ダメ姉と過ごす日曜日
「敬介! あんた『まいジェネ』観たでしょ!? 」
「ああ、それがどうしたんだよ」
日曜日はいつも以上にゆっくりな姉は、だらだらと起きてきたと思ったら、寝惚け顔のままテレビを観ていたはずだった。
それが一瞬にして鬼の形相になっている。それも自分が録画した番組をぼくが先に観たというだけで。
「お姉ちゃんが録ってたんだから、お姉ちゃんより先に観ちゃダメでしょ」
別にどうでもいいと思うけど、くだらなことで必死になる姉が可哀想にみえたので、一応謝っておくことにした。
「ごめん、ごめん。今度からは姉ちゃんが観たあとに観るから許してよ」
「……わかればいいわ。それから、観たあとじゃなくても……一緒に観てもいいんだからね」
最後のほうはちょっと小声になっていたが、なんとなく言いたいことがわかった。姉はきっとぼくと一緒に観たいのだ。
「今日の『まいジェネ』は面白かったから、もう一回くらい観てもいいかな」
そういえば、なんだかんだで毎週一緒に観ていたなと今更ながらに思い出す。
「面白いのはいつものことだけど、ネタバレだけどはしないでよ! 」
「はいはい」
一緒に観ると言ったあと、姉はちょっとだけ嬉しそうにしていた。
たいして可愛くない姉が、そのときだけは少し可愛くみえた。本当にほんの少しだけだけど。
「今日は前回の続きだから、るたくんとジョーくんがいるね♪ 」
「個人的にリチャが面白かったよ」
「だから、ネタバレはやめて! 」
ぐーたら姉とソファで二人、のんびりとテレビを観て過ごす。今まで意識したこともなかったけど、こういう穏やかな時間も結構いいもんだ。