まさかの駄目みたい!?
「おい待て泉どうした」
迫りくる泉の肩を両手で掴み、どうにか抵抗する。
武器とか使われたらどうしようもなくなるが、さすがに素の力では俺が勝っている。
「離してりゅー君」
「離すも何も急にどうした。さっきまで普通だっただろ」
何がきっかけで豹変したのかまったくわからない。
心当たりがあるとするなら、やっぱりどこか行きたかったけど行けなくなって怒っているぐらいしか考えられえない。
「りゅー君が分かってくれないのはもういいの。分からない事は分かってたし。でも、何で周りにこんなに女の子が増えちゃったのかな?何で私との時間が減っていくのかな?私はりゅー君と一緒に居られたらそれでよかったのに。我慢できてたのに。でも、りゅー君がどこか行っちゃうならもう我慢しない」
泉は上着を片手で脱ぎながら力強く俺を押す。
「何で服を脱ぐの!?何をしようとしてるの?まってお願いだから話させて!」
「……なに?」
あ、力弱くなったし、服脱ぐのも止まってくれてる。
よし。どうしましょ。
まずは状況整理しよう。泉の家に遊びに来ました、飯食ってテレビ見てリビングから泉の部屋に移動してスタンガンを隠したのバレて怯えてたら急に泉が暴走しました。
……なるほどさっぱり分からん。
「何もないの?」
近寄る力がまた強まりだした。
「まって、あるある。どうしたんだ?今の状況がさっぱり理解できてないんだけど、聞くぞ?」
「聞かなくてもいいよ。りゅー君は黙って天井のシミ数えてる間に終わるから」
「それ言うの普通は男側じゃない!?」
てか、マジで何をしようとしてるんだこいつは。
「りゅー君じっとしてて」
「できると思うか!?」
「じゃあはい。これあるからじっとして」
何か見たことのない小袋渡されたんだけど何これ?薄いお菓子か何か?
ぜってぇやばい物だって事はわかる。死んでもこれには触れないでおこう。
「よし話し合おう。俺らは友達だよな?家族も同然だよな?」
「でも、夫婦にはなれないよね?」
まぁ、確かに俺たちは家族にはなれないてか実際には家族じゃないけど。
「だからって、こういう事をするのは間違ってると思うな!」
「知ってる。でももういいかなって」
「諦めないで!俺が何したか分からないし、泉に何あったか分からないけど諦めないで!?」
もうこいつも眼が完全に死んでるんだけど!完全に話を聞いてくれそうにないんだけど!?
だ、誰かー!誰か助けて!
「何で紅茶に睡眠薬入れたのにそんなに元気なの?」
「おまっはぁ!?」
完全に犯罪じゃね?てか今の状況でむしろギンギンに覚めてるわ。
「もうっ。そんなに抵抗するならこれで」
泉は先ほど俺の鞄から回収したスタンガンを取る。
あ、終わったわ。ごめん秋。お兄ちゃんもう駄目みたい。こんな不甲斐ないお兄ちゃんでごめんね。
「何してんのあんた達」




