まさかのモテザル君!?
授業が四時間目まで終わり、ようやく昼食の時間だ。
「ねえ竜、一緒にお昼ご飯を食べよ?」
お弁当を取り出そうとしたら中学の時からの親友の砂川 智也が話しかけてきた
「うん?智也か良いぞ一緒に食べようぜ」
二人で机を寄せてご飯を食べだす。
俺は大体は母か泉が弁当を作ってくれるからそれを食っているが、智也は菓子パン1つだ。
それで足りるのかと思うが女子みたいに華奢な身体をしており、中性的な顔立ちを見ると納得してしまう。
でも、遊びに行った時に一緒に食べるとそれなりには食う。だから、全く食わないって訳でもないようだ。
「りゅー君!」
女友達とご飯を食べている泉がこっちに手を振ってきた。
恥ずかしいからやめろと視線で言ったら、拗ねたフリをしてまた笑顔で友達と雑談を交えながらご飯を食べ出した。
「やっぱり、竜と泉ちゃんは仲が良いね」
正面に向きなおして食事に戻ると嫌味たらしく笑っている智也の顔があった。
その表情はムカつくが、やはり整った顔をしているからか、その表情はとても魅力的であった。
女子だったら顔だけで惚れそうだ。いや、男でもこいつが男だと知らなかったら惚れてもおかしくないな。こいつが女装しても絶対変じゃないしな。
「そりゃ仲は良いぞ、あいつとは幼稚園からの仲だからな」
「だったら、早く付き合いなよ」
「はあ?何を言ってるんだよ」
しかし、いつもの事とはいえ智也は急に変な事言い出すよな。
「えだって、仲良いんでしょ?竜だって別に泉ちゃんのこと嫌いじゃないんでしょ?だったら付き合ったら?竜だって彼女欲しいって言ってるじゃん」
「確かに泉のことは別に嫌いじゃないけど、付き合いたいとかじゃないし、泉だって俺のことを女友達と一緒に思ってるからな」
だから朝から飛び付いても、あいつは女子と遊んでいる感覚なのだ。
「またまた~。だって、他の女の子の友達にはお弁当作ったりしないでしょ?」
「じゃあ、兄妹で。えー秋みたいに可愛くないからそれはそれで嫌だー。あと、本当に違うから。もしそうだったらモテようとかしないし」
「でも、モテても良いことないよ」
こいつは顔、性格と完璧だからもちろんモテている。
今でも、周りの女子から私たちの智也を盗らないでみたいな視線が刺さる。
「うるさい、じゃあ聞くけど高校に入って何人に告白された?」
さすがに高校に入って、一ヶ月も足ってないから告白はされてないだろうな。
はははっ。悔しくて何も言えまい。
「えーと、2、3回?」
「されてるのかよ!しかも、1回じゃあ無いの!?」
「でも、振ったよ」
「はいはい、モテザル君は黙ってて」
俺は、拗ねたフリをしてご飯を食べる。
次の授業までの時間もこいつと過ごして、残り2時間の授業を受ける。
そしてまた日本史の授業中に先生が。
「一上って、意外と頭良いな。」
また言われましたとさ。
全ての授業が終わり部活に向かう。
部活の時間は俺が一日の中で一番嫌いな時間だ。
俺は痛いのが嫌だからあまり痛そうじゃないソフトテニス部に入った。しかし、前衛で来たボールを弾き返すのをミスった時に顔に当たりボ、痛くて泣きたくなったのは内緒。
はあ~。早く帰って秋の顔が見たいな~。
秋といろんな話をしたいな~。
 




