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掌中之珠2


 明日、我々が向かうのは『魔法の洞窟』。ここでの目的は最奥部にある『魔法の鍵』の入手。何でも魔法の扉を開くのに必要らしい。新しい扉を開けられるようになると行動範囲が広がり、冒険が進んでいく。

 ・・・鍵と扉。これも我々からすると妙な話で、対モンスター用の盾ではない。人間が人間から身を守るために作った道具。同族からの圧力を防ぐべく何かをするということは魔族からすると考えられない。性悪説に則った、同族の裏切りを前提にした知恵。賢いのか愚かなのか、不思議な種族である。

 3人の平均レベルは12~13。初心のレベルをようやく脱した若造だ。勇者のローグは初級の攻撃魔法と回復魔法を覚え、魔法使いのティナは範囲魔法も習得している。戦士のガイアは専用装備によって勇者とも攻撃・防御力に差がつき始めた。職業ごとの特性が顕著となり、戦闘における役割分担が明確になってきた。

 対してこちとら、最弱モンスターの一角。一応は特技も魔法も覚えるし、レベルと共にステータスも上昇する。それでも早くも戦闘能力に差がついている。せめてもの救いは回復・補助魔法を覚えていること。今の所は直接攻撃でダメージが通らないということはないし、ティナよりは攻撃力が上である(魔法使いより攻撃力が上だなんて、何の自慢にもならないが)。しかしながらいずれ、物理攻撃では使い物にならなくなる。後方支援役が生きる道となる、割と早い内に。




 初めてのダンジョンという訳ではない。しかし残念なことに魔法の洞窟の探索は順調とは言えなかった。

「おい、ローグ・・・いつになったら階段が見つかるんだ。同じ所をぐるぐる回ってばかりじゃねぇか。」

先頭を歩くローグを、ガイアが背後から攻め立てる。

「そ、そんなことない・・・ちゃんと進んでいると、思う・・・もうすぐ階段が・・・・・・」

消え入りそうなローグの反論にも手加減のないガイア。

「本当かよ、本当かよ、本当かよ~。お前ぇの方向音痴には魔王様もびっくりだろうよ。」

「ほら、ガイア、黙って歩くっ。あなたも人の事は言えないでしょう。町で迷子になって宿に戻って来られなかったのはどなただったかしら?」

「ぐっ・・・あれは武器屋を探していただけで・・・・・・なら、ティナが前を歩きやがれ。」

「あらやだ、か弱い女性に先頭を任せるの?それにね、地図も読めない私が案内したら、一生地上に戻れないわよ。」

こんな風にティナがうまいこと収束させるまでがお決まりである。擁護する訳ではないが、3人共バカではない。むしろ頭脳明晰、常識もあれば知識もあって、気転も利く。ただ悲しいかな、3人が3人共、極度の方向音痴という二の句が継げないパーティーであった。

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