まさかのそれ!?
「貴方はいったい何をしているんですか……」
生徒会室で寝ていると、呆れたような声がして目を覚ます。
「あ、おはよう。ございます」
とりあえず勢い良く立ち上がって頭を下げておこう。
とりあえずね、とりあえず。
「知らないんだー竜ちゃん。こうなったら豊美怖いんだよ」
豊美さんの後ろから桜が飛び出てくる。
随分と楽しそうだなおい。俺だってな知ってるんだよ!何だったらさっきの梅田先生よりも怖いってな!
「まあいいです。今回は許してあげます」
「え、まじで?いいの?」
「えっ豊美が許してあげるの!?」
「何ですか貴方達は!そんなに怒ってほしいなら怒ってあげましょうか!?」
「噓ですごめんなさい」
「桜は巻き添えじゃない!?」
そんなやり取りをしつつ2人はいつもの席に座り俺を見る。
なんだろう、僕何もしてないよ。本当に何もしてなかっただけだよ。
「それよりもいいのですか竜」
「良いって何が?」
「カップルコンテストのことですよ」
まぁその話題だよな。
基本的には学校では誰に聞かれるか分からないからその話題は禁止なのだが、ここ生徒会室は用途的にも防音性能も高く、俺ら一年生学年生徒会以外立ち入る事は出来ないので内緒話をするには持って来いだったりするのだ。凄いね!贅沢だね!
「そりゃ巻き込まれてめんどくさいとかあるけど、知らぬ間に話も進んでるのを俺が嫌だからで断る訳にもいかないんじゃ」
「それですよ竜」
「どれ?」
呆れた顔じゃなく真剣な顔で俺を見てくる。
「貴方は私に他人の為に自分を犠牲にすると言いましたが、今の竜もそうなんじゃないんですか?」
「んー。犠牲になってるつもりはないんだけど」
実際に言ってるほど巻き込まれて嫌だって訳じゃない。困ってる灯の為に何かできるのであれば全然助けてやりたいしな。
それに何か被害が起こりそうなら逃げる自信だってある!泉に殺されそうになった時とか、泉が暴走しだした時とか、泉が泉のときとか。
「まぁ貴方はそう言うだろうと思いました。ですが、覚えておいて下さい竜。何かあればまずは私達に相談して下さい。こちらも私達がしてもらったように貴方の力になりたいと思っているのですから」
「ですね、いつも通り助けてもらいます」
俺が豊美さん達の力になるより、俺の方が助けてもらっていると思うんだけどな。秋の時とかも俺だけじゃ助けられなかっただろうし。
「よし、じゃあ竜ちゃん行こっ!」
話が終わったのを察したのか、桜が勢いよく立ち上がって俺に手を伸ばしてくる。
「どこに?」
「せっかくの文化祭なんだよ!お店まわろうよ」
「そうですね。風紀委員の方々がしてくださってはいますが、私達でも巡回して問題が起きてないか確認もしないとですしね」
「えー……」
結局働きに動かされるのかよ……。




