まさかの関係ない!?
「生卵いるひとー?」
泉以外の全員が座り、食べ始めようとすると泉が小皿に入った人数分の卵を持ってくる。
「ういー」
「ん」
「は、はい」
「僕は遠慮しとくよ」
泉の問いかけに俺はいつも通りに、桜は無愛想に、飯田さんは遠慮がちに、智也はにこやかに首を振り返事をする。
泉は断った智也以外の皿に一人ずつ器用に片手で割った卵を入れていく。
殻を捨てにいき、戻ってきた泉も座り全員で手を合わせ食べ始める。
よくある肉の奪い合いになるかと思ったがそんな事はなく、みんな白菜やえのき等の野菜を中心に取っていく。
最初の一口は全員味を堪能するため、誰も喋らない。
白菜を噛み締め、しゃきしゃきとした音が食卓に静かに響く。
そして、飲み込む。
「うめぇー!」
いや、知っていたが馬鹿うまいな。
芯まで出汁が染み込んでいて言葉にするのは難しいけどマジでうまい。
他のみんなも眼を輝かせながら二口、三口と箸を進める。
それから腹が少しづつ膨れ始め、みんなの箸を進めるスピードがゆっくりなってきた時に泉がお茶を飲んだ後に、俺か桜かどちらかに視線を向けることなく問いかけてきた。
「今日は何してたの?」
俺は泉の発言を気に止めることも無く鍋から次の獲物を決めていたが、桜はぴたっと箸を止めた。
桜はゆっくりと顔を泉のほうへ向け、恐る恐る問いかける。
「何って……?」
「んー?今日、こんな遅くまでりゅー君と何してたのかなーって」
少し空気がピリつき、それに気づいた俺は箸を止め桜と泉を交互にチラ見する。
「別になにも……」
「何もないわけ無いじゃん。いいから答えて」
泉は笑っているようだが、目元は全く笑っていなかった。なんなら睨んでいるって言っても間違いじゃないほど鋭かった。
「関係ないやろ」
「関係ないかなー?」
「関係ない」
「そっか。ふーん。そうなのりゅー君」
表情はそのままで急に俺へと振り向いてきた。
「え。い、いや。どーでしょー?」
俺の顔をみて泉は深くため息を吐く。
「大丈夫だよ泉ちゃん。あれでしょ竜。豊美ちゃんの話でしょ?」
智也はすべてを見透かしたように問いかける。
「あ、あぁ。いや実はな」
俺はこの急に暗くなった空気をどうにかしたくて過去の桜の話を伏せて今日のことを話そうとした。
「いや、いいよ竜ちゃん。ありがと、ちゃんと桜が説明する」
「お、そっか。わかった」
過去の出来事、許婚のことをどうにかしたいこと。それを今日俺と話していたことなどを桜は話しだした。
そんな話を泉は食事を続けながら、智也は嬉しな表情をしながら、飯田さんはおどおどしながら聞いていた。




