まさかのモテ過ぎ!?
僕の名前は砂川 智也。
普通に生きようとして失敗した男である。
何が普通じゃないか。……簡単だ、モテ過ぎる。
非モテからすると贅沢な悩みかもしれなが、毎日の様に寄って集られたら気持ちは分かってくれるはずだ。
そして、モテ過ぎると困るのは女子だけではなくなる。
男子たちもだ。
小学生の頃はよく仲間外れにされたものだ。
「お前は、女子と遊べば良いだろ」「俺は~~の事が好きだったのに!」「モテさんがこっちに来るな!」
あぁ。確かにその通りだ。僕は敵でしかない。しかもどう足掻いても勝てない敵。……なら、直接攻撃か、近づかないに限る。
直接攻撃は、逆に女子から反感を買う。なら、避けよう。敵には敵で居てもらおう。けして、自分たちの仲間にはならない。
これが普通だ。
じゃあ、女子と遊ぶ?
いや、無理だ。
女子はグループを作って遊ぶ。
なら、僕が入ったグループが反感を買い、他のグループに崩されていく。
例え、崩れなくても、グループ内で争いが起きる。
小学生でも……。醜い争いが。
僕は誰のでも無い。僕は僕だけのだ。
だが、女子たちはそれを許してくれない。智也君は私のものだといつでも争う。
勝手に、無意味に、自己中に、争う。
自分の為なら仲間を売る。自分の為なら他は知らない。他人も家族も金も力も地位も学力も。僕も。
僕はそんな醜い争いを何年も見続けた。見せられ続けた。
いつしか、僕は何も見ないようにした。僕の周りはうるさい。
何か言ってる。何だろう……。まあ、軽く笑顔で頷いたら満足してくれるだろう。
僕の何が良いのだろう。僕は君たちが思っているほど良いやつじゃない。むしろ逆なのに……。
あぁ、隣でうるさいな。何だろうこの気持ち。心が熱い、何故か体に力が入る。
何だろうか、このまま勝手に体が動きそうな感じ。もう良いや。僕はきっと、こうして生きていくんだろう。
男は僕を恨み、女子は色目を使う。要らない。要らないいらないいらない。もう、何も要らないよ。
それは、小学校五年生の話。そこから、僕は心を閉ざした。
小学校六年生の記憶なんて無いよ。知らない間に小学校が終わってた。
ああ、だから、何だろう。中学校で何か変わるとは思えない。僕は人気者に見えて、ただのボッチだ。
良いんだよ。それが一番楽なんだから。
でも、この一言だけは覚えている。
小学校の卒業式の時に学校が離れるからと告白してきた人がいる。
内容は覚えてないが、一つだけ覚えている。『いつも、怒る事無く、笑顔な僕が好き』だっけ?
まあ、とりあえず、その子は怒らないと言った。
ああ、そうか。やっと分かったよ。僕は怒ってるんだ。凄く。
イライラする。君は何も見えてない。誰も僕を見てない。なのに好き?
…………調子に乗るのもいい加減にしろよ?




