まさかの泉!?
俺は勢いよく脱衣所の扉を閉じた。
「何で泉が俺の家の風呂に入っているんだよ!」
一糸纏わぬ泉を見てしまった……。
いや、別に泉の裸を見るのは初めてではない。
そりゃあ幼稚園時代の時はよく一緒に風呂に入ってたりはしたんだが、なんだったら小学校低学年くらいは秋と三人で入ってたりしてたと思う。
でも小学生と高校生だったら、当たり前だが何もかも……。
おぉぉ、どうしたらいい、いやうん。煙でしっかりとは見えてないからセーフとか?俺が決めることじゃないよなぁ……。
「あのね、秋ちゃんから今日は両親が居ないから夜ご飯を作って、て言われたの」
俺が何を言えばいいか言いあぐねていると扉の向こうから泉が話し出してくれた。
「それでも、何で風呂に入っていたんだ?」
「りゅー君は知っているでしょ、私が家に帰ったら直ぐにお風呂に入るの」
いやまぁ、知ってる。
秋とかもそうだし、くつろぐ前に身体を奇麗にしたい気持ちも分かる。
「あれ、じゃあ秋は?」
普通こういう時は秋が教えてくれるはずだ。
なのに教えてくれてない。しかも家に帰って来てまだ秋の姿を一度も見ていない。
「秋ちゃんなら買い物に行ったよ」
さすが俺の妹よく働く。良い妹がいてお兄ちゃん嬉しいよ。でもお兄ちゃんは泉が居ることを教えてほしかったな。
「あ、あと来た理由がもう一つあったよ」
飯を作りに来る以外にってことだろうか。
「何だ?」
「え~と、秋ちゃんがりゅー君と二人は嫌らしいから」
秋に裏切られたー。酷いよ秋ー。お兄ちゃんは秋といつでも二人になりたいのに。
あ、なるほど。秋は恥ずかしがったのか。かわいいかわいい。
「あれ?でも何で今風呂に入っているんだ?」
俺は部活して帰って来た。もうとっくに風呂に入っていてもいいはずだ。
「一回、家に帰って色々としていたからだよ。てか、りゅー君のお家のお風呂借りるのこれが初めてじゃないじゃん」
「まぁ、そうだな……。いや、ほんとすまん」
「うん。りゅー君だから大丈夫」
うん?あぁ、幼馴染だからとかの意味で大丈夫って事だな。
「もう着替えただろ、ドアを開けるぞ」
「うん」
ドアを開け中に入る。泉の顔というか泉を見るのがすごく恥ずかしい。
「ご飯を作ってくれるのは、嬉しいけど俺にもメールしてくれよ。今後もこんあ事故がないようにさ」
手を洗いながら、まだ隣で髪を乾かしてる泉に顔は向けずに言う。
「うん、ごめんなさい」
「いや、いいけど。てかなんだったら俺が悪いし……」
やっぱり、凄く気まずい。
「じゃあ先にリビングに行っとくな」
「うん」
泉の髪は長いからもう少し時間が掛かるだろう。
俺は素早く、しかし丁寧に手を洗ったらその場から逃げるようにリビングに向かった。
 




