まさかの曖昧!?
そして、ボランティアの女子たちが無言で働いたおかげで、数日かかった折り目地点を1日で越えた。
まぁ、飯田さんと豊美さんの設計図がさらに効率よくなったという事も理由の一つだけど。
まぁ、帰りの時の、女子たちの元気の無さは異常だったけどな。
お前らはどんだけ智也の事が……ん?何だっけ?
えーと、あの人たちは智也に……えっと、あっ、智也と仲良くなりたい人達で……ん?何かが違うような?
あれ?いつも思ってた事のはずなんだけどな?んー?考えれば考えるほど分からなくなってきた……。
まぁ、いっか。
何か曖昧だな……。
とりあえず、智也と仲良くなりたいって願望が強すぎるだろ……。で、良いかな?……良いな。よし。
「どうしたの、りゅー君。難しい顔をして」
「ん?いや……。あー、泉」
「どうしたの?」
「ボランティアに来ている女子達って、智也と仲良くしたいから、来てるんだよな?」
「え?あ、う、うん。そうだと思うよ?」
「だよな?合ってた合ってた」
「りゅー君は、何だと思ったの?」
「いや、最初から分かってたけど……。何か、それとは違う理由がある様な気がして……」
でも、まぁ、泉も正しいって言ってるし大丈夫だろ。
気のせい、気のせい。
「……りゅー君」
「何だ?」
「りゅー君が言ってるのは、あの人達は智也君の事が好きかも知れないって事じゃないの?」
「……好き?あー、確かにそれかも。へー、あの人たち智也の事好きなんだ」
何となく分かってたけど、あれが好きなんだな。
ちっ、智也だけ無駄にモテやがって。
「……りゅー君は分からなかったの?」
「いや、分かってたけど気付かなかったって言うか、気付いていたけど、分からなかったって言うか」
「……そう」
それから泉は何かを考え込む様に黙った。
そういえば、こうして泉と二人だけで帰るのって久しぶりだな。
豊美さん達と別れた後でも、智也がいつも居るしな。
あっ、智也の用事って何だったんだろ?
まぁ、明日にでも聞いてみるか。
「あれ?竜君じゃない」
急に目の前から自分の名前を呼ばれた。
誰かと思い、顔をあげると、そこには見知った人の顔が。
「偶然ね、竜君。そろそろ来る頃でしょ?予約は特別に優先してあげるから、早く来なさいな」
「……先生?」
「りゅー君?この人は?」
「あっ、あぁ。俺のお世話になってる病院の先生だ」
先生は少し微笑みながら泉に自己紹介をした。
「優崎精神科の優崎 奈々子といいます。えっと、泉ちゃん?よろしくね」
彼女はそう名乗った。




