まさかの全国レベル者!?
『そ、そのまま一上選手、無表情でゴール。ま、真顔です!真顔でゴールしました』
俺のことなんてどうでもいいだろ。てか、順位的にこっち負けてるから桜ファイトー。
「竜ちゃんナイスラン!あの頭おかしい変な人は竜ちゃんのこと抜かせなかったね!」
「お前が言うな、頭悪い奴」
「むー、竜ちゃんひどい」
「どこがだ。てか、バトン受け取ったんだからはよ走れ」
「まぁ。いいじゃんどうせ勝てるし」
「今の順位は下のほうだが大丈夫か?」
「うん!任せてよ!」
「はいはい。なら、行ってこい桜」
「了解だよ!竜ちゃん」
桜が車並みのスピードで走り出したのを確認したところで、選手待機場所に戻った。
「お疲れ様です竜。六人目に行ったのは私たちが一番ですが、残り距離的には、18位中16位ほどです。恥ずかしながら、あとは桜に任せましょう」
「まぁ、桜なら大丈夫だろ。あの桜に勝てるやつなどそうそういないしな」
「そうなのですが……」
「何か問題があるのか?」
豊美さんは少し難しそうな顔をしながらうなずいた。
そして、ふと視線を横に向けたので、つられる様に豊美さんと同じところを見ると、三年学年生徒会のところに真剣で、しかし嬉しそうに桜を見つめる男が居た。
「あの、人がどうかした?」
「えっとね、あの人は陸上部部長だよ」
と、後ろから顔をのぞかせるように智也は言った。
おい、顔が近いぞ智也。早くのけないとその綺麗に整った顔ぶち壊すぞ。
「で、それが?桜が負けるほど早いのか?」
「んー、どうだろうね。おそらく、単純な速さは桜ちゃんが有利だと思うけど、陸上部部長も全国レベルの強者でね。しかも、桜ちゃんとは走る距離が半分も違うんだ。だから、体力面も考えたら結構危険かも知れないね。しかも、その相手の今の順位が1位ってのもあるけどね」
マジかよ……。負けたら許さねーぞ桜。
「あ、あと……。これは、わたしが……聞いた、話ですが……。彼は、強者を好み……相手が強いほど、やる気が出て……スピードも、あがる、様です」
相手が強いほど自分も強くなるってか。
どこの、バトル漫画キャラだよ。
「んー、でもあの人のあの顔。強者が表れてうれしいって言うより、別の表情にも見える気がするんだよねー。りゅー君は思わない?」
「ん?んー?ごめんわからん」
「そっかー。何か後でめんどくさい事になる気がするけど、私には関係ないから気にしないでおこー」
とか、話している内に桜は一周、つまり三分の一を走り終えていた。
あの調子なら負ける訳ないと思うけどなぁ。
『さぁ、今年の一番の見どころ競技もそろそろ終盤となってきました!一年学年生徒会の桜選手はどんどん追いつくが、まだ、1位の三年生徒会には追い付かない。しかも、最後には陸上部部長も控えています!やはり、リレーは最終戦になればなるほど面白いですね。さて、一体誰が一番にゴールするのでしょうか!』




