まさかの衝突事故!?
家を出て学校に向かって歩いていると……周りにはリア充ばかりだ。
男子同士で談笑しているのはまぁいい。女子同士で手を繋いでいるのもまぁみる。……いや、男子同士で手を繋いでるのは変だろ……。
しかーし!はいそこー!男女楽しそうに会話してて……。はっ、そこ!手を!手を男女で繋いでるだとぉ!?不純だ、不純異性交遊だ!
「……羨ましく何か無い」
だって朝から手を繋いで学校に行くとか、ただの目立ちたいだけのバカップルだし……。
はぁ……虚しい。
俺は虚無に身をゆだね一人寂しく学校に向かっている。
「あっ!りゅー君だ、おはよー。ドーン」
「うん、泉か?おはよ、ぐっ」
聞き覚えのある声に呼ばれ後ろを向こうとした瞬間凄い衝撃が全身を襲い、俺は背中から倒れる。車との衝突事故かと思うほどの衝撃だ。
突然の痛みで眼を開けれないが大体の状況は把握できている。何てたって毎日食らっているからな。
「おいこら泉、毎日言ってるけどないきなり飛び付くな!」
俺の上に乗っかている同じ高校に通っている女の森川 泉に怒鳴りつける。
こいつとは幼稚園時代からの腐れ縁で、このタックルは小学生時代から続いている。
今日みたいに考え事をしていたら避けるのを忘れてしまう。でも避けようとしたらしたでフェイントをかけて結局やられる。困った幼馴染だ。
「だーかーら、泉じゃなくて、いずみんって呼んでってば」
「ずっと泉って呼んでるのに、いきなりいずみんって呼べるか!てか、高校生だぞ断る!」
「何でよー」
「理由言ったけどな。とにかく何でもだ。はやく離れろ!」
何でずっと俺にのしかかっているんだ周りから変な目で見られるだろ。いや、見られるっていうか……。
「変な目で見られてるから早く離れろ!」
「えー?でもりゅー君は登校中に女の子とぶつかるのが夢なんでしょ?」
怒っている俺を不思議そうに見つめているが、お前のその歪んだ漫画脳はどうなってんだよ。いずみんって呼ばれたがってるのもそうだけど。
あと、勝手に人の夢にするな。いや確かに俺も夢見た頃もあったけど……。いやてか、夢見る前から突進はされてたけどな……。
「ちなみにそれは、転校生が遅刻しそうになってその子と曲がり角でぶつかり、朝に転校生が来る事を知って……。あの、説明がめんどいんだが……」
俺の説明の意味が分からないのか、泉はまだ不思議そうな顔をしている。
「とりあえず、お前では駄目だからもうこんな事するな。分かった?」
すると泉は嬉しそうに目を輝かせた。あー、これはあれだな嫌な予感するな。
「そうなの?分かった!じゃあ次からは何をして欲しい?何でもいいよ。あ、でもこれはやめないけどね」
何も分かってないじゃん。あと、やめろよ。やめる気ないんかい。
……何でもって何でもなのかな。
「……何もしなくて良い」
少し妄想してしまった自分が恥ずかしい。妄想するならもっとマシな奴がにしろよ。あぁ、泉で少しドキッてした自分を殺したい!
「と、とりあえず早く学校に行くぞ」
まだ、俺の上に乗っていた泉を引きはがし、急いで学校に向かう。
やれやれ、今日も災難だ。
「分かった。じゃあ行って来るから少し待っててね」
俺と一緒に立ちあがった泉がそう言うと、学校とは逆方向に走り出す。
「おい、泉どこ行くんだ?」
「え、あの角から遅刻って言いながら、走ったらいいんだよね?」
「そのネタはもういいわ!」
俺は、走り去ろうとした泉を捕まえ今度こそ学校に向かう。
そう言えばこいつクラスの男子から可愛いって言われてるのを聞いたけどそうなのかな?……まあいいか。
俺は何故か嬉しそうに腕を引っ張られている泉を横目で見ながらそんな事を思った。
学校に着き教室に向かうが残念なことに泉も同じクラスだから教室も同じだ。学校に着いたらバイバイとはいかない。
俺は痛い体を引きずりながら教室に着き時計で時間を確認すると、もう授業が始まる5分前だ。
「結構ギリギリだな」
独り言で小さく呟く。
「りゅー君が朝から遊んでいるからだよ」
隣にいる泉があざ笑うかのような表情で言う。
「お前のせいだよ!」
朝から叫んでばかりだな。
自分の席に着き、一時間目の授業の準備を机に出すと同時にチャイムがなった。




