まさかの三人だけの話!?
「え?……精神科?」
「知ってるだろ?俺が精神科に通ってたの」
「う、うん。でも、まだ通ってたの?」
「うん。まぁ、ちょくちょくな」
「な、何で……?」
「昔と同じ理由だよ」
「昔と……?まだ、何か後遺症があるの?」
「さぁ?でも、先生が通えって言うからな……」
「……あっ、ようやく思い出したわ。泉ちゃん、聞いた事のある名前のはずね。ねぇ、泉ちゃん。あなたなら、竜君と後遺症の事、少しぐらいは分かってるんじゃない?」
「…………っ」
何の事かは分からないが泉は思い当たる節があるのか少し苦い顔をした。
「……その顔はやっぱりね。何か聞きたい事があったら、電話してちょうだい。時間を開けてあげるから。」
そう言い、先生は名刺を取り出し、泉に渡した。泉は、それをゆっくりと受け取った。
……にしても、この二人は一体何の話をしているんだ?
でも、これだけは分かる。いや、分かる気がする。
きっと今はこの三人しか分からない話なんだろ……。
「は、はい。ありがとうございます」
「いいえ。じゃあ、先生はまだ用事があるから行くね。じゃあね、竜君と泉ちゃん。竜君は早めに来るように」
「あっ、はい。さようなら」
先生は俺たちが来た道を歩いて行った。
「あ、あのっ」
先生が少し進んだ所で泉は先生を呼び止め、先生は足を止め、軽く振り返った。
「ん?どうしたの」
「きっと、電話しますので、その時は……教えて下さい」
「……分かったわ。じゃあ、その時が来ることを楽しみにしとくわ。……じゃあね」
先生は微笑んで、今度こそは歩いて行った。
俺たちは先生が曲がり角で消えるまで見送った。
「じゃあ、りゅー君、行こっか」
「そーだな。なぁ泉。お前は先生と何の話をしてたんだ?」
「教えなーい」
「えー……。分かりそうで、全く分からないんだよ。頼む」
「……駄目。私には教えられない」
泉の声のトーンが急に小さくなり、泉は何かを睨むような鋭い目付きになった。
「大丈夫だよ、りゅー君。教えてはあげないけど、いつか、必ず分からせてあげるから。……絶対に、絶対に」
声色はいつもと同じ優しさがあったが、何故か怒りや、決心があった様な気もした。
それは、何への怒りか、何の決心か分からないが、少し嬉しく、泣きたくなった気がした。
……まぁ、気のせいかな。
それから、泉と別れて、家に帰ると、ちょうど母さんも居たから、先生に言われた事を伝えて、明後日に病院に行くことになった。
泉の事を先生に聞いてみようかな……。




