まさかの唐突な質問!?
「なぁ、あれってどういう事なんだろうな」
夜も遅かったので皆んなを家に送った。
飯田さんは親御さんの方が迎えに来てくれたし、桜は1人の方が安心だし早いからと言って走って帰っていった。
2人が帰るのを見送った後は智也と泉の3人で泉を家まで送り、智也と2人で公園で話している。
「どういう事も何もそのままなんじゃない?」
智也はつまらなさそうに小さくブランコを漕ぐ。
その様子を見ながら俺もコンビニで買ったホットティーをすこし飲み、息を吐く。
吐いた息は白い煙となり消えゆく。
もう冬になる頃だ。豊美さんに生徒会に誘われて、桜と再会してもう半年だ。いや、ようやく半年と言った方がいいのか。そんな奇妙な感覚に襲われる。
「付き合ってって言われてもなぁ」
「僕はこんなに長引いてこんな告白の仕方なんだ、とか思うところはあるけど泉ちゃんなりにした事だからちゃんと竜は答えてあげるべきだよ」
智也の乗っているブランコの軋む音が夜の公園によく響く。
時計を見るともう日付が変わっている時間だ。
周りには誰にも居ない。
「待てよ智也。……告白?告白ってなんだよ」
俺の問いかけに智也はさっきまで揺らしていたブランコをピタッと止める。
いつものからかう笑いはなく、さっき怒っていた泉のように酷く冷たい無表情を俺に向ける。
「泉ちゃんが言ってたでしょ。付き合ってって」
「いや、それはアレだろ?買い物に付き合ってとか、遊びに付き合ってとか。そんな感じの奴だろ?アニメとかでもよくある奴じゃねーか。確かに主人公とかはそれで勘違いとかよくあるけど、俺はそんな勘違いしねーよ」
智也はまた、ブランコを漕ぎ薄っすらと空を見上げる。
「それが勘違いじゃなかったら?」
「ねぇだろ」
「ねぇ、竜」
「ん?」
「泉ちゃんは竜の事好きだと思う?」
智也は唐突にそんな意味のわからない質問をしてきた。
泉が俺のことが好きか……それは
「好きなんじゃね?でも、それは家族としてだろ?幼馴染として。恋愛としてはないだろーな」
「なんでそう思うの?竜のいうアニメとかなら幼馴染って王道ヒロインでしょ?泉ちゃんは違うの?」
確かに幼馴染ってのは王道ヒロインだ。ラブコメなら欠かせないし、だいたいは主人公の事が好きだ。でも。
「作品とリアルは違う。誰かが俺のことを好きになる事なんてないんだよ」
「……なんでそう思うの?」
「なんでってそれは……っ」
唐突に頭痛がした。
何か考えるのを止めるように。
何か思い出すのを拒むように。
「ごめんよ竜。変な質問ばかりしちゃったね。もうこんな時間だ僕もそろそろ帰るとするよ。あ、もちろん豊美ちゃんの件は助けさせてもらうよ。みんなの為だからね」
「あ、あぁ。助かるありがとう」
智也は背中を向けて手を振り帰っていった。
智也の姿が見えなくなっても少し動けなかったが、少ししたらどうでもよくなった。
「……帰るか」




