まさかの謎の争い!?
作業は終わった。
今までで一番早いスピードで作業出来た。
それは、泉と桜の本気の争いのおかげ。
それは、飯田さんの設計図のおかげ。
それは、豊美さんの指示力のおかげ。
それは、俺と智也のコンビネーションのおかげ。
無駄に智也目的で手伝いに来てる人たちを相手にするより、みんなでバランスよくした方が良かったって事だ。
はぁ、今日でようやく終わったのになんだか達成感がない。
それもこれも全部あの女たちのせいだな!ちっくしょー!
「──くん。りゅー君聞いてる?」
「うん?あぁ、何だ?」
「もう、聞いててよ。何かリクエストある?」
「そーだな。何でも良いぞ?」
「何でもいいが一番困るよー」
「なら、桜がリクエストするね!たくさん動いた日は──」
「じゃあ、今日はみんなで食べれるすき焼きにしよっか!」
「桜の話聞いてよっ!……でも、すき焼きか。ならよしっ!」
「……ちっ」
「今、舌打ちしたよね!?したよね!」
でも、すき焼きかー。
お金的に危ない気がする……。
しかも、人数もまあまあ、あるだろうし、結構すると思うんだよな……。
「泉、それは予算的に無理だと思うぞ?」
「大丈夫ですよ竜。なんのための私だと思ってるんですか」
返事をしたのは豊美さんだった。
はっきり言って嫌な予感しかしねぇ……。
「……みんなのサポートや代表として前に出てくれる為の豊美さんです」
「それも、そうですが、今、この場に、私が、居る!意味は!」
途切れ途切れに言う豊美さんの声は大きくなる。
だがしかし、駄菓子菓子!それで今譲る気はない!
俺の為にみんなの為に!そして、豊美さんのお財布の為に!
「みんなで、仲良く食事を共にする為に、同じく一年学年生徒会のメンバーである豊美さんが必要だから。一人でも欠けてはいけないから」
「むぅ。なら、私と言ったら!今、困っている事で、出来ることは!」
「豊美さんと言ったら、指示力。今、困っている事で豊美さんが出来ることは、その指示力で今喧嘩してる二人を止めてください」
俺と豊美さんの謎の争いをしている間にも、泉と桜の喧嘩は続いている。
今はどうやら、どちらが料理上手かで、勝負しているらしい。……泉に一票。
「こらこら、二人ともやめなさい」
「豊美!桜とこいつ、どっちが料理上手だと思う!?」
「それは、森川さん」
「やったね!」
「何でよー!なら、桜が勝てることは!」
「……ふっ」
何か今、泉が視線を少し下げて笑ったような……。
「今、どこを見て笑った!」
「ん?胸だよ!」
「気にしてるのにー!!」
「何の言い合いをしているのですか……」
ちなみに、俺は豊美さんに一票。
「……りゅー君?」
「ひぃ!何でもありません!」
何故か泉に睨まれたのだが……。心を読むなよ。




