まさかのド特急!?
生徒会室に戻り、昼食が終わるとすぐに会議の準備を始めた豊美さんから、数枚のプリントを渡された。
俺たちはその間に、家族に今日のお昼ご飯は要らなくなったと、メールをしておいた。
豊美さんから渡されたプリントの表紙に大きな文字で『体育会案 会議書類』と書いてあった。
「では、そろそろ始めますが、いいですか?」
豊美さんがみんなの顔を見ながら返事を待つ。
俺たちは声は出さずに頷き、豊美さんはそれに頷いて話を進める。
何だか、一気に会議の雰囲気になった。
「分かりました。では、会議を始めます。まずは先ほど配ったプリントを見てください」
豊美さんが、自分用のプリントを持ちながら言う。
俺たちも、プリントを見る。
「このプリントを見たら分かると思いますが、明日の会議は体育会の会議です。二学期は少し忙しくなります。体育会に文化祭。これは、ちょっとした手伝いだけですが、オープンハイスクールの準備などあります。頑張りましょう。では、一ページ目を見てください。前の会議で決定したことをまとめています」
一ページ目を見ると確かに、前話した事が書かれていた。
マラソンの順番や走る距離や学年競技の案などが書かれていた。
まあ、マラソンは元からマラソンって言うにしては、短かったし、その大半が桜だから、ちょっとした中距離走だけどな……。
まっ、細かいことは気にしないで措こう。
「あれ?でも、学年競技の名前がないですよ?」
学年競技の欄には、前に決めた通りのルールが書いてあったが、名前が書いてなかった。
「はい。竜の言うとおりに、まだ決まっていません。桜が決めると言ってましたが……。どう?」
豊美さんが心配そうな表情で桜を見た。
「大丈夫!もちろん、考えてきたよ!」
「そう。……では、お願いします」
桜の言葉を聞いた豊美さんは、少し安心した顔尾をしたら、すぐに真剣な顔に戻し、桜の名案を聞く。
でも、何だろうか……。何か大切な事を忘れている気がする。てか、嫌な予感がする。
「うん!では発表します。『騎馬戦&旗取り&押し相撲 対決!障害もあるよ!』でどう?」
「「「「「…………。」」」」」
……忘れていた。桜は、ネーミングセンスが無かったんだ。どっかの遊園地みたいな感じではなく、ド特急な名前しか付けられないんだった……。
「……。竜、お願いします」
返事を無邪気な子供の目をして待っている桜に何も言えないのか、返事を俺に丸投げしてきた。
「え、えっと……」
「うんうん!」
「そのまんま過ぎです。あと、棒倒しね。確かに旗の付いた棒を取るか、倒すかだけど、旗取りじゃなくて、棒倒しだからね。よって、この案は却下で」
「あっう!」
素直に言ったら、桜は机に倒れ込んだ。
「じゃあ、皆さんで決めましょうか」
……と言う事になった。




