まさかの一走者!?
「じゃあ、豊美さん一走者頑張ってこい!」
「わかってますよ竜。私だって、負ける気はありません」
「その意気だよ豊美!桜と朝一緒に走った時のを思い出して走るんだよ!」
「わかってる。では、皆さん行ってきます」
豊美さんは自信に満ちた表情でスタート地点に立った。
『あ、あー。言い忘れた事があったので報告させていただきます。何故か、何故か!予定していた時間を大幅に超えてしまっていましたので、学年ごとにするはずだったリレーを全学年、十八組一斉に走ります。ルールは事前に連絡した通りになっております』
何故かを強調すんなこのやろう。
てか、そうか全チーム一斉に走るのか。じゃあ、二三年生は誰が一走者なのかな?
「お!豊美ではないか!まさかまさか、僕と同じ一走者だったとはな」
「ね、姉さん!?なんで姉さんが……?」
「なんでって、僕だって学年生徒会副会長だからさ」
あ、そう言えば紗那さんって副会長だったな。
てか、豊美さんもやりにくい人とぶつかったな。
ドンマイ豊美さん!
「何笑ってるの?りゅー君」
「気にすんな」
泉に言われた瞬間に真顔に戻ったから安心しろ。
「襠田さん……から、すると、何も……安心できま、せんよ」
「だから、俺の心の中を読まないでくださいお願いします」
ホントにそれは俺の精神的に参るやつだから止めて。
「ちっ、めんどくさいシスコン姉妹と一緒に走るのかよ。クソが。まぁ、何でもいいから早く並べよ。時間がねぇんだよ。誰かさんたちのせいでな?」
「おやおや、シスコン姉妹なんて褒めてくれてありがとう。生徒会長君」
「褒めてないんだが?もしかしてお前は馬鹿なのかな?おっと、すまんすまん。バカだったな」
「馬鹿に馬鹿と言われる時が来るとはな。僕も落ちぶれたものだ。生徒会長君、君よりはマシだがな」
「ほう?足が遅いノロマのくせに先輩であるこの俺にそこまで言うんだ。この競技にたいそう自身があるんだな」
「当たり前ではないか。馬鹿な使えない先輩よりは十分な自身があるよ」
「ふふふ、そうか」
「あはは、そうだよ」
「で?お前は何メートル走る?」
「1.5㎞だよ」
「奇遇だな。俺も同じ距離を走ろうと思ってたんだ」
「そうかいそうかい。だったら、決着が付けやすいね」
「そうだな。まぁ、結果は見えてるからな」
う、うわー。二人ですごい火花を散らしてますね。
一走者でなくて良かったです。
「豊美、こんな奴に僕たちは負けないから」
「……え?」
あ、豊美さんに無駄に流れ弾行った。
豊美さんの眼がぱちぱちと瞬きしてるのおもしれー。まぁ、俺は関係ないので頑張ってくださいねー。




