まさかのなんで?!?
「話は分かったけど、なんでそれにりゅー君が関わらないと駄目なの?助けたかったら勝手に自分一人で助けたらいいじゃん」
何を怒っているのかわからないが泉が恐ろしいほど不機嫌だ。
「い、いや……俺が話を聞いてだな……」
「りゅー君は黙ってて」
視線を俺に向けることなく黙らす。
智也に助けを求める視線を送ると、にこやかに人差し指を口に当てている。
「なんなら頭は悪いけど、行動するだけならりゅー君より一人の方ができるんじゃあないの?運動は出来るんだから。頭は悪いけど」
泉のやろぉ桜に対して頭悪いってのを二度も言ってるし、遠回しに俺が桜と違って土壇場の戦力にならないとか言いやがってるぞ。……事実だから何も言わんけど。
「ただ、手伝ってくれる人が欲しかっただけ?なら、りゅー君じゃなくてもいいじゃん。そこら辺の友達にでも頼れば?」
「なんで最初に相談したのがりゅー君なの?なんで自分で動かないの?なんで?」
泉の質問に桜は押し黙る。これは見ているこっちが疲れる。
「桜はただ……」
「ただ?」
「……豊美を助けたい。だけ。桜にとって豊美は確かにうるさいし、おせっかいだし、まじめのくせしてどっか抜けてるし。でも、色々してくれる大切な友達やねん。正直なんで桜もこんなに必死になってるかわからんけど、でも!豊美が豊美らしくいてほしい……。竜ちゃんなら。いや。竜ちゃんしか今の豊美を助けることが出来ん。桜じゃなくて竜ちゃんしか。紗那さんもわかってるから竜ちゃんにお願いしてた。だから、桜も竜ちゃんにお願いした」
最後には桜の声はかすれ行く様に小さな声になっていた。
「は?結局それ答えになってないんだけど?なんでりゅー君じゃないと駄目なの?」
「そ、それは……わからん。で、でも竜ちゃんだったら……」
「だからっ!」
泉が大声をだす。
泉にしては珍しい怒りを面に出した怒号だ。
「いずみん、落ち着いて……」
「まぁまぁ。ほら泉ちゃんそんなに怒らなくてもいいじゃん」
飯田さんがおどおどしながら、智也はさすがに慌てた表情で泉を止める。
てか泉はなんでこんなに怒っているのかわからないのは俺だけなのか?
とにかくだ、どうにかこの空気を戻さないとだ。
「すまん泉。なにをそんなに怒っているのか分らんが俺も豊美さんがどう思ってるのか知りたいし、もし困ってるようなら助けてやりたい。もし、無事に話が終わればお前の言うことなんでも聞いたるよ」
俺の言葉に反応し、驚いた顔でこちらに振り向く。
「なんでも……?」
「あぁ、なんでも聞いたるよ。どっか行きたいところがあるなら連れてってやるし、食いたいものがあるなら奢ってやる」
それでこの場が落ち着いてくれるなら安いものだ
「じゃあ……」
「あぁ、なんでも言え」
泉は笑いもせず、怒りも見せず無表情で言った。
「私と付き合って」
「……は?」




