赤い悪魔と白の救世主 (序)
フォロワーの方々の話を聞くにやはりキラーホエールのアキラが結構人気らしく僕的にまそろそろ彼女を話に入れて縦筋に絡みたいのですが、どうしてもある新キャラクターを出させて欲しいので、キラーホエールさんはしばらくと休みさせて頂きます。
ハッキリ言ってかなり濃い奴で、皆さんがドン引きするのは目に見えていますが、縦筋に絡むにはどうしても彼女が必要かなと思ってこの話にしました。
しかも割とボリューミーなので話を分けます。
でも楽しめるこれの次の話は楽しめると思うのでどうかお願いします。
場面はミコトの家、アスカとミコトと国からの役人でポニーテールのパンツスーツで少し童顔めの女性、蓮が仕事の件で話している所から始まる。
「もう一人、増やして欲しい・・・か」
「はい。お二人にはどうしてもキラーホエールの事件の対処に参加して欲しいのですが、何せ未成年二人なので、規則的に参加不可能になっているんです。今のままでは、仕事を受ける許可が降りないかと」
「ネットで依頼主集めてわ、死体は葬式に出られないように原型留めないほどグシャグシャ。そんな殺し屋ファントムなんざ、有名にならない分けないわな」
「サイトの方もやはり閉鎖出来ませんでしたし、管理者も閲覧者も全く分からないようにしてました。やはりキラーホエールはギアのファントムで間違いないかと」
ギアのファントムは、電子機器を操る。そのためネットの力を使うギアも多い。情報は社会的にも戦い的にも有効な武器であり、情報を金で売るギアのファントムも非常に多い。
そして、ギアは強ければ強いほど機械に強制できる力が強い。1度サイトの閉鎖にアスカとミコトが協力した事があったが全く何もすることが出来なかった。これはアスカ達とキラーホエールとはかなり実力差があるという事だ。
だが、今この街で国の雇われのファントムで最も強いのはこの二人だ。レンはどうしても二人に参加して欲しいらしい。
「一応私的にオススメの方がいるので持ってきた資料、お見せしますね、能力は充分あります。戦闘でお二人の邪魔になる事は無いと思います。
なんですけど……」
「ん、なにレンちゃん。オススメなんでしょ?」
「あのー、この人はいわゆるストリート出身で、ネットカフェ暮し何です。しかしこれでも国の仕事なので、ちゃんとした住所が必要なんですよ。でも今この香川県は夏で良くある水不足で今予算が足りないんです。なので……、この家で同居と言う形でお願いしたいんです」
「ん〜いいよいいよ。てか俺もストリート出身だし。そんなの気にしないって」
「え!? この特撮グッズで埋め尽くされた狭い部屋にもう一人入れるなんてミコトくんもレンさんも正気ですか? 狭いし恥ずかしいから僕嫌ですよ!」
突如の話にアスカは、ミコトに対し顔を膨らませて反発した。ミコトはそんなアスカを軽くあしらうようにこう返す。
「いーじゃーん、てか恥ずかしいってなんだよ! これはな、
子供達に向けて大人達が強いこだわりを持って一切の妥協をせずに作った魂の・・・・・・」
ミコトの長い話が始まりかけた時、レンが話を切る。
「あ……あのー!」
「はーーーい!! なんですー!?」
ミコトが陽気に返事をし、レンの回答を待つ。
「その、その人何ですけど・・・、
実は女の子何です」
レンの予想外の発言により、3人の会話が途絶えた
「ダメじゃないですかそれ」
この3人の中で最も常識あるアスカが真っ先にその沈黙を破った。
そして・・・・・・、
「いい仕事したレンちゃん! ほらアスカちゅん早く支度するよ!! その子見に行こうぜ! 」
最も常識のないミコトはすぐさま思った事を行動に移した。
「えー!!?ちょっとミコトくん!!」
結局ミコト達はレンが用意してくれた資料に殆ど目を通さなかった。
「・・・、どうしよう1番大事な事言うタイミング逃しちゃった。」
「ん? なんか言った?」
「え!!? いえいえ! 何でも無いですよ!なんでも! 」
ミコトは疑問を抱きつつも胸に閉まって、早々と支度し、3人でその彼女のいるある場所まで向かった
※※※※
「ねえ、レンちゃん・・・、何これ?」
ミコトはレンに尋ねる。
「えっと・・・、これはいわゆるストリートの闘技場ですね、地下ホールってのは、珍しいですけど」
どこかはぶらかすようにレンが答えた。だが二人は追求をやめない。
「いや、見れば分かりますよ。お前らの血をぶちまけに来いとか書いてるし」
レンは二人の疑いの目に挟まれている。
「レンちゃんに限ってまさかとは思うけど、その子って2m越えのマウンテンゴリラみたいなゴリマッチョな女の子?」
「いやいや!! 可愛いですよかなり! 本当にストリート出身か?ってぐらい美人で服も可愛らしくて色白で! 何ですけど……」
レンが言葉に詰まるが、
「大体分かりますよ。どうせ性格に問題があるんですよね?」
アスカが確信をついた。
「はい、その、少し・・・、かなり・・・、凄まじく」
「ほおー、凄まじいのか、好みだわ」
「ミコトくん……」
そのまま3人は地下の会場に入り、受付を済ます。
「あ、しまったどうしよう」
「ん、どうしたのレンちゃん? うわ! 財布の中に札が1枚もない!!はー、しゃーない、俺が払うわ」
「えーそんな!! 大の大人が子供にお金払わせるなんて!!」
「まあまあ、レンちゃんなんか年上って思えないし、なんか妹みたいだし、いいよ」
3人はそのままミコトの全額負担で受付を済ませた。彼女はショックで顔が真っ暗になっていた。
会場に入る。観客席は満員とはいかないがほぼ埋まっている。
だがその人数の割に意外にも静かで誰一人の喋り声も聞こえなかった。
そして、3人が観客席の入口に来た瞬間。
全ての観客が一斉にこちらを向いた。
(この人達、全員ファントムだ)
この観客達の興味はアスカ達と言うより、レンの方にあった。この会場で唯一ファントムでないのは彼女だけだからだ。一人の女が立ち上がり、不敵な笑みを浮かべながらこちらに歩いてきた。
だが、ミコトがいきなりその女の首を掴みそのまま持ち上げた。女の足は地面に届かず、宙で暴れている。
「な、何をする!?」
「えーー? それこっちのセリフなんだけどさ? 今あんた、うちのレンちゃんに何しようとしたのよ?」
ミコトには彼女が次に何をするか分かっていた。故に今のミコトは好戦的だ。彼の目が既にファントムの時の目に変わっている。女の回答によってはこの場で始末するつもりだろう。
「まっ、待ってください!ミコトさん!!
この中でファントムじゃないのは私だけなんだから、普通なら気になりますよ!願いですからその人の事離して下さい!」
「・・・・・・」
レンの必死な説得が通じたようだ。ミコトは女を粗雑にだが離した。
「うちのお姫様に免じて許してあげるけどさ、
また次【 誤解 】されるようなことしたらあんたの事は頭からぶった斬るからね?」
女は、急いでその場から逃げ出した。ミコトの機嫌は治らない。指定された席に向かうまで少しでもレンと目を合わせようとした相手にたいし彼は激しく睨みつけていた。
そうこうしている間に今日の試合が始まった。3人の選手が入場する。3人とも女だ。
「あの中に、レンちゃんのオススメがいるのね。そういや資料見てないから顔わかんないや。俺はあの子がいいな、可愛いし」
「ミコトさん……」
ミコトは少しは、落ち着いたようだ。気分屋な彼は機嫌が治るのも早い。そんな彼をよそに突如、アスカが口と鼻を塞ぎ、顔が青ざめた。アスカの異変にレンが心配そうに話しかけた。
「どうしたのアスカさん?」
「ミコトくん、 レンさん、物凄く匂います。あの3人の内二人、ひょっとしたら全員、物凄い数の人間を殺してる」
アスカが感じていたもの。それは人を大量に殺したファントが纏う、痛烈な死臭だった。そしてそれは、許されざる罪の匂いだ。
レンちゃんちょっと可愛い