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第四話 魔法とはどんなものか



 ――アークスは魔力量が低く、両親からは無能だと言われたが、実際のところ魔力の量は一般の魔導師よりわずかに多い程度にはあった。



 そのため、魔法が使えないというわけではないし、魔導師として大成しないというわけでもない。

 それに、今後努力していけば、魔力量を増やす手段が見つかるかもしれないのだ。



 以前は見つけられなかったが、それはアークスが【六歳のアークス】だったからであって、いまのアークスは【技術が発展した世界の記憶を持ったアークス】なのだ。



 男の記憶という大きなアドバンテージがあれば、また結果も違うかもしれないということは十分あり得た。



 アークスはそう考え、魔法に関して記述された書物をもう一度読み直すことにした。



「魔法とは、力ある言葉を組み合わせて、呪文にして口から発することにより、様々な事柄を現実化させる万能の力である」



 そう、これが、この世界の魔法についての簡単な説明だ。

 こうして読む限りではあるが、この世界の魔法は、男の世界の本にあるような魔法に比べて、かなり自由度が高いようだ。言葉の組み合わせ次第で、様々な事柄を実現化させる。



 要は、呪文さえ作ることができれば、どんなことでもできるということだ。

 本に記述される、力ある言葉とは、自分たちが普段話している共通語ではなく【古代アーツ語】と呼ばれるとても古い言語だ。



 これはこの世の成り立ちと同時に生まれた言葉で、【魔法文字(アーツグリフ)】という、男の世界で言う星座記号や惑星記号に似た文字で表すのだという。



 そして【古代アーツ語】は、それぞれがその言葉の持つ意味に対応した力を持っているとされ、それを組み合わせて文章を作り、魔力を込めて言葉として発することによって、魔法となるのだという。

 起こす現象についても、魔導師のイメージが大きく関わるそうだが、基本的に【古代アーツ語】さえ覚えてしまえば、理論的にはあらゆる現象を起こすことができるとのこと。

 ただ書物によると、【古代アーツ語】に込める魔力にはそれぞれ適切な量があるらしく、間違った量の魔力を込めると失敗してしまうらしい。



 そのため、ある呪文に魔力を大量に込めて、普通よりも強力な魔法を放つ、という浪漫溢れることができないのだという。



 いずれにせよ、アークスは魔力を大量に持っているわけではないため、縁遠い話だが。

 ともあれ、魔力量で重視されるのは、魔法を何回使えるか、使い続けられるかというところにあるようだ。



 つまり、だ。いまアークスが魔法を使うために必要なことは、言葉を覚えることと、呪文の作り方もしくは、既存の呪文の会得、言葉に込める魔力の適切な量を知ること、となる。

 レイセフト家では共通語の習得に並行して、【古代アーツ語】の勉強もしているため、多少ならアークスでも理解できている。

 魔法の行使に必要なイメージに関しては、男の記憶を利用すればいいだろう。自然現象や映画や漫画、アニメなどを見ていたため、そういったイメージの構築はボキャブラリィに富んでいる……はず。



 そのため――



「あとは呪文と魔力についてか」



 自分の魔力については、魔力測定に向けて魔力の操作の仕方を学んでいたため、ある程度の操作は可能だ。

 そのため、魔法を使うためにあと必要なのは、呪文の作り方と既存の呪文、発音時に消費する量について知ることだろう。



 残念ながら、その辺りまでは書物に書かれていなかった。

 誰かに聞くにも、両親は問題外だし、魔法が使える使用人も教えてくれないはずだ。

 ここで望みは断たれたように思えるかもしれないが、しかし――



「大丈夫。なんとかなる」



 そう、頼ることができるかもしれない人間には、心当たりがあった。





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