異端邪説⑧
席に着いたのはギードとローグで、ティナは2、3会話を交わして退席した。広い食堂に2人きり。
「そろそろ、竜族が動き出すぞ。」
「分かりました。それでは、準備ができ次第、竜国へ向かいます。」
ローグがあっさりと答弁すると、ギードはふっふっふ…と含み笑いを始めた。非礼ながらも、その目はとても優しかった。
「えっ・・・と、何か?」
「いや、すまん、すまん。素直じゃなぁと思ってな。1階の剣士も違った類の素直さをもっていたが・・・」
それを訊いてローグの顔にも余裕が生まれた。
「それでバランスが取れているんですよ、うちは。竜国へは2、3日以内に向かえば宜しいでしょうか。」
「うんにゃ、そろそろとは言ったが、まだ1ヶ月は結界がもつじゃろう。それまでの間―2、3週間程―黒ノ守人を鍛えてやろうかと思ってのぅ。」
こちらの件は初耳のローグ。驚いた表情で固まった後、宜しくお願いしますと頭を下げた。
う~んと頭を悩ませるローグ。闘技場を使って組手でもやるというのならば喜んで開放したのだが、ギードとガイアは2人仲良くその日の内に出て行ってしまった。ちょっと行ってくらぁ、なんて遊びに行くみたいにウキウキしながら出て行ったが、多分ちょっとでは済まないだろう。ガイアの心配はこれっぽっちもしていないのだが、中ボスの座が空席となってしまった。残された白魔女と魔導装置に万が一のことがあったら、ガイアにこっぴどくどやされそうだ。
ローグが早々に戦うことも可能。1階でいきなりラスボス登場というのはあまり訊かないが、別にルール違反ではない。飛車、角行の前に王将を指しても文句は言われまい(ほぼほぼ悪手ではあるが)。勇者達にとっても手間が省けて好都合。ガイアは骸の仮面を被って戦っているから、、ローグも顔を晒すことなく戦える。よほどの強者でなければ魔王にまともなダメージを与えることすら難しいだろう―なんていうのは二の次、三の次の悩みなのだが。




