まさかの真面目!?
「はい、お兄ちゃん。あと、皆さんも」
高校の保護者も見に来るような行事に出せる訳がない種目にツッコミを入れていると、秋が紅茶とお菓子を持ってきてくれた。
「ありがとっ」
ずるずる──ふぅ、落ち着いた。
「ありがとうございます。では、続けますが、『ブタ箱クラッシャー!』は無しの方向で良いでしょうか?」
「当たり前ですよ」
「あはは……。まぁ、さすがにこれは学年を代表する競技に見えないしね」
豊美さんの質問に、俺と智也は無理と即答してやった。
だって、俺たちが殴られる事になる訳でしょ?ドMの人以外は、単なる拷問でしかないじゃん。
「そうですか……。叩くの楽しそうですけどね」
「……そっちの方向も要らないんで」
ドMだけの競技じゃなかった。ドSな女性陣も喜びそうな競技でした!
「じゃあ、残りの五種目ですね」
プリントに書かれていた『ブタ箱クラッシャー!』を黒線で消し、話を続ける。
「ねえねえ。前年の競技を見てみると、『騎馬戦』って三年生の競技じゃない?」
前の体育会の三年分の競技記録が書かれたプリントを見ながら泉が言う。
「あー、ホントだな。じゃあ、『騎馬戦』も消す?」
「しかし、『騎馬戦』が一番人気でしたよ?」
「三年生がやるなら文句は言えないでしょ」
「……そうですね。じゃあ、消しましょうか」
豊美さんは『騎馬戦』も黒線で消していく。
「……借り物、競争は、現実的じゃい……です」
「うん、何で?」
飯田さんの意見に泉が質問する。
「だって、あるか分からない、物をお題にして、無かったら何か、言われてしまうし、逆に確実にある物だと、簡単過ぎて、面白く無いと……思うよ?」
「ああ、なるほど。確かにそうだな」
飯田さんの意見に俺は頷く。
例えば…………耳栓としよう。
何となくだからな。耳栓にした理由はない。
耳栓を探して、誰も持っていなかったら、絶対にゴール出来ない。
運だからしょうがないと言っても、何だか嫌な思いをするだろう。
しかし、逆に鉢巻きと言われたら、確かに皆が確実に持っているが、それだったら自分のを使ってゴールすると思う。
それは確かにつまらないだろう。
探せば、良いお題があると思うが、それを沢山考えるのは大変だと思う。
「そうですね。じゃあ残り三種目ですね」
豊美さんがプリントを見ながら言う。
『障害物競争』、『棒倒し』、『団体相撲』この中から選ばないといけない。
「何か、真面目に会議してるね……」
隣に無言で座っていた秋が小声でそう言った。
あーうん。確かにいつものおふざけ雰囲気無いね。
まぁ、忘れがちだけど、俺たちって生徒会の集まりだしね。




