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二十六から三十
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九重の 内まて照らす 月影か 喫すラテ手間 宙の上の午後
ここのへの うちまててらす つきかけ(か きつすらててま ちうのへのごこ)
27
嘘憑きて 煙たえにし 塩釜か 星氏に得たり更けて吉相
うそつきて けふりたえにし しほかま(か ほししにえたり ふけていつそう)
28
岸流れ 「わあっ」と人が、矮躯逝く 岩角一つ 哀れ悲しき
きしながれ わあつとひとが わいくい(く いわかとひとつ あわれかなしき)
29
春の鳶 浸り姉ふと 生かす明日 櫂と船あり 旅人乗るは
はるのとび ひたりあねふと いかすあ(す かいとふねあり たびびとのるは)
30
金盞花 舞い散る死の葉 狼狽えた 老婆の知る地 今感染期
きんせんか まいちるしのは うろたえ(た ろうばのしるち いまかんせんき)