異端邪説⑨
もう一方、ローグが本当に頭を悩ませるのは、竜国を戦場とすること。竜国とは何も邪竜、魔竜、凶竜ばかりの国ではない。破壊や殺戮、支配にまるで関心のないドラゴンもいる。むしろこちらが多数派。邪竜云々は少数のごく一部。では何故、竜族が人間界を標的にするのか。理由のひとつは先述の竜国が手狭になったことだが、竜族の生存、、存続が不可能に陥る程の事態ではない。
竜族は他竜の行動には滅多に干渉しない。要するに、見ず知らずの他竜が魔王になろうと、人間族にちょっかいを出そうと意に介さない。止めもしなければ協力もしない。良くも悪くも我関せず。そんな無関係の竜族を巻き込んで戦いを仕掛けてよいのだろうか。竜の国が滅茶苦茶になる。竜は皆すべからく強いが、国は強くない。そして国を簡単に壊せるだけの力は手に入れてしまった。
「話し合ってみたら?」
魔王様も楽ではない。素敵な笑顔でティナにそう言われたらそれはもうほぼほぼどう転んでも十中八九紛う方なき決定事項である。戸惑うローグに対して先手、先手を打つティナ。
「心配いらないわ。竜族の上位種は人語を喋れるから。」
いや、そうじゃなくて・・・なんて割り込む余地もない。せめてもの提案をして、どうにかこうにか逃走経路を確保せねば。
「ティナも一緒に来てくれる?」
それを即座に一蹴するティナ。
「それは駄目よ。魔王城を空けるわけにはいかないもの。ガイアだっていつ戻るか分からないし。あなたを転送魔法で送ったら、私だけその場で帰城するわ。」
はい、却下。




