていただき嬉しく思っております。私は心がようやく癒え、この世を真面目に生きていく者たちが幸せになれるように指導していきたく思っております。魔王が導く世界。なんて美しいのでしょう」
メガネ社員「素晴らしい心がけですね。しかし、あまり浮かれていては足元掬われます。地に足を付けて励んでください」
候補生「はい!CEOにお会いできただけでも幸せです。明日からもよろしくお願いします」
不破派「うむ。ハゲめ」
いつか書きたいと思っていた、魔王と勇者の話。ようやく書けそうだと思い投稿に踏み切りました。
立川支店→立川死店となってますが、CEOの勘違いと言うことですね。あと、世間からは支店や支社に見えてますが、魔王株式会社では死店や死社で捉えてます。その辺はどうでもいいんです。
ひとまず、1話は出しました。2話・3話とあとで出します。