まさかの責任!?
「そっか。じゃあ他の子たちにも感謝しないといけないわね。それで?それはこの話と何が関係あるの?」
その言葉に俺は何も言えなかった。豊美さんとは仲良くしているつもりだから、それを否定されたような言葉を受けあのように勢いに任せて言ってしまったが、今でも俺は豊美さんの家庭の話に勝手に首を突っ込んでいいのかと立ち止まってしまう。
「……あります。前も言ったじゃないですか。失敗も時には必要だって。桜はそれをお父さんからそう教わって、桜もそう思うからって。子供の可能性を親が決めるのは間違いだって、なのにまた今回も豊美のことを勝手に親の意見で決めようとしてるやん!」
桜がようやく豊美さんの母親の顔をまっすぐ見つめた。
「ええそうね。確かに私はそう言われたわ。それに私も納得もしたわ。その時はね。だってそれは友達の話じゃない。言い方は悪いけど友達はいつでも縁は切れるものなの。悪いことをすると、されると、それを正してあげるならしてあげたらいい。でも、それをすることなく永遠と関わらないようにするのも友達だったら出来るの。でも婚約者は違う。法によってすぐには切れないものなの。そして外の世界からも見えないようにすることも可能よ。それをどうして好きにさせれるの?もし、豊美が選んだ相手がギャンブル中毒の男だったら?もし紗那が選んだ相手が簡単に手を上げる様な人物だったら?それを見つける事が出来なかったら?親でも出来るかわからないことを友達のあなたが出来るの?もしもの時は責任取れるの?」
「それは……」
母親に捲くし立てられた桜は黙ってしまう。
今度は友達の時と違って本気だということだろう。気持ちは分かる。だって友達と婚約者じゃあ話のスケールが全然違うしな。
「でも、それはあなたの意見ではないですか?豊美さんにとってはそれが負担にならないと言えるんですか?」
桜のおかげで話したいことがまとまった。
まだ俺がこの話に乗っかっていいのか分からない。今でも帰っていいならすぐにでも家に帰って秋とイチャイチャしたい。
でも、何故かみんなに必要とされたから。だから、この言葉に出来ない気持ちの変わりにそれを言い訳にして臆病な気持ちを捨てて俺も豊美さんのために戦う。
「言えないわ。いいえ、負担になるのは分かっているわ。私も昔はそうだったもの。でもそれは誰と結婚しても一緒じゃない。だったら少しでも減らしたいじゃない」
「だったら俺が、俺が責任を持ってやります。友達はなにも出来ないって言いましたよね。そんなことはないです。友達だって色々と助ける事は出来ます。もし豊美さんに何かあったら俺が必ず助けます。責任だってもってやります」
正直、責任を持つと言っても何をしたらいいか分からないが、友達の幸せのためなら俺に出来ることはやってやる。俺はそう心に決め言った。




