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4 能力の確認方法

 誠一郎さんにキスをされた瞬間にお互いの力が混ざり合うような感覚が身体に走った。慌てて唇を離して目を開けて状況を確認した。


「あれ? 何も変わっていない?」

「唇を触れ合っている間だけ感じる事が出来るので。玲司さんの能力は私からは見えているので、私は確認する必要はありませんが」

 つまりは、俺が知りたいと思うたびに誠一郎さんにキスしてくれと頼むという事?

 そんなの無理だと唸っている俺を横でにこにこと笑って見てくるのでからかわれているのかと疑いたくなる。


「力を感じませんでしたか?」


 そう言われると、今まで全く感じる事が出来なかった自分の力を感じる事が出来たので信じるしかない。修行の成果がどうしても知りたくなったら確認する為にキスするのか。

「まさか、今の嘘だとかはないよね?」

「もう一回試してみます?」

「いえ、今日はもういいです」

 そう断ってから誠一郎さんの顔を見るにこっと笑ってこちらを見てきて、悪意とか他意とかは感じないので確認方法は嘘ではないのだろう。


 それからも修行を頑張ってみるものの、成果は見えず、志岐(しき)も相変わらず俺の言葉に反応してくれないので年に何回かは誠一郎さんに確認したいと頼む事になってしまっている。


「誠一郎さんから見て俺の能力って上がっているように見える?」

「細かい能力の増加は流石にわかりませんが、最初に会った時よりは増えているのは確かですよ」

 なんというか何か、目に見える能力で無いと訓練のしがいが無いので、ついつい誠一郎さんに確認したくなる。ただ、確認方法があれしかないので最初は抵抗があったけど、最近ちょっと慣れてきた気もする。


 今日の修行に一区切りをつけて、縁側に二人並んで座って休憩している。

「能力の確認って誠一郎さん以外の人でも出来る?」

「いえ、流石に私以外の人では無理ですよ。次期当主の私の娘なら出来ますが」

 突然の情報に驚いて誠一郎さんの方に乗り出してしまう。

「え? 娘さんいるんだ」

「来週には仮の当主引き継ぎの儀式が終わるので、その後に会えると思います」

「引き継ぎ? 誠一郎さんは当主ではなくなるの?」

「いいえ、仮の儀式です。この子が次の当主ですよとのお披露目です」

 当主引き継ぎの儀式とか出来る年齢の子供がいるなんて、誠一郎さんって俺と同じくらいの年齢かと思ってたけど、ずっと年上の人なのかな。


 それからしばらくして、誠一郎さんが言っていた儀式が行われるのか家の中が急に騒々しい感じなり、この家では誠一郎さん以外見る事のなかった、俺が最初の召喚された時に見たような大人の男の人が沢山廊下を歩いているのを離れの部屋の窓から見ていた。

 たまにこちらの離れの方をちらりと振り返る人もいるので、ここに俺が居る事を知っている人もいるのだろう。


 *

 いつものように修行が終わって、誠一郎さんが仕事の為に母屋の方へ帰ってしまった後、しばらく庭を散歩していると女の子が目の前に飛び出してきた。

「こんにちは、玲司さんですよね」

「え? はい」

「私は珊瑚(さんご)と言います。よろしく」

 そう挨拶して手を差し出してくるので握手かなと思って手を握った途端に、お互いの力が混ざり合うような、誠一郎さんとキスした時のような感覚になった。


「あの」

「私の事は誠一郎から聞いていると思いますが」

「え? あの、もしかして誠一郎さんの娘さんですか?」

「そうです。私がこの家の当主になります。玲司さんよろしくお願いしますね」

 そういって笑顔になる少女の年齢は十歳くらいだろうか。とても可愛いくて、目元が少し誠一郎さんに似ている。しかし、俺はあの握手について聞かなくては。

「さっきのって何ですか? 握手のやつ」

「ああ、あなたに私の能力を知ってもらおうと思って。どうでしたか?」

 方法は違うけれど、彼女と握手した途端に感じた力は相当すごい。誠一郎さんと同じに感じた。

「そうですね、お父さんと同じくらいですか?」

 そういった途端に笑顔の女の子がきつい表情になり

「あの男と同じなんてありえないでしょう」

 と睨んでくる。怖い。


 子供相手にどうしたら良いか困っていたら、とても綺麗な女の人が近づいてきて「珊瑚様、そろそろお戻りになって下さい」と促して俺をきつい表情でみている女の子を母屋の方へと連れて行ってしまった。

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