まさかの条件!?
注文した商品を届けに来た店員さんに暴走した泉を引き剝がしてもらい泉の落ち着きを取り戻す。
ついでに席も灯の隣に移動したのだが、灯が泉の隣に移動して泉も俺の隣に移動してきた。
何で回転したのこいつら?え、俺殺されるの確定なの?
「ご、ごめんね……いずみん。い、一上、くんは関係ない……の」
「じゃあどういうことなの?」
俺がビクビクしているのを余所目に届いたパンケーキを不機嫌に口に含みながら灯を睨む。
「こ、告白してきたのは、一上……くんじゃなくて」
「生徒会長の弟だろ?」
俺は口ごもる灯の代わりに、思い当たる人物の名前を言う。
……あいつの名前何だっけ。まぁどうでもいいか。
「う、うん」
「それで何でりゅー君と付き合ってほしいって事になるの?」
頷く灯に泉が当然の疑問をぶつける。
そりゃそうだ、いくらあいつが面倒くさくても俺には関係ない。
ちゃんと断って逃げたらいいだけの話だからな。まぁ確かに断るとかは苦手そうだけれども。
「あ、あのね……ち、ちゃんとお断りしたつもりなんだけど聞いてもらえなくて……。そしたら、彼氏はいるのかと聞かれて……。」
そう言うと、灯は申し訳なさそうにこちらを見る。
「あー理解。あいつのことだから居ないんだったら良いだろとか言いそうだしな」
「う、うん……」
なんとなく想像できてしまうのがキモい。
生徒会長といいその弟といい、どんだけ自分に自信があるのだろうか。
「それで?」
泉はまだ不機嫌そうに話の続きを求める。
「そ、それでね……その場から逃げる口実として……ね。か、彼氏居るって……い……ちゃ、て」
灯の声がどんどん消え入りそうになる。
いつもおどおどして、小さい声で話す灯だが。今回は恐怖というか申し訳なさに押しつぶされていそう。そう思うような声色だった。
「それで誰が彼氏なんだと聞かれた訳か」
「う、うん」
まぁ、灯は俺以外にまともに話せる異性も居なそうだし、ぱっと思いついたのが俺だったのだろう。
分かるんだけど、分かるんだけどなぁ……。
俺は悩む仕草をしながらチラッと横目で泉を見る。
泉は怒り全開な表情で灯を睨み付けており、灯はそれに怯えていた。
なんか、ライオンとウサギみたいだな。
「分かった。」
しばらく無言の状態が続いたころ、ようやく泉が口を開いた。
「分かった。りゅー君を貸してあげる。ただし条件がある」
「……うん」
貸すってなんだよ、俺はお前の物じゃねーよ。
「まず、文化祭が終わったら関係は終わり。あとりゅー君に盗聴器だけじゃなくて、監視カメラもつけるから。二人が何をしてるのかちゃんと確認できるように……。あかりんはそれでいい?」
「……うん。大丈夫。ごめんねいずみん」
「いいよ。代わりに終わったらその男殺す。あと、りゅー君も」
うん?待ってツッコミどころ多すぎる。てか何で俺が殺されるんだよ!?




