ねずみ
笑わなくなった。
物心ついたときから君は隣にいて、所謂幼馴染というものだった。
幼稚園から始まり、小学校、中学校と君が隣にいるのは当たり前だった。
高校生になり、隣に君がいるのが恥ずかしくなった。
初めて見る顔、新しい教室、これから始まる高校生活。ここで失敗するわけにはいかない。
「お前さ、前歯でかくね?笑ったらさ、ねずみみたいじゃん!」
教室が笑いに包まれた。
(やった!)
新しいクラスで人気者になれるという喜びでいっぱいだった。
今思えば、この一言は言う必要のあった一言ではなかったかもしれない。
そのとき君がどんな顔をしてたかなんて、見てもいなかった。
いつからだろうか。君が隣にいなくなったのは。気がついたらいなかった。気がついたときには遅かった。
あの一言が引き金なのはわかってる。だけど戻れない。
君の隣を取り戻したくても、あの頃の君はもういない。
僕に笑いかけてくれる君は、もういない。
初投稿です。見てくれてありがとうござます。至らないところもありますが、少しずつ前進していけたらなと思ってます。応援してくれたら嬉しいです。