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赤い悪魔と白の救世主 (殺戮)

まだづづきます。 こりゃ5話まで行きそうだぜ。

 

  突如黒い煙が彼女達がいた3箇所から上がる。ファントムが姿を変える時の副産物だ。


「おっぱじめるきだな。レンちゃんごめん、資料見せて」


「は、はい!」


 朝に見るはずだった資料を今頃になってミコトは目を通した。


「え、?まじで・・・、可愛い! てかこの子のスカートダメでしょ!!この服考えた奴絶対変態だわ。


さてアスカちゅん、ほらあの子なんだけど、大量殺人犯の臭いする?」



「すいません、臭いが強すぎて流石に近くにまで行かないと分からないです……」


「そうか……ごめんね無茶言って、おテイマー2体とギアが1体ね」


 黒い煙が消え去り、3体の人から姿を変えたファントムが現れる。

 

 赤い蜘蛛の背中に全身が刺々しいをしたの女のような上半身がくっついた造形のテイマー。


 馬の背に角の生えた人の上半身が付いた真っ白なテイマー。


 そして、表が白、裏地が赤のマントに、手には何か昆虫が手を広げているような形のボウガン。白と赤のコントラストの鎧の右腕に節久とした真っ赤な虫のような両足。左目の瞳孔が複眼になっている女のギアのファントムがいた。







「ひゃぁぁはっはぁーー!!!!」


 突如赤い蜘蛛のテイマーがエキセントリックに喋り出した。


「なんだあれ」


ミコトが汚物を見る目で眺める。


「マァァァァァァたぁぁぁー!!!!??


 ブゥゥゥスゥゥゥゥ!!!が揃った試合だなぁぁぁぁ?? プゥオゥウんん!!!


  5秒でぇぇぇぇぇ!!蹴散らしてぇぇぇぇぇ!!


 ヤルヨォォォォー!!!! ふぁぁぁう!! 」

 

中々に個性的な話し方をするキャラクターのようだ。

 

「きったねえ喋り方。あれ日本人か」


「薬やってんじゃないですかね」


どうやらアスカとミコトには彼女のキャラクターは不評だったようだ。容赦ない批判の声が相次いでいる。


「こ、怖いですあの人」


レンだけは素直に怖がっている。


蜘蛛のテイマーの地面から刺が次々と現れた。それは宇宙の中にいるように彼女の上空を舞う。


「かぁぁぁぁぁぁくぅぅぅぅぅぅごぉぉぉぁぁ


は!!!! いいか?いいか?いいか?


いいなぁぁぁあぁぁあぁぁぁ!!!!??



 




死ね。 ミンチにしてやる」


 

空のトゲの先端が全て、標的に向く。


 それは彼女が指を弾いた瞬間、二人を串刺しにせんと、一直線に向かってきた。刺の弾丸は着弾した時凄まじい砂煙を巻き上げる。当たりは何も見えなくなった。


「キチガイレベル全振りみたいなやつだけど、意外とやるな。てかレンちゃん、あの子やられたんじゃない」


口では蜘蛛女を褒めてはいるが、余り興味が無いようだ。ミコトが気だるげな態度で上部だけの褒め言葉を出した。


「あーー、そうかも」


レンはかなり弱気になっていた。




「……いや、あの二人ともあれ」


アスカが砂埃の巻き上がるステージを指さした。





 砂煙が消えていく。そしてあの攻撃を受けた二人の現状が。


いや、彼女の本性が煙の中から現れた。



「き、貴様……、よくも!」


「えぇぇ、どうもありがとうございます」



ギアの女が放り投げた馬のファントムの巨体が壁に向かって飛んでいく。その体中にあの蜘蛛のファントムが放ったトゲが突き刺さっている。壁に巨体を叩きつけた馬のファントムは痛みでその場で動けないでいた。




ことの成り行きはこうだ。刺の攻撃に対し、ギアの女が馬のテイマーを盾として扱ったのだ。その挙句ごみのように放り投げた。


「て!? てめぇ!!? もう一人を盾に……」


「なんだ・・・、普通に喋れるのではありませんか?」




 一瞬、蜘蛛のファントムが全く反応出来ないほどの速度でギアの女は蜘蛛のテイマーとの距離を詰めた。


「な!!?」


二人は目が合う。その視界はギアの女の子供のような笑みだけがある。そして、蜘蛛のテイマーの胸にただの拳を1発、それだけ。


その大きさ4mに届くほどの大きさを誇る蜘蛛のテイマーの巨体。身長わずか150cm程の華奢(きゃしゃ)な彼女の一撃はその巨体を観客席まで一直線で運んだ。丁度アスカたちが座っている席のほぼ真横だ。




華奢な体からは信じられない程の怪力だ。3人の中で圧倒的にレベルの違う彼女は会場中の目を一身に集めている。



彼女の怪力に驚いてるもつかの間、アスカは気づく。



「この人から人の血の匂いがします!」


「マジか!! まあそりゃこいつだわな」



ようやく気づいた。この蜘蛛のファントムは、理性を保っていないルーザーではないにも関わらず、人を襲っていたのだ。こういう輩は少なからずいる。


無論人を殺せばファントムからは悪臭が漂う。その為鼻の効く動物やアスカのような感覚器官が鋭いファントムにはその悪行がバレる。


蜘蛛のテイマーが怪物の姿から人間の姿に戻る。


 赤い血を吐血する。微かに肉片も混じっている。先程の一撃で肋骨が砕け散って内蔵に突き刺さっているのだろう。


だがファントムの血が赤いということは、命に別状はないということ。この試合は、相手を殺すか。弱らせて変身を解除させれば勝利となる。つまりこの時点で彼女の敗退は決定した。ある意味この女はギリギリの所で命を拾ったことになる。




……はずだった。



「ゲームクリア」




「は? 何してんのよ、おい、もういいだろう! こいつはもうたたかぇねえよ!」


「ん?ギャラリーがうるさいですね」


ギアのファントムには大きな弱点がある。ファントム特有の技、超能力を繰り出す時に、自分の武器、又は機械化している部分に指示を送らなければならない。今の彼女の指示がそれだ。

 


彼女の思考はシンプルだった。敗者に相応しい死を……。




自らの武器、プリティーガール・ディアボリカリス・トリダクナに伝えた。眼前の敵の命を奪え……と。

 



「戦いとは、お互いの命をかけてこそ至高なのです。故に、敗者には死という形こそが相応しい。死は美しいですよ。桜が散るのと同じ事です」


廃墟的な物言いでありながらもその顔は喜びに満ちている。問題はそれが純粋な子供のような笑顔なのだ。彼女には善悪の価値観があるのかも怪しい。


ミコトの考えが甘かった。今目の前にいるものは、あまりに完璧過ぎる戦闘マシーンだ。彼女は冷酷に、戦う力も、立ち上がる力もない相手に銃口を向ける。


 





「さようなら。 口の汚い白雪姫」


 


「ミコトさん離れて!」

 

レンはミコトの手を取ってその場から離れる。





 彼女は引き金を引いた。カマキリの形をしたボウガンから放たれた黒い閃光が、標的の胸を撃ち抜いた。胸に波紋が広がる。


撃たれた女の口から白い息が出る。歯をガチガチと震えながら……




「……さ、寒い」 、それが最期の言葉だった。目から輝きを失い、足下から氷に覆われていく。最後には頭から下が氷漬けになった。


ギアの女は手で拳銃を真似て氷漬けになった女に銃口を向けた。


「バーン」


そんな魔法を唱えると氷の体は粉々に砕け散った。彼女は最後まで無邪気な笑顔のままだった。


「な、なんと外道な」



馬のファントムは何とか立ち上がりその一部始終を見ていた。丁度今、胴体を失った頭部が観客席の真上通りステージ下まで落ちている途中だ。





見入っている場合では無い。今はまだ殺し合いのさ中だ。



ギアの女はもう1人に牙を向けている。この勝負の勝者は1人だ。



 



「グッっあぁぁぁ! 目がァァァ!メガぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁ」



「ハッハッハッハ! 何をしているのです?今は戦いのさなかでしょ? どう考えても次はあなただ」






  観客席の真上を飛ぶ頭部。



 あろう事か、彼女はその首をまるでサッカーボールでも蹴るようにして馬のファントムの目を潰した。非常にも蹴り飛ばされた頭部は粉々になり、馬のテイマーの顔には、頭蓋骨の破片が顔中に突き刺さっている。



  今馬のファントムの顔には、殺された女の頭蓋骨の破片が顔中に突き刺さっている。




「なんだよ、あいつ。無茶苦茶だろ。心がねぇ」


ミコトが彼女を蔑んでいる。



「さてと、ではさようならをしましょうか?」


 彼女のカマキリのボウガンが手を閉じ、刃になる。そして少し小さめな片手鎌に変形する。それを使って彼女は馬のファントムの手足を切り裂き、ダルマにしてしまった。


容赦なくその顔を踏みつけて、地面にねじ伏せる。手足をもがれた無対抗な状態の相手に対して、戦闘狂が行う事は1つだけ、


checkmate(チェックメイト)


……トドメを指すことだけだ。




 彼女の支持により鎌の刃先が赤黒く光る。その一撃からは逃げられない。逃げる足など、切り落とされているのだから。


「貴方達には期待外れです。 死んだあとに来てくれたお客様にお金を返して仕舞えばどうですか?」


嫌味を一言。それを最後に鎌を振り下ろす。


 刃は胸を貫き、刃先の赤黒い光は彼女の体内を(むしば)み、全身から血が溢れだした。肉の焦げる匂いが会場中に広がり、馬のテイマーは泡を吹きながら痙攣している。


そして最期に命を失った瞬間、地面に醜悪なカマキリの紋章が浮かんだ。真っ黒なその紋章は、最後に笑みを浮かべて影の中に消えた。


試合は彼女の圧勝。生存者は1人。敗者は全て死亡。


「えっと、ミコトくん。今ので人の死臭が消えました」


「じゃあ、さっき死んだファントムが、」


「はい、多分奴も人を襲ってた」


「それで、 あの女は臭い?」


「いや、全くしません」

 

「へー、あんだけやる奴なのに人は殺さないのか、珍しいな。




くそ……なんだよあのクズ」


ミコトは彼女を酷く蔑むようにそう言った。



「まあその、 実を言うと彼女が私がオススメしてた鎖切(サキ)って子で……あ……、あ、ミコ……ミコトさん……」



「何レンちゃん固まっちゃって?」

 

「ミコトくん……前」


「あ? 」



そう言われてゆっくりと前を見る。






ミコトの目の前に彼女が、鎖切(サキ)がいた。何故気づかなかったのかも分からないほどの距離にいたのだ。


いざ近くで見ると彼女の手足はかなり生々しい見た目をしていた。


両足はわかりやすく言えば、真っ赤な虫人間の物のようだ。そして腕の鎧は白と赤の2つが螺旋を描くようにに右手を包んでいる。隙間からは何かケーブルのようなものがはみ出でいる。





「随分と言ってくれるじゃないですか?とりあえず、下に降りましょうよ」


サキはミコトを片腕で掴みそのままステージまで投げ入れた。


かなりの高さだ。生身の人間では確実に死ぬ。



「てめぇ! ふざけやがって」


「ミ、ミコトくん」


 ステージまで放り投げられたミコトの体から黒い煙が吹き出す。その中からファントム体のミコトが出てきた。余裕を持って着地する。

着地点の周辺は大きく陥没した。


「てめぇ!!喧嘩売ってんのかよ!」


ミコトは激怒する。そんな彼の気分を逆撫でするようにサキが笑みを浮かべて挑発を送る。


「いえいえ。私ストリート出身なので罵声は殺しあいの始まりだと思ってるんです。だから私が喧嘩を買ったのですよ。それに丁度今日の試合相手は完全なハズレでしたし、せっかくなのであなたにお相手して欲しいのですが、いかがでしょうか?」


「へぇぇそお? ならいいや。





 丁度今日は気分が収まら無かったんだ。てめぇの肉のボロ雑巾でも作れば少しはましになるかな」

 

ミコトはサキを睨め付ける。既に武器を手に持っている。ミコトは完全にやる気だ。


「良いですね。ではワタクシは貴方の(ハラワタ)でも引っこ抜いて、豚の餌にでもしましょうか」

 

あろう事か 再びミコトを煽る。



お互いが武器を取り出し、お互いに刃先を向け合う。





挿絵(By みてみん) 挿絵(By みてみん)


 


5話の改稿作業はしばらくできそうにありません。


申し訳ないです

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