まさかの驚いた顔!?
言い切ると豊美さんの母親以外の三人が驚いてこちらを見ている。
いや変なことを言ったのは分かっているんだが、そんな驚くことか?
「りゅ、竜ちゃんはそれはどういう意味で言ってるの?」
桜がよく分からないことを聞いてくる。
「どういう意味も何もそのままの意味で言ったつもりだけど?豊美さんもしもの事があれば俺が全力で助ける。ちゃんと責任を持つ。だから、豊美さんの意見を聞いたってほしい。そういうつもりで言ったけど?」
「い、一上よ。ちなみに聞くが、その責任ってのはどういったことだ?」
今度は紗那さんが聞いてくる。
責任って言われても俺もよく分かってないんだよな。でも、ここで戸惑ったらさっきまでのセリフが全て台無しになってしまうから、ここはそれとなく言ってみよう。
「それは、あれですよ。みんなが想像している通りの責任ですよ」
そういうと、桜と紗那さんはさらに驚いた顔をみせる。ちなみに大西先輩は納得したように小さく笑っていた。
え、何々?そんなに変な事を言ったか俺は?
周りの反応に驚き困っていると、黙っていた豊美さんの母親が小さく咳払いをし、話しだした。
「分かりました。本当に豊美のことはあなたが責任をもってくれるのですね?」
「あ、はい。もちます」
「それでしたら、豊美に聞いて豊美が大丈夫そうならこの婚約の話はなしにしましょう」
「本当ですか!?」」
その言葉に喜び立ったのだが、豊美さんの母親に小さく咳き込みながら睨まれ、すっと座りなおした。
こえー、めっちゃ怖いじゃん。
「ただし、今の言葉は忘れないでくださいね。必ず豊美を幸せにして下さい」
「はい」
なんだかうまく行きすぎている気もするし話が噛み合ってない気もするが、とにかくこれで豊美さんの意見を尊重できるようで安心した。後は豊美さんに今の話をして納得してもらえたら完了だ。
なぜか今でも二人が眼を開いて俺のことを見ているが気にしないでおこう。
そんなことより今日はもう早く帰りたい。色々と急展開すぎて疲れた。帰ったら秋に癒してもらうんだっ!
「もういいわ、入ってきなさい」
俺はもう帰る気でいると、豊美さんの母親が急に部屋にある扉に向かって言った。
その様子に俺が不思議に思い、紗那さんに聞こうと見てみると、さっき俺に向けていた驚いた表情とは別に驚いた様子をしていた。
「はい……失礼します」
扉の向こうから返事が帰ってくると、扉がゆっくりと開かれ、そこからは何故かまだ学校に居るはずの豊美さんとその許婚の金城が入ってきた。




