まさかの似ている!?
桜は豊美さんとの出会いを怒りながら、でも少し懐かそうに話した。
「っとまぁ、これが豊美との出会いだったんだ」
「最初は豊美さんとは仲良くなかったんだな」
「うん。むしろ最悪だったよ。第一印象は桜とは真逆の人間だから一生仲良く出来ないと思ったね。桜の家は貧乏だけど豊美はお金持ち。桜は運動しか出来ないけど、豊美はなんでも出来る。……まぁ、っそれは今も変わんないんだけどね」
桜は寂しそうに話している。自分の表情に気づいているのか笑おうとしているが、うまく笑えていない。むしろ泣きそうな顔に見える。
いい意味でも悪い意味でも桜は素直な奴だ。そして、豊美さんもそうなんだ。
自分の好きなものの前ではいつもの大人ぶった姿を忘れ、はしゃぐ人だ。いつもの姿もただ、みんなにいい学校生活を送ってもらいたいという気持ちだけで動いてくれている。
「俺は、桜も豊美さんも、似ていると思うぞ」
「え?」
驚いた顔をしている桜に、さっき思った話を続ける。
「てか、お金持ちとか貧乏とかお前らには関係ないじゃねーか。しかも、桜だって貧乏で困ったりとかしてねぇんだし。あと、豊美さんだって何だって出来るわけじゃない。それは俺より豊美さんと一緒にいった桜の方が分かっているんじゃねーか?あの人は説明は苦手だし他人を優先して自分を主張するのが苦手だ。桜だって一緒じゃねーか。苦手なことがあって自分の事より人助けを優先する。知ってるんだぜ俺らはテスト期間中に試合がある部活の練習を手伝っていた事に。俺らが出した宿題とかもあったのに」
桜は見られていた事を知り驚いた顔をしたが、またバツが悪そうに下を向いた。
「でもあれは、気晴らしに行ってただけだから……」
「それでもだよ。豊美さんもリーダーとして動いてくれてるのは私がただそうしたいからって言ってたけど、それでも結果的に二人とも人助けになってると思うぞ。だから、根は二人とも似ていると思う」
桜は「そっかそっか」と頷き顔をあげる。
「ごめんね竜ちゃん。話してるうちに今回の事がやっぱり悔しくなって、桜が落ち込んじゃった」
「いや、それは別にいい。まぁ、なんだ。時間はあるから落ち着いてゆっくり話してくれたらいいよ」
「うん、ごめんね。じゃあ、続き話すね。その後もずっと桜に付きまとってきたんだけど、それが当たり前になって、豊美に対しての敵意とかもなくなってきた頃、豊美が唐突に桜に付きまとわなくなったんだ」
桜はまた、ゆっくりと話しだした。




