まさかの料理上手!?
「ただいまー」
少しして秋が帰って来た。
すぐにでも玄関に迎えに行きたいが、泉が居るのでここは我慢する。
「秋ちゃんおかえりー」
「おかえり。あ、そだ秋、泉が来ること俺に言っといてな」
「お兄ちゃん帰って来たんだ。あっ、泉さん頼まれた食材を買って来ました」
あきは俺のことを一瞥すると、買い物袋をキッチンにいる泉に私に行った。
あれ、秋さん俺のお願い聞いてた?
「うん、全部ある。ありがとうね秋ちゃん」
「いえいえ、こっちが頼んだ事なので」
礼儀正しい秋流石だ。可愛い
近くで見る秋ももちろんだが可愛い。しかし、遠くで見る秋もなかなか……。
近くでは顔などの一部を見ることしか叶わないが、遠くからでは全身を一度に拝むことができる。
まったく、妹は最高だぜ!!
兄として秋と居られる事を感謝しながら秋を見ていたら、二人に凄い顔で睨まれた。
秋の睨んだ眼が可愛いっ!……泉は怖いのよ。さっきの事怒ってる?
てか、秋を見てただけで何でそこまで睨まれる?秋は分かるとしても泉は何でだよ。お前のことは見てないよ?それか何だ?俺のこと好きなのか?秋ばっかり見てるから嫉妬か?
……あーうん。それはないな。ごめん泉。
「お兄ちゃん、上で勉強して来るから出来たら呼んでね」
「ああ、了解」
秋は俺の視線から逃げるように自分の部屋に行ってしまった。あやばい、また泉と2人っきりだ、
「ねぇ、りゅー君」
俺がまた気まずくなりながら、携帯を触っていると泉が不安そうに話しかけてきた。
「な、何だ?」
俺は急に話しかけて来た泉に驚きながらも、それを表に出さない様に返事した……。
「ご飯は一時間位で出来るから秋ちゃんを呼んでって言ったら呼んでくれる?」
「ああ、別に良いぞ」
それくらいは秋にもお願いされたし、もちろん俺が行くつもりだ。
「ありがとう」
「お、おう」
「……」
「…………」
沈黙が続いてしまった。ここは俺から何か話題出して話すべきだよな。
「……そう言えば、今日のご飯は何だ?」
「えっとー。それは出来てからのお楽しみ」
人差し指を頬に当てながらにっこりと笑う。
その笑顔のおかげかさっきまで暗かった空気が一気に明るくなった。
ちなみに本当に今日のご飯なんだろ。めっちゃ良いにおいするから気になってきた。
俺は調理に戻っていった泉を追いかけてキッチンに入る。
鍋に水を溜めてそこにたくさんの野菜を煮込んでいるだけで何を作っているか分からないが、それだけでも出汁の匂いがすごくお腹を鳴らせる。
その後はいつも通り泉と雑談を交わしながらリビングで勉強をする。
一時間くらいすると出来たようなので秋を呼び、二人で降りる。
「カレーだねお兄ちゃん」
「カレーだな」
匂いですぐ分かってしまうものだった。
食卓につくと皆でカレーを食べる
やっぱり泉の飯は最高に味が良い。俺らの舌にしっかりと合わせてくれている。
「じゃあ、そろそろ帰るね」
「途中まで送るよ」
食べ終わると食器まで片付けてくれ、しかもリビングなどの掃除も済ましてくれた。
いつものことながら家族共々本当に感謝している。
泉を家まで送ると、俺は食後の運動として走って帰った。




