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交わり始めた道筋 おまけ

16交わり始めた道筋 おまけ


神鳥 切は自分の過去の話し終え、いつしか楽しい会話になっていた。


「オーナーがシャンプー流し中にシャワーヘッドから手滑っちゃって、私ビショビショになったんだから。」


「あ、それ俺もやられた。」


神鳥 切、鷹柱 為心は美容室あるあるで盛り上がり、そして、積もる話もだんだん落ち着いた頃。


「もう夜も遅いし、そろそろ寝よっか。」


鷹柱 為心がきりのいいところで話を終わらせた。

そして、神鳥 切もそれに対し賛成だったのだが。


「そうだね。ごめんね?こんなに話聞いてもらっちゃって…じゃー寝よっ……」


言葉が終わらずに神鳥 切は赤面した。

色んな事が頭をよぎった。

一瞬ではあるものの、一緒にベッドで寝る。

そんな想像を膨らませてしまった。

すぐにそれを頭から振り払い、そして考える。

まず、寝る事に関して、別々に寝るのは当たり前。

だが、女性なのでベッドにとも思ったが、自分がいつも寝ているものなので、抵抗があるのではないか、かと言って、自分がベッドで寝るのも、おもてなしとして考えると、鷹柱 為心が床で寝ていいはずがない。


「…。」


神鳥 切はフリーズしていた。


「ど、どうしたの?」


「い…いや!…その…どう…寝る?」


「あっ…。」


鷹柱 為心も寝ようと言葉を切り出したにも関わらず、その先は考えていなかった。


「…。」


沈黙が続いた。

そして、

神鳥 切が急に自分のベッドに向かって衣類消臭剤をただひたすらにふりかけ、意を決して


「僕のベッドで良ければ、お使いください。」


考えに考えた結果だった。

そして、

鷹柱 為心も色々と察していた。


「…はい。」


神鳥 切の思いも汲み取り、鷹柱 為心は苦笑いで笑った。

神鳥 切は床で、鷹柱 為心はベッドで就寝する事になり、部屋は暗く、辺りには秒針音が響いていた。


『なんか…男の子の布団で寝るって…こんなに緊張したっけ…。もしかして…切くんだからかな…。』


鷹柱 為心は心の中でそう呟き、神鳥 切の匂いのついた布団にさらに顔を埋めた。

一方、神鳥 切は。


『女の人が部屋に居るって違和感ありすぎだろ!まじで眠れない。…どうしよう。』


布団に入ってからもう40分が経過しようとしていた。

2人は変な緊張から眠れずにいた。


「……ねぇ…切くん?…まだ起きてたりする…?」


「う…うん…。起きてるよ。」


「なんか…眠れないね。」


「うん…そ…そうだね。」


2人はただひたすらにぎこちなかった。

そして、

またしばらく沈黙が続いた。


「…。」


「…切くん…こっち来て…一緒に寝ない?」


「……………え゛!?…いや、それは…あの………え?」


思いもよらない鷹柱 為心の言葉に自分でも今まで出した事のない女の子みたいな声が出てしまった神鳥 切。


「やっぱり…嫌…かな?」


「そ、そ、そんな事はないんですがっ!!そ、その…気を使って…言っているのではないかと…。だったら気を使わずにとも思いま…し…て…。」


神鳥 切は挙動不審な状態であった。

すると、鷹柱 為心が、


「同じことを…2回も言うのは恥ずかしいん…だ…けど…。」


「はっ…はい!…す、すいません。……では…失礼します。」


シングルベッドの幅だった為に、神鳥 切の背中と鷹柱 為心の背中は密着してしまう狭さだった。

神鳥 切の心臓は隣で寝る、鷹柱 為に聞こえてしまうのではないかと疑うほど、激しい鼓動であった。

それが、緊張なのか、それとも鷹柱 為心に対してなのかそんな事も考えている余裕はなかった。

そして、神鳥 切は思った。


『これ…更に寝られなくなったんじゃないか?』


そして、時間は刻々と過ぎる。


「あの…為心さん?…寝られました?」


「…。」


どうやら寝ているみたいだった。

だが、神鳥 切の緊張は取れない。

気づけば窓から陽射しが入って来ていた。それに気づいた神鳥 切は


「もう…朝…なん…だ。」


ようやく眠りについた。

しかし。


「ピピピピッ!」


目覚ましでセットしていたアラームが鳴った。


「意外と眠れたね!」


鷹柱 為心が背筋や腕を伸ばしながらそう神鳥 切に話しかけた。


「う、うん。そうだね!」

『いや、全然寝れてないけどね。』


口から出た言葉と思っている事は違った。


「切くん…またね。」


「うん…またね。」


そして、鷹柱 為心と神鳥 切はどこか名残惜しいそうに挨拶を交わし、鷹柱 為心はアパートを後にした。



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