02帝国
ザーヴァは礼祭等で使われる制服に身を包み、豪華な赤いカーペットを歩く。
すると白髪頭の老紳士が声を掛ける
「ザーヴァ!あれは凄いな!」
両手を広げ興奮気味な老紳士ハロルド・ヒューズ、GFヴァンパイアの設計者である。
「ホロルド先生ご無沙汰しております。いつこちらに?」
「そんな形式ばった挨拶は良い!それでだな・・・」
「先生、私はこれよりハイネ陛下に合わねばならんのです。」
「おおそうか、儂も一緒で構わんか?」
「ええ、陛下も先生の意見を聞きたいと思いますので。」
「うんうん、そうだろう、そうだろう・・・」
2人は再び歩き出す。
大きな扉の前へ到着すると、扉の両脇に控えていた兵士が敬礼をして、扉の開場パネルを操作した。
ギギギ~と鈍い音をたて扉が開く・・・中は広くカーペットが伸び、その先には行く段もの段差の上にひと際豪華な椅子に座る青年、皇帝ハイネ・バルスが座っていた。
ザーヴァは段差の手前まで歩み、膝を付き
「特殊部隊ザーヴァ隊所属、隊長ザーヴァ大尉、連邦の新型GF奪取作戦を終えまかり越しました。」
するとハイネはため息を「はぁ」と付き立ち上がり
「相変わらず固いなザーヴァ!」
そう声を掛けると段を降り始めた。
それを止めようとする近衛を手で制し、ザーヴァの前へと降りる。
「おや?先生もご一緒でしたか。」
「フォフォフォ、陛下に頼みがあってのぉ?」
そのハロルドの言葉を聞きながら、ハイネはザーヴァを立たせた。
そして、ハロルドに向き直り
「先生、頼みとは?」
「何簡単なことじゃ!あのGFセラフィムを儂にいじらせてくれ!」
「そうですね・・・設計データはデータベースに記録してあるから・・・ザーヴァ、君はどう思う?」
「ハッ!事前情報で、報告にも挙げてありますが、あれには他に武装を施さないと真の力を発揮しません。」
「そうじゃ!そう言う事なんじゃ!」
「うむ、ザーヴァが良いというのであれば良いだろう。完成したらザーヴァに渡せばいい。」
「陛下?それでは・・・」
「フッ貴様以外に乗りこなすには時間がかかろう。それと、此度の功績で貴公は本日付で少佐となる。」
「ハッ!謹んでお受けいたします。」
「フォフォフォ、そうか、そうか少佐か・・・ならば儂からも何か送るとするかのぉ・・・そうじゃ試作量産機GFダムピールが良いかのぉ。」
「おっそれは良いな。貴様の部隊なら手練れも揃ってるだろう?良いテストになる。」
「・・・分かりました。有り難く頂戴いたします。」
「では、善は急げじゃ!先に行っとるぞ!」
そう言ってハロルドは駆けていく
「フッ先生は変わらないな。」
「そうですね。」
その後に勲章などをいただき謁見の間を後にした・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
地上にあるバルガス帝国旧首都バルガスト
「陛下!陛下!」
太った魔族の男クロイツが駆け寄る。
「何事だ!クロイツ!それに、儂はもう皇帝ではないわ!」
「いえ、私にとってはハインツ様こそが唯一の皇帝です。」
立派な顎鬚を撫でながら木刀で素振りをする、屈強な魔族の男は笑い笑みをこぼしながら
「ハハハ、嬉しく思うが、どうした、そんなに慌てて。」
「はい。ハイネ様はアルテミスを落としたというのに、ルーナは愚かムーンキングダム、ゲッカに兵を向けていないようなのです。」
「ほぉ・・・」
「これでは私の計画と違います。統一までの道筋が遅れてしまいます。」
ハインツは目を伏せ考え込み
「大方、北東連邦に大きな打撃を受けたのであろう?それこそ、それを見誤ったクロイツ、貴公を糾弾するであろうな?」
苦虫をつぶした顔をしたクロイツは、
「それでも、ルーナくらいは落とせる戦力が残っています。」
「ふむ・・・ならばグレンダの兵力を宇宙へ打ち上げ、オトリに使えばよかろう?ゴルゴーンの戦力も撃ちあげればオトリとは思うまい?」
「おお、それは良いですね。艦はまだ宇宙港に何隻かあったはず・・・直ぐに手配いたします。」
クロイツを見送りながらハインツは
「うむ、そう考えるとハイネはまだ甘いのやもしれぬな?」
空を見上げそう呟くハインツの目には消えかかっていた野望の炎が再び灯ろうとしていた。
・・・・・・・・・・・・・・・
アルテミスへ戻る航路の中
『良いな!貴公の部隊は、地上より上がる部隊と共にルーナの部隊を引き付けよ!』
それを聞いたザーヴァは呆れた表情で
「それは、ハイネ陛下に伝わっていることですかな?我々はハイネ陛下直々に休暇を申し使ったわけですが?」
『あっいや・・・しかし宰相閣下からの命令でして・・・』
ザーヴァの表情が険しいものとなり
「貴方は、皇帝と宰相の命令どちらが優先されるとお思いで?」
『・・・皇帝陛下であります。』
「よろしい。私へ直接ではなく陛下に確認を取った後、正式に陛下から命令が有ればそれに従いましょう。」
『・・・了解した・・・』
伝えてきたこの将校が辺境へと左遷されたことは、また別の話である・・・




