まさかの勤務先!?
全員分の椅子が無いため、机にコンロを置いて、みんな地面に座る。
「たまご使う人!」
みんな手をあげた。
まあ、すき焼きに卵は欠かせないよな。
「じゃあ、いただきます」
「ふはは!肉は全部俺がもらう!あっ、ハニーあーん」
「あっ、父さんズルい。てか、母さんも何気なく貰うな、鍋に戻せ!」
「はははっ!残念だったな竜。肉は早い者勝ちなのだ!」
「……その肉は豊美さんの財布から出ました」
「えーと、豊美さんすいません。戻します。……ねぇハニー、豊美さんってどの子だ?」
「一番、背が高い子よ、ダーリン。彼女が襠田 豊美ちゃんよ」
「うん?ちょっと待て。竜、襠田さんの両親は何してるんだ?」
いつもうざったい父さんが珍しく少し大人しくなり、冷や汗を流しながら、俺に聞く。
何か、分かってきたけど、今は何も分かってないふりをしようそうしよう。
とりあえず、大きい会社の社長だと伝えて、後は豊美さんに任せよう。そして、豊美さんに怯えさせてもらおう。ふふふ……。今日の俺をとことんいじった罰を与えてやる!
「やっぱり、そうだったか!いやいや、まさか襠田社長の娘さんが、竜の友達だとな!」
「まだ俺は何も言ってないんだけど!?」
「俺、竜の心、分かる。竜、学習、しない」
「学習も何も非現実的過ぎるし、その話し方が凄いイラつくのだが!」
てか、父さんって豊美さんのお母さんと知り合いだったのか?
「いや、勤務先の社長なだけだ。はぁ、なるほど。竜が高校入って、しばらくしてから休みや給料が増えたり、上司が妙に優しくなった理由はこれか?豊美ちゃん、お母様にお礼を言っといて下さい」
「……豊美さん、お母さんに父さんを甘やかさない様に伝えてくれ。そして、父さんはおこずかいをあげてくれ」
「は、はい……。伝えておきます。しかし、竜のお父様がお母様の会社の方だとは知っていましたが、お母様もそんな事をしているのは……」
知ってたんだ……。
あぁ、なるほど。だから簡単に母さんの電話番号や俺の家の番号が分かったんだね。
権力をそんな風に使うのは間違っていると思うなぁ!?
「ちなみに、森川さんのご両親もお母様の会社です。桜の両親はたまにスポーツの試合で稼いでますよね。ちゃんとした職業を付ければもう少し、生活を楽に出来ると思いますが、何故か断るのですよね……」
「りゅー君のお父さんと私のお父さんの仕事先一緒だもんね」
「まぁ、パパ達は、たまにの試合で一気に稼いでちょびちょびと使いたがるからね。……働ける頭も無いし」
あっ、その脳筋は家族一緒なんだ……。
「ちなみに、飯田さんは分かりません。砂川くんのお家は……」
「…………。」
「あはは……。僕の事は気にしなくて大丈夫だよ」
たしか、智也は家族と別居だったけ?
てか、意外と面白い話を聞けたな。
みんなの家族の仕事先なんて豊美さんだからこそ分かるような事だもんな。




