ミシェルの日記
一人称視点から日記形式に変わります。
今日から日記…とは言っても多分三日坊主になるだろう。ちょくちょく書こうとは思っている。あの子が来たってのをきっかけにね。
ヴァネッサが来て半年
あの子が来てから日常生活が楽しい。人と話すことが当たり前になったから楽しいんだろう。ザックにも最近生き生きしている、と言われた。あの子が来たから良くなったのかな。
あと、ホントに保護者が来ない。
ヴァネッサが来て一年。
だいぶ表情が出るようになった。前よりよく笑うようになった。可愛い。
最近、なんだかあの子を見ていると胸がザワザワする。何故だろう。
保護者が来ない。居ないものとして過ごしているのだろうか。そうだとしたら好都合。
ヴァネッサが来て二年
最近、よくアトリエに興味を示している。
駄目だ、多分耐えられない。もう少し鍵を新調しよう。
何だか、年々綺麗になっている気がする…。
ヴァネッサが来て四年
やってしまった。やってしまった。
あの子がアトリエを見てしまった。鍵をリビングに置いていたから駄目だったんだ。
何も聞かずに首を絞めてしまった。
ごめんなさい、ごめんなさいって苦しみながら言っていた。そこで、手を緩めた。
こっちこそ、ごめん
ヴァネッサが来て四年半
特に、変わってない。怯えた様子も、ない。
大丈夫かな。でも、前より興味津々な顔で玄関にある作品を見るようになった。
ヴァネッサが来て五年
だいぶ成長して、とても美しくなった。
だから……結婚を申し込んだ。恋心は数年前からあった。
ヴァネッサは喜んでくれたよ。
結婚式はやらなかったけど、写真は撮った。
とても、幸せだ。
ヴァネッサが来て七年
僕に子供が出来た。とっても元気な双子。女の子と男の子。
二人ともヴァネッサに似て、とても美形。
凄く幸せ。
名前はコレットとシリル。此れから宜しくね。
ヴァネッサが来て十四年
頭が回らない。言葉が纏まらない。何で。
僕の、僕のヴァネッサが死んだ。急死だ。まだ、まだ三十だ。
すぐに医者であるザックを呼んだが、心不全だから如何にも…と言われた。
二人ともすっごく泣いている。
僕はザックが帰って、子供達が寝た後に、作業をした。
剥製に、した。
僕はただ、あの子と一緒に居たかっただけなんだ。赤いサテンドレスに白い百合を髪に。
凄く、綺麗。
死んだ君も、とても美しい。生者であった君も、美しい。
ヴァネッサ、Je t'aime.